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屋内貯蔵所の床はなぜ水を通さない構造にしなければならないのか|禁水性物品と第四類を含む対象四区分を解説

屋内貯蔵所の床はなぜ水を通さない構造か アイキャッチ

屋内貯蔵所の床というと、耐火構造や水はけの傾斜ばかりに目が向きがちです。
実は政令は、特定の危険物を貯蔵する倉庫の床に、水を通さない構造まで求めています。
しかも対象は禁水性物品だけでなく、性質の異なる四つの区分にまたがっています。
今回はこの床の防水構造の仕組みを、条文からたどっておきます

屋内貯蔵所の床には水はけをよくする傾斜があれば十分だと思っていました。

いいえ、特定の危険物を貯蔵する倉庫では床に水を通さない構造まで必要です。
政令が四つの区分を挙げています。

四つの区分とはどういうことですか。

禁水性物品だけでなく第四類も含まれます。
条文を順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 危険物の規制に関する政令第10条第1項第10号は、屋内貯蔵所の貯蔵倉庫の床について水が浸入し、又は浸透しない構造とすることを義務付けています
  • 対象になるのは第一類のアルカリ金属の過酸化物等・第二類の鉄粉や金属粉等・第三類の禁水性物品・第四類の危険物という四つの区分です
  • 禁水性物品とは、水との反応性試験で定められた性状を示す物品をいい、カリウム、ナトリウム、アルキルアルミニウム、アルキルリチウムを含みます
  • 第四類の危険物は禁水性物品ではありませんが、この規定では一律に対象となる点に注意が必要です
  • 床が基準に適合しない場合は自己判断で放置せず、所轄消防署に相談することが実務の要点です

屋内貯蔵所の貯蔵倉庫の床が政令第10条第1項第10号により対象四区分について水が浸入又は浸透しない構造とすることを義務付けられていることを示す図解

屋内貯蔵所の床はなぜ防水構造にしなければならないのか

屋内貯蔵所の貯蔵倉庫の床にたまった水を指差し確認する人物
屋内貯蔵所の基準というと、空地の幅や壁の耐火構造ばかりが目立ちます。
実は床そのものにも、水に関する固有の基準が定められています。
危険物の規制に関する政令第10条第1項第10号 第一類の危険物のうちアルカリ金属の過酸化物若しくはこれを含有するもの、第二類の危険物のうち鉄粉、金属粉若しくはマグネシウム若しくはこれらのいずれかを含有するもの、第三類の危険物のうち第一条の五第五項の水との反応性試験において同条第六項に定める性状を示すもの(カリウム、ナトリウム、アルキルアルミニウム及びアルキルリチウムを含む。以下「禁水性物品」という。)又は第四類の危険物の貯蔵倉庫の床は、床面に水が浸入し、又は浸透しない構造とすること。
この床面の防水構造は、危険物の性質を問わず特定の四区分に共通する固有の基準です
屋内貯蔵所の他の基準は空地の幅や壁の耐火構造など、建物全体に関わるものが中心です。
この号だけは、貯蔵する危険物の種類によって床の仕様が変わる点で異色の存在です。
対象になる危険物が具体的に何を指すのかは、次の号から確認します。

床の防水構造は、屋内貯蔵所ならどこでも必要なんですか。

いいえ、対象になる危険物の区分が決まっています。
次にその範囲を確認しましょう。

床の防水構造はどの危険物を貯蔵する倉庫に必要なのか

第一類から第四類までの危険物容器を並べて区分を示す人物
床の防水構造が必要になるかどうかは、貯蔵する危険物の性質によって決まります。
条文が挙げる四つの区分を、ひとつずつ確認します。
危険物の規制に関する政令第1条の5第四項 法別表第一備考第八号の水と接触して発火し、又は可燃性ガスを発生する危険性を判断するための政令で定める試験は、水との反応性試験とする。(略)第六項 法別表第一備考第八号の水と接触して発火し、又は可燃性ガスを発生する危険性に係る政令で定める性状は、前項の水との反応性試験において発生するガスが発火し、若しくは着火すること又は発生するガスの量が試験物品一キログラムにつき一時間当たり二百リットル以上であり、かつ、発生するガスが可燃性の成分を含有することとする。
対象になるのは、第一類から第四類にまたがる四つの区分です
第一類はアルカリ金属の過酸化物又はこれを含有するもの、第二類は鉄粉・金属粉・マグネシウム又はこれらを含有するものが対象です。
第三類は禁水性物品で、水との反応性試験でガスが発火するか、又は一定量以上の可燃性ガスを発生する性状を示す物品(カリウムやナトリウム、アルキルアルミニウム、アルキルリチウムを含む)を指します。
そして第四類の危険物はすべて対象に含まれており、禁水性物品には当たらない引火性液体も対象から外れません。
どの区分に当たるかを取り違えると、必要な床の構造そのものを見落とすことになります。

うちは灯油を貯蔵しているだけですが、それも対象になるんですか。

はい、第四類の危険物はすべて対象です。
禁水性物品でなくても床の構造は必要になります。

床にはどのような構造が求められるのか

出入口の立ち上がりと防水加工された床の断面を確認する人物
対象になる危険物が分かったところで、実際に求められる床の構造を確認します。
条文が定める要件は、実はひとつの短い文にまとまっています。
危険物の規制に関する政令第10条第1項第10号 (略)第四類の危険物の貯蔵倉庫の床は、床面に水が浸入し、又は浸透しない構造とすること。
求められているのは、床面から水が入り込まず、しみ込みもしない構造にすることです
条文自体は工法までは指定しておらず、水の浸入・浸透を防ぐという結果を求める基準です。
液状の危険物の貯蔵倉庫に傾斜と貯留設備を求める別の号とは異なり、こちらは水の侵入防止そのものに特化しています。
出入口の立ち上がりや床面の仕上げなど、水が外から入り込む経路をふさぐ工夫が実務では求められます。
具体的な仕様に迷う場合は、既存の屋内貯蔵所の施工例や所轄消防署への確認が欠かせません。

床の防水塗装をすれば、それで基準を満たしたことになりますか。

仕上げ方法は現場次第ですが、大事なのは水が入らない結果です。
具体的な仕様は消防署にご確認ください。

禁水性物品だけの規定だと誤解していないか

禁水性物品の容器と第四類のドラム缶を並べて示す人物
この基準は名前の響きから「禁水性物品専用」の規定だと思われがちです。
実際の条文を見ると、対象範囲はそれより広いことが分かります。
危険物の規制に関する政令第10条第1項第10号 (略)第三類の危険物のうち(略)禁水性物品(略)又は第四類の危険物の貯蔵倉庫の床は、床面に水が浸入し、又は浸透しない構造とすること。
禁水性物品ではない第四類の危険物も、この号では一律に対象となっています
条文自体に理由の説明はありませんが、床にたまった水に乗って引火性液体が拡散するのを防ぐ趣旨と考えられます。
「禁水性ではないから床の防水構造は関係ない」と判断すると、第四類の危険物を貯蔵する屋内貯蔵所で基準を見落とすことになります。
逆に禁水性物品を扱っていても、第一類・第二類・第三類のどの区分に当たるかまで確認しないと、対象外の危険物と混同するおそれもあります。
自社が貯蔵する危険物の類別を正確に確認することが、この見落としを防ぐ第一歩です。

禁水性物品を扱っていないので、うちは関係ないと思っていました。

第四類の危険物を貯蔵していれば対象です。
まずは類別を確認しましょう。

明日から床の防水構造の何を確認すればよいのか

左に図面を手渡す人物 右にチェックリストを持って受け取る人物
対象になる区分と求められる構造が分かったところで、確認する手順を整理します。
自社の屋内貯蔵所に当てはめて、順番に見ていきましょう。
  • 屋内貯蔵所で貯蔵している危険物が第一類・第二類・第三類・第四類のどの区分に当たるか確認する
  • 第一類のアルカリ金属の過酸化物等・第二類の鉄粉や金属粉等・第三類の禁水性物品のいずれかに該当していないか確認する
  • 該当する場合は貯蔵倉庫のが水の浸入・浸透を防ぐ構造になっているか現地で確認する
  • 構造に不安がある場合は自己判断で放置せず所轄消防署に相談する
確認するのは、危険物の区分・該当の有無・床の構造・相談先の四つで足ります
第四類の危険物は禁水性物品でなくても対象になるため、類別の確認を最初に行うことが欠かせません。
既存の屋内貯蔵所で床の構造に不安がある場合は、増改築や用途変更のタイミングを待たずに確認しておくのが実務的です。
判断に迷う場合は、自己流の改修に進む前に所轄消防署へ相談することが安全です。

まずは自社の危険物がどの区分に当たるか確認してみます。

区分が分かれば、床の点検もしやすくなります。
不安な点があれば一緒に確認しましょう。

よくある質問

Q禁水性物品とはどんな性質を持つ物品ですか?
A危険物の規制に関する政令第1条の5第5項が定める水との反応性試験で、発生するガスが発火・着火するか、又は試験物品1キログラムあたり1時間で200リットル以上の可燃性ガスを発生すると判定された物品をいい、カリウム、ナトリウム、アルキルアルミニウム、アルキルリチウムを含みます。
Qなぜ禁水性物品ではない第四類の危険物まで対象になるのですか?
A政令の条文自体には理由の説明はありませんが、床にたまった水に乗って引火性液体が拡散するのを防ぐ趣旨と考えられます。禁水性という性質の有無にかかわらず、第四類の危険物を貯蔵する屋内貯蔵所の床は一律に対象です。
Q屋外貯蔵所や屋外タンク貯蔵所にも同じ床の基準は適用されますか?
Aこの規定は政令第10条第1項第10号が定める屋内貯蔵所(貯蔵倉庫)固有の基準であり、屋外貯蔵所や屋外タンク貯蔵所には直接適用されません。それぞれ別の条項で位置・構造・設備の基準が定められています。
Q既存の屋内貯蔵所で床が防水構造になっていない場合はどうすればよいですか?
A自己判断で放置せず、速やかに所轄消防署へ相談し、床の補修や改修の方法を確認する必要があります。技術上の基準に適合しない状態のまま危険物を貯蔵し続けることはできません。

まとめ

危険物の規制に関する政令第10条第1項第10号は、屋内貯蔵所の貯蔵倉庫の床について水が浸入・浸透しない構造とすることを義務付けています
対象は第一類のアルカリ金属の過酸化物又はこれを含有するものです
第二類の鉄粉・金属粉・マグネシウム又はこれらを含有するものも対象です
第三類の禁水性物品(カリウム・ナトリウム・アルキルアルミニウム・アルキルリチウムを含む)も対象です
第四類の危険物は禁水性物品ではありませんが、この号では一律に対象となります
求められるのは床面に水が浸入し、又は浸透しない構造にすることです
基準に適合しない場合は自己判断で放置せず所轄消防署へ相談することが大切です

まずは自社が貯蔵する危険物の区分を確認してみます!

床の構造に不安があれば、一緒に確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第10条第1項第10号
  • 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第1条の5第4項・第5項・第6項
  • e-Gov法令検索(デジタル庁)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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