非常電源専用受電設備は、電力会社からの電気をそのまま非常電源として使うための設備です。
点検要領の「設置状況」という項目では、保有距離だけでなく、水の浸透・換気・照明・標識まで細かく基準が定められています。
なかでも換気口や照明には、具体的な数値で判定方法が示されています。
この記事では、非常電源専用受電設備の設置状況点検のうち、換気・照明・水の浸透・標識の基準を確認します。
非常電源専用受電設備の点検では、保有距離を確かめれば終わりだと思っていました。
実は換気口には直径10mmの丸棒で確かめる基準があるんですよ。
まずは設置状況の点検項目の全体像から見ていきましょう。
丸棒で確かめるというのは、何だか意外です。
はい、照明や標識にも判定方法があります。
順番に確認していきましょう。
- 設置状況の点検は、周囲の状況・区画等・水の浸透・換気・照明・標識の6項目に分かれています。
- 水の浸透は、水が浸透して機能に障害を及ぼすおそれがないことが判定基準です。
- 換気口の開口部には直径10mmの丸棒が入るすき間があってはならず、キュービクルの箱内・不燃専用室内は40℃以下であることとされています。
- 照明は盤面で100Lx以上、その他の箇所で50Lx以上の照度を確保することが判定基準です。
- 標識は「変電設備」等の表示に汚損・損傷がなく見やすい状態であることが求められます。
▼
目次
非常電源専用受電設備の「設置状況」点検は何を確かめるのか

この項目だけで6つの点検項目に分かれています。
このうち周囲の状況(保有距離や空地の確保)と区画等(不燃専用室や防火戸の状態)は、設置場所そのものに関わる基準としてすでに別の記事で取り上げています。
この記事では、残りの水の浸透・換気・照明・標識という4項目を順番に確認していきます。
水の浸透は、目視により確認する項目で、水が浸透して機能に障害を及ぼすおそれがないことが基準です。
雨水や漏水がキュービクルの内部に入り込むと、電気設備である以上、思わぬ不具合につながります。
6項目もあるとは思いませんでした。
はい、水の浸透もそのひとつです。
次は換気口の基準を見てみましょう。
換気口になぜ直径10mmの丸棒が入らないという基準があるのか

最初の基準は、換気口そのものの大きさに関するものです。
換気口は空気を通すための開口部ですが、同時に外部からの異物や小動物の侵入を防ぐ大きさに抑えておく必要があります。
点検では、実際に直径10mmの丸棒を使って、すき間に入り込まないかを確かめます。
目視だけでは判断しにくい基準だからこそ、数値と器具で確認する方法が定められています。
丸棒を実際に差し込んで確かめるんですか。
はい、直径10mmの丸棒で実測します。
次は機械換気と室内温度を見てみましょう。
機械換気の運転確認とキュービクル内の温度はどこまで見るのか

キュービクルの箱内及び不燃専用室内の温度は、40℃以下であることが判定基準です。
非常電源専用受電設備の内部は、変圧器や開閉器など発熱する機器が集まっている場所です。
換気がうまく機能していないと、箱内の温度が基準を超え、機器の劣化や誤動作につながるおそれがあります。
換気口の大きさ・機械換気の運転・箱内温度という3つの視点が、セットで確認される理由がここにあります。
温度まで数値で決まっているとは知りませんでした。
はい、40℃以下という基準があります。
次は照明の基準を見ていきましょう。
照明はなぜ盤面100Lxとその他の箇所50Lxで基準が分かれるのか

使用上・点検上必要な照明が点灯しているかに加え、照度計を使って数値も確認します。
盤面の照度基準が高いのは、計器類の指示値を読み取ったり、開閉器の表示を確認したりと、細かい作業がそこで行われるからです。
その他の箇所は移動や全体の状況確認が中心なので、盤面より基準がゆるやかに設定されています。
点検では、照明が点灯しているかどうかの目視確認と、照度計による数値の実測をあわせて行います。
場所によって照度の基準が違うんですね。
はい、盤面100Lx・その他50Lxと分かれています。
最後に標識の基準を見ましょう。
標識はなぜ「変電設備」等の表示が必要なのか

見た目の問題に見えますが、安全のために欠かせない基準です。
非常電源専用受電設備は高圧の電気を扱う設備であり、関係者以外が不用意に近づかないようにする必要があります。
標識が汚れて読めなくなっていたり、はがれかけていたりすると、危険な場所だという警告が伝わりません。
水の浸透・換気・照明・標識という4項目は、どれも機器の中身とは別の「置かれている環境」を見る点検だと考えると分かりやすくなります。
標識も立派な点検項目なんですね。
はい、見やすい状態の維持も点検対象です。
最後に整理しましょう。
よくある質問
まとめ
換気口の10mmから照度の基準まで、確認してみます!
はい、設置状況の6項目を見ておけば安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- キュービクル式非常電源専用受電設備の基準(昭和50年消防庁告示第7号)
- 配電盤及び分電盤の基準(昭和56年消防庁告示第10号)
- 消防法施行規則第31条の6(消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び報告)
- 消防用設備等の点検要領の全部改正について(平成14年消防予第172号)第23 非常電源(非常電源専用受電設備)
※本記事は公表されている告示および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。





