建築基準法には、国土交通大臣の認証を受けた製造者が、規格化された建築材料や建築物の部分を作るための仕組みがあります。
この製造者に課された義務のひとつが、製造する物の検査を行い、その記録を残すことで、これに違反すると第101条の第7号で罰則の対象になります。
今回は第7号を、罰せられる行為と根拠になる第68条の18第2項、記録の作り方を定めた施行規則に分けて解説します。
検査の記録を残さないと、罰金になることはありますか。
第101条第7号に、100万円以下の罰金の定めがあります。
この記事で、その中身を確認します。
罰せられるのは、どんな行為ですか。
第7号が挙げているのは、第68条の18第2項の違反です。
順番に見ていきましょう。
- 第101条は、各号のいずれかに該当する者を、100万円以下の罰金に処すると定めています。
- 第7号が罰するのは、検査を行わない、検査記録を作成しない、虚偽の検査記録を作成する、検査記録を保存しないという四つの行為です。
- 第68条の18第2項は、認証型式部材等製造者に、検査を行い、検査記録を作成して保存することを求めています。
- 施行規則第10条の5の14は、検査記録簿に記載する六つの事項と、工場等の所在地での5年以上の保存を定めています。
- 第7号が挙げるのは第2項だけで、第1項の違反は、罰金とは別に認証の取消しの事由になります。
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目次
第101条第7号は検査に関するどんな違反を罰するのか

(建築基準法第百一条第七号)七 第六十八条の十八第二項(第八十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、検査を行わず、検査記録を作成せず、虚偽の検査記録を作成し、又は検査記録を保存しなかつた者
(建築基準法第百一条第二項)前項第三号、第四号又は第六号に規定する違反があつた場合において、その違反が建築主又は建築設備の設置者の故意によるものであるときは、当該設計者又は工事施工者を罰するほか、当該建築主又は建築設備の設置者に対して同項の刑を科する。
一つ目は、検査を行わないことです。
二つ目は、検査記録を作成しないことです。
三つ目は、虚偽の検査記録を作成することです。
四つ目は、検査記録を保存しないことです。
括弧書きは、第88条第1項において準用する場合も含むと書いています。
第3号や第4号にある、設計者から工事施工者へ罰する相手を置き換える括弧書きは、第7号にはありません。
第2項の故意の規定が挙げるのは第3号、第4号、第6号で、第7号は含まれていません。
検査そのものをしない場合も、第7号で罰せられますか。
はい、検査を行わずも四つの行為のひとつです。
記録を作ることと保存することも、それぞれ挙げられています。
第68条の18は認証型式部材等製造者に何を求めているのか

(建築基準法第六十八条の十八第二項)認証型式部材等製造者は、国土交通省令で定めるところにより、製造をする当該認証に係る型式部材等について検査を行い、その検査記録を作成し、これを保存しなければならない。
ただし書は、輸出のため製造する場合、試験的に製造する場合、その他の国土交通省令で定める場合を除いています。
第2項は、国土交通省令で定めるところにより、製造をする型式部材等について検査を行い、その検査記録を作成し、これを保存しなければならないと規定しています。
型式部材等とは、第68条の11第1項が、規格化された型式の建築材料、建築物の部分又は建築物で国土交通省令で定めるものと定めているものです。
第7号が挙げるのは第2項で、第1項は挙げていません。
第68条の18の第1項と第2項は、どちらも第7号の対象ですか。
対象は第2項だけです。
第1項は、第7号に挙げられていません。
検査記録簿には何を書いて何年保存するのか

(建築基準法施行規則第十条の五の十四第一項第四号)四 認証型式部材等(認証型式部材等製造者等が製造をするその認証に係る型式部材等をいう。)ごとに次に掲げる事項を記載した検査記録簿を作成すること。
イ 検査を行つた型式部材等の概要
ロ 検査を行つた年月日及び場所
ハ 検査を実施した者の氏名
ニ 検査を行つた型式部材等の数量
ホ 検査の方法
ヘ 検査の結果
(建築基準法施行規則第十条の五の十四第一項第五号)五 前号の検査記録簿(次項の規定による記録が行われた同項のファイル又は電磁的記録媒体を含む。)は、当該型式部材等の製造をした工場等の所在地において、記載の日から起算して五年以上保存すること。
(建築基準法施行規則第十条の五の十四第二項)前項第四号に掲げる事項が、電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体に記録され、必要に応じ電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは、当該記録をもつて同号の検査記録簿に代えることができる。
検査は、別表第一に掲げる区分に応じた検査を、同表の検査設備を用いて行います。
また、基準に適合することを確認できる検査手順書を作成し、確実に履行することも求めています。
第3号は、手順書の全事項を終え、型式に適合することを確認するまで出荷しないと規定しています。
第4号は、検査記録簿に、型式部材等の概要、年月日及び場所、実施した者の氏名、数量、方法、結果の六つの事項を記載するよう求めています。
第5号は、工場等の所在地で、記載の日から起算して5年以上保存することを求めています。
検査記録は、紙で残さないといけませんか。
電子計算機のファイルなどに記録し、必要に応じて紙面に表示できるときは、その記録で代えられます。
これは、第2項が定めています。
検査記録に不備があると認証はどうなるのか

(建築基準法第六十八条の二十一第二項第一号)一 第六十八条の十六、第六十八条の十八又は第六十八条の十九第二項の規定に違反したとき。
第68条の18は、第1項も第2項も含まれるので、第7号に挙げられていない第1項の違反も取消しの事由になります。
第7号の罰金と、この取消しは、それぞれ別の条文に書かれています。
どの場合に取り消すかは大臣が判断するので、個別の事案は国土交通省の窓口で確かめます。
罰金と認証の取消しは、同じ条文に書かれていますか。
書かれていません。
罰金は第101条第7号に、取消しは第68条の21第2項第1号に書かれています。
第7号を整理すると何が分かるのか

| 規定 | 書かれていること | ポイント |
|---|---|---|
| 第101条第7号 | 第68条の18第2項に違反して、検査を行わず、検査記録を作成せず、虚偽の検査記録を作成し、又は検査記録を保存しなかった者を100万円以下の罰金に処する | 罰金は100万円以下 |
| 第68条の18第1項 | 認証に係る型式に適合するように製造する | 第7号に挙げられていない |
| 第68条の18第2項 | 省令の定めにより検査を行い、検査記録を作成し保存する | 第7号が挙げている |
| 施行規則第10条の5の14 | 検査記録簿に六つの事項を記載し、工場等の所在地で5年以上保存する | 保存は5年以上 |
| 第68条の21第2項第1号 | 第68条の18の違反があれば、認証を取り消すことができる | 罰金とは別の規定 |
これは建築基準法の罰則であり、消防法令の義務とは別の規定です。
また、誰が違反した者に当たるかの個別の判断は、第101条には書かれていません。
認証を受けた製造者も、その製品を使う側も、こうした記録の義務があることを頭に入れておくと安心です。
明日から、次の点を確認してください。
- 製造者が、国土交通大臣の認証を受けた認証型式部材等製造者かを、認証の書類で確かめる。
- 検査の手順が、検査手順書に定められているかを、社内の規格で確かめる。
- 検査記録簿に、六つの事項が漏れなく書かれているかを、記録簿の様式で確かめる。
- 検査記録簿を、工場等の所在地で5年以上保存しているかを、保管場所で確かめる。
- 建物の防火管理などの義務は別の規定なので、所轄消防署へ確かめる。
整理はできました。
実務では、何から確かめればよいですか。
まず、その製造者が認証型式部材等製造者に当たるかを確認しましょう。
消防法令の義務は、所轄消防署に別に確かめます。
よくある質問
まとめ
検査の記録に罰則があることがよく分かりました。
まず、検査記録簿の記載事項を確認します!
建築の罰則と消防の罰則は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第六十八条の十一・第六十八条の十八・第六十八条の二十一・第百一条(e-Gov法令検索)
- 建築基準法施行規則第十条の五の十四(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。罰則の適用は事案ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





