建築基準法には、規格化された建築材料や建築物の部分について、製造者を国土交通大臣が認証する仕組みがあります。
認証を受けた製造者には確認や検査の特例が認められますが、その認証は一度受ければ続くというものではありません。
どのような場合に認証が取り消されるのかを定めているのが、第68条の21です。
今回は建築基準法第68条の21を中心に、必ず取り消される場合、取り消すことができる場合、取消しの公示と再び認証を受けられない期間、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。
型式部材等の製造者は、国土交通大臣の認証を受けると聞きました。
その認証が取り消されることもあるのですか。
あります。
建築基準法第68条の21が、その場合を定めています。
取り消されるのは、悪いことをしたときだけですか。
基準の満たし方も関係するのでしょうか。
取り消さなければならない場合と、取り消すことができる場合に分かれています。
順番に条文を見ていきましょう。
- 第68条の21第1項は、認証型式部材等製造者が一定の事由に該当するときは、国土交通大臣がその認証を取り消さなければならないと定めています。
- 必ず取り消すのは、欠格事由に該当するに至ったときと、認証に係る型式適合認定が取り消されたときの二つの場合です。
- 第2項は、基準への違反や技術的生産条件の不適合、不正な手段による認証などの三つの場合に、取り消すことができると定めています。
- 認証を取り消したときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公示しなければなりません(第3項)。
- 取消しの日から2年を経過しない者は、再び認証を受けることができません(第68条の12第2号)。
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目次
認証型式部材等製造者の認証はなぜ取り消されることがあるのか

まず、第68条の11第1項と第68条の20第1項を確認しましょう。
(建築基準法第六十八条の二十第一項)認証型式部材等製造者が製造をするその認証に係る型式部材等(以下この章において「認証型式部材等」という。)は、第六条第四項に規定する審査、第六条の二第一項の規定による確認のための審査又は第十八条第三項若しくは第四項に規定する審査において、その認証に係る型式に適合するものとみなす。
第68条の11第1項は、国土交通大臣が、申請により、型式部材等の製造者としての認証を行うと定めています。
認証を受けた者を、第68条の20は認証型式部材等製造者と呼んでいます。
その者が製造する認証型式部材等は、第6条第4項などの審査で、型式に適合するものとみなすと定められています。
この特例は、認証があることが前提です。
だから、前提が崩れたときの扱いを、第68条の21が定めています。
認証があると、審査で型式に適合するものとみなされるのですね。
だから取消しの規定が要るのですか。
その理由が、条文の作りに表れています。
次の見出しで、必ず取り消す場合を確認します。
認証を必ず取り消さなければならないのはどのような場合なのか

まず、第1項と、その中で引かれている第68条の12を確認しましょう。
一 第六十八条の十二第一号又は第三号に該当するに至つたとき。
二 当該認証に係る型式適合認定が取り消されたとき。
(建築基準法第六十八条の十二)次の各号のいずれかに該当する者は、前条第一項の規定による認証を受けることができない。
一 建築基準法令の規定により刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
二 第六十八条の二十一第一項若しくは第二項又は第六十八条の二十三第一項若しくは第二項の規定により認証を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者
三 法人であつて、その役員のうちに前二号のいずれかに該当する者があるもの
条文の言い方は「取り消さなければならない」で、国土交通大臣に選ぶ余地はありません。
第1号が引いている欠格事由は、第68条の12の第1号(建築基準法令により刑に処せられ、一定の期間を経過しない者)と第3号(役員のうちにそのような者がある法人)です。
第2号は、その認証に係る型式適合認定が取り消されたときです。
認証の土台になっている型式適合認定がなくなれば、認証も残せないという作りです。
第68条の12の第2号は、第1項の取消事由に入っていないのですね。
どうしてでしょうか。
第2号は、取り消された人が再び認証を受けられない期間を定める号です。
この点は、四つ目の見出しで確認します。
認証を取り消すことができるのはどのような場合なのか

まず、第2項を確認しましょう。
一 第六十八条の十六、第六十八条の十八又は第六十八条の十九第二項の規定に違反したとき。
二 認証型式部材等の製造設備、検査設備、検査方法、品質管理方法その他品質保持に必要な技術的生産条件が、第六十八条の十三第二号の国土交通省令で定める技術的基準に適合していないと認めるとき。
三 不正な手段により認証を受けたとき。
第1項と違い、条文の言い方は「取り消すことができる」です。
取り消すかどうかを、国土交通大臣が事案に応じて判断する書き方になっています。
第1号が引く第68条の16は変更の届出、第68条の18は型式適合義務と検査記録の作成保存、第68条の19第2項は紛らわしい表示の禁止です。
(建築基準法第六十八条の十八第一項)認証型式部材等製造者は、その認証に係る型式部材等の製造をするときは、当該型式部材等がその認証に係る型式に適合するようにしなければならない。ただし、輸出のため当該型式部材等の製造をする場合、試験的に当該型式部材等の製造をする場合その他の国土交通省令で定める場合は、この限りでない。
(建築基準法第六十八条の十八第二項)認証型式部材等製造者は、国土交通省令で定めるところにより、製造をする当該認証に係る型式部材等について検査を行い、その検査記録を作成し、これを保存しなければならない。
(建築基準法第六十八条の十九第二項)何人も、前項の規定による場合を除くほか、建築材料、建築物の部分又は建築物に、同項の表示又はこれと紛らわしい表示を付してはならない。
認証を受けた時点だけでなく、その後も条件を保っているかが問われる作りです。
第3号は、不正な手段により認証を受けたときです。
届出や検査記録の義務を守らないと、取消しの対象になり得るのですね。
製造設備の状態も関係するのですか。
関係します。
認証は、その後も基準を保つことが前提です。
認証を取り消したあとに公示され再び認証を受けられなくなるのはなぜか

まず、第3項と第68条の11第3項を確認しましょう。
(建築基準法第六十八条の十一第三項)国土交通大臣は、第一項の規定による認証をしたときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。
認証をしたときの公示は第68条の11第3項が、取消しの公示は第68条の21第3項が定めています。
第3項は、第1項の取消しにも第2項の取消しにも前二項の規定によりかかる書き方です。
公示の具体的な方法は、条文が国土交通省令に委ねています。 もう一つ、取り消された製造者が再び認証を受けられない期間が、第68条の12第2号にあります。
先ほど引いた第68条の12の第2号を、あらためて確認しましょう。
期間の数え方は、取消しの日から起算して2年です。
第3号は、法人の役員のうちにこの第2号などに該当する者がある法人も、認証を受けられないと定めています。
取消しは、その時の認証を失うだけでなく、その後の認証にも影響する仕組みです。
取り消されると、2年間は認証を受け直せないのですね。
公示は誰が見るのでしょうか。
公示の方法は、国土交通省令に委ねられています。
条文だけでは分からない点は、省令で確かめます。
認証の取消しの規定を防火管理の現場ではどのように受け止めればよいのか

分けて読むと、混乱しにくくなります。
| 項目 | 条文の書き方 | 押さえる点 |
|---|---|---|
| 必ず取り消す場合 | 欠格事由に該当するに至ったとき、認証に係る型式適合認定が取り消されたとき(第68条の21第1項) | 国土交通大臣は取り消さなければならない |
| 取り消すことができる場合 | 規定への違反、技術的生産条件の基準不適合、不正な手段による認証(第2項) | 国土交通大臣は取り消すことができる |
| 取消しの公示 | 国土交通省令で定めるところにより、その旨を公示する(第3項) | 方法は省令が定めます |
| 再び認証を受けられない期間 | 取消しの日から起算して2年を経過しない者は認証を受けられない(第68条の12第2号) | 期間は2年です |
| 外国の製造者 | 外国型式部材等製造者の認証は第68条の22、その取消しは第68条の23が定める | 根拠が違う別の条文です |
認証の取消しは、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
ただし、建物に使われている部材や設備の製造者が認証を受けた者かどうかを、施工業者に尋ねておくと、改修や交換の相談が進めやすくなります。
建築基準法の手続が整っていても、消防法令の設置や維持の基準は別に確かめる必要があります。
明日から、次の点を確認してください。
- 建物の防火設備などが、認証を受けた製造者の製造したものかを、施工業者に尋ねて控えておく。
- 製造者から認証に関する連絡があったときは、内容と日付を記録しておく。
- 防火設備などを取り替えるときは、認証に係る型式のままかを施工業者に確認する。
- 製造者の認証が取り消されたと分かったときは、建築の窓口と施工業者に速やかに相談する。
- 建築の話と消防の話は別の制度なので、両方の窓口へ確かめる。
建築の窓口と所轄消防署に、それぞれ確かめておきましょう。
取消しの規定は分かりました。
現場では、何から確かめればよいですか。
部材や設備の製造者について、認証の状況を施工業者に確認しておきましょう。
消防の基準は、別に確かめます。
よくある質問
まとめ
取消しの仕組みがよく分かりました。
製造者の認証の状況を、施工業者に確認します!
建築の認証と消防の基準は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第六十八条の十一・第六十八条の十二・第六十八条の十三・第六十八条の十六・第六十八条の十八・第六十八条の十九・第六十八条の二十・第六十八条の二十一・第六十八条の二十二・第六十八条の二十三(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。区域の計画と条例の制限の内容は地区計画と条例ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





