ビルの屋上に、荷物を置いておく場所があるときの話です。
屋上は、建物の外にあるように見えます。そのため、屋上に燃えやすいものを大量に置いても、消防用設備等の基準は関係ないと考えがちです。
昭和59年の消防庁の質疑応答には、屋上に合成樹脂類を貯蔵する計画について、消防用設備等をどう扱うかを尋ねた問い合わせが残っています。
この記事では、その質疑と、屋外消火栓設備のポンプの操作部についての質疑を合わせた5つの論点を、現行の条文に照らして読みます。屋上に置いた指定可燃物が、どこまで規制の対象になるのかを順に確かめます。
屋上は外だから、消防用設備等は関係ないんじゃないですか。
いいえ。
質疑は、屋上も防火対象物のその部分として扱うと答えています。
貯蔵する量で、設備は変わるんですか。
はい。
指定可燃物の数量によって、必要な設備が決まります。
- 屋上に指定可燃物を貯蔵する場合、消防用設備等の規制は、防火対象物のその部分として屋上にもかかると、お見込みのとおりと答えています
- 指定可燃物が数量の750倍以上1,000倍未満のときは、屋外とみなされる屋上広場でも、屋内消火栓設備の設置でよいと答えています
- 1階、2階及び屋上の貯蔵量の合計が1,000倍を超えるときは、下の階にスプリンクラー設備や水噴霧消火設備等、屋上には移動式の水噴霧消火設備等を設けてよいと答えています
- 火災予防条例の貯蔵の基準は、当時の号のロとハを除いて屋上にも適用されると答えています
- 屋外消火栓設備のポンプの操作部が離れていても、質疑当時は検査済証を交付できると答えましたが、現行の規則第22条は屋外消火栓箱の直近の操作部からの遠隔操作を求めています
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目次
屋上に指定可燃物を貯蔵すると、消防用設備等の規制はかかるのか

(消防庁の質疑応答・昭和59年10月17日・消防予第146号)
質疑にある「特殊可燃物」は、今の令第10条や令第11条が使う「指定可燃物」に当たります。令第10条は、指定可燃物を、危険物の規制に関する政令別表第四の品名欄に掲げる物品で、数量欄に定める数量以上のものと定めています。
令第11条第1項第5号は、別表第一に掲げる建築物その他の工作物で、指定可燃物を危険物政令別表第四で定める数量の750倍以上貯蔵し、又は取り扱うものに、屋内消火栓設備を求めています。屋上に置いたから外という理由で、この規定から外れることはない、というのが質疑の答えです。
屋上も、建物の一部として数えるんですね。
はい。
防火対象物のその部分として扱います。
指定可燃物が750倍以上あるとき、屋上でも屋内消火栓設備でよいのか

(消防庁の質疑応答・昭和59年10月17日・消防予第146号)
現行の令第11条第1項第5号は、指定可燃物(可燃性液体類に係るものを除く。)の数量が、危険物政令別表第四で定める数量の750倍以上のものに、屋内消火栓設備を求めています。質疑の下限の数字は、この規定と一致します。
質疑は、屋外とみなされる屋上広場でも、屋内消火栓設備を設置する扱いでよいかを尋ね、前段についてそのとおりと答えたものです。
屋上でも、屋内消火栓の基準で考えるんですね。
はい。
数量が750倍以上なら、設置の対象です。
階の合計が1,000倍を超えたら、屋上の設備はどうなるのか

(消防庁の質疑応答・昭和59年10月17日・消防予第146号)
現行の令第12条第1項第8号は、指定可燃物(可燃性液体類に係るものを除く。)を危険物政令別表第四で定める数量の1,000倍以上貯蔵し、又は取り扱う別表第一の建築物その他の工作物に、スプリンクラー設備を求めています。また、令第13条第1項の表は、同じ1,000倍以上の指定可燃物について、品名に応じた水噴霧消火設備等を設けるよう定めています。
質疑で大切なのは、判断の数字が、屋上だけの量ではなく、1階、2階及び屋上の合計として問われていることです。屋上に置く量が少なくても、合計が1,000倍以上になるなら、設備の対象になると読めます。
屋上に少ししか置かなくても、合計で数えるんですね。
はい。
建物全体の合計で倍数を判断します。
火災予防条例の貯蔵の基準は、屋上にも適用されるのか

(消防庁の質疑応答・昭和59年10月17日・消防予第146号)
現行の火災予防条例(例)第34条は、綿花類等の貯蔵と取扱いについて、標識と掲示板の設置、整理と清掃、集積する場合の区分などを定めています。合成樹脂類には、屋外の場所の周囲に空地を保有すること(同条第2項第3号ロ)や、屋内で貯蔵するときの不燃性材料による区画(同号ハ)の定めもあります。
質疑が除外したロとハは、当時の準則で、合成樹脂類の空地や区画に関する規定だったと読めます。屋上は、地上の屋外のように周囲へ空地を取れず、屋内のように区画することも前提にしにくい場所だからです。ただし、質疑の号番号は当時のもので、現行の号とは並びが違うので、実際の基準は、建物のある市町村の火災予防条例を見て確かめてください。
屋上でも、標識や整理整頓は必要なんですね。
はい。
空地と区画の規定を除いて、条例の基準がかかります。
屋外消火栓設備のポンプの操作部が離れていても、検査済証は交付されるのか

(消防庁の質疑応答・昭和59年1月26日・消防予第19号)
消防法第17条の3の2は、特定防火対象物などの関係者が、消防用設備等を設置したときに、消防長又は消防署長に届け出て、検査を受けなければならないと定めています。質疑は、この検査で、操作部の位置が離れていても合格としてよいかを尋ねたものです。
ところが、現行の規則第22条第10号ホは、屋外消火栓設備の起動装置を、直接操作できるもので、かつ、屋外消火栓箱の内部又はその直近の箇所に設けられた操作部(自動火災報知設備のP型発信機を含む。)から遠隔操作できるものとするよう定めています。
質疑の当時と現行で、条文の書き方は同じとは限りません。今の設置では、この答えをそのまま使わず、現行の規則の定めに合わせて、所轄の消防署に確かめてください。
昔の回答と、今の条文が食い違うこともあるんですね。
はい。
現行の条文で確かめ直すことが大切です。
よくある質問
まとめ
屋上だからといって、対象外にはならないんですね。
まずは、うちの屋上に置いているものを数え直してみます!
進める前に、所轄の消防署へ確かめておくのが安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第17条の3の2
- 消防法施行令第10条、第11条、第12条、第13条
- 消防法施行規則第22条
- 火災予防条例(例)第34条
- 消防庁の消防用設備等に係る質疑応答(予防行政の通知)
※本記事は公表されている法令および通知に基づく一般的な解説です。掲載した回答は発出当時のもので、条番号や言葉づかい等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄の消防署にご確認ください。





