高層ビルや大規模な建物に置く総合操作盤は、原則として防災センターなど常時人がいる場所に置きます。ただし国の告示は、建物の一部を別の部屋で見たり、同じ敷地の監視場所や敷地の外の警備会社などで監視したりする方法も認めています。
そのとき必ず求められるのが、離れた2つの場所を結ぶ「同時に通話することができる設備」です。告示はこの設備の中身を書いていないため、各消防本部の基準が補っています。
この記事では、大阪市消防局の運用基準がこの通話設備を自動火災報知設備の節から借りてどう決め、遠隔監視場所に限って電話で足りるとしているかを、国の基準と市の運用に分けてたどります。堺市の審査基準とも番号つきの手順で比べます。
大阪市のビルで、夜間は総合操作盤の監視を警備会社に任せる計画です。
通話の設備は何を付ければよいですか?
大阪市は常時通報できる電話で足りるとしています。
ただし停電時の条件があります。
堺市でも同じ扱いですか?
堺市は自動火災報知設備の同時通話装置を求めていて、電話の特例は書かれていません。
順に見ていきましょう。
- 国の告示(平成16年消防庁告示第8号)は、総合操作盤を副防災監視場所・監視場所・遠隔監視場所で監視する場合に、相互間で同時に通話することができる設備を求めていますが、機器の種類は書いていません
- 大阪市は、この通話設備を自動火災報知設備の基準(第3 7)に適合するものとし、インターホン・非常電話・T型発信機・非常用の割り込みができる構内電話などで、停電時にも使えるものとしています(◆)
- 大阪市は、遠隔監視場所に限り、遠隔監視場所へ常時通報できる電話を置くことで足りるとし、その電話は停電時にも機能するものとしています(◆)
- 堺市は、どの方式でも自動火災報知設備の節の同時通話装置によるとし、電話で足りるという特例は書いていません。参照先の番号は現行の自動火災報知設備の節と1つずれています
- 東大阪市は、公開の運用基準に総合操作盤の節がありません。最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認します
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目次
国の告示は総合操作盤を防災センターの外で監視するとき何を求めているのか

四 遠隔監視場所 防火対象物に設置されている消防用設備等に係る監視等を行うことのできる場所のうち、当該防火対象物の敷地外にある場所(警備会社その他の場所を含む。)をいう。
- 総合操作盤は、原則として建物の中の常時人がいる防災監視場所に置く(第三)
- 例外として、建物の一部を見る副防災監視場所、同じ敷地の監視場所、敷地の外の遠隔監視場所(警備会社など)で監視できる(第四〜第六)
- どの例外でも、2つの場所の間に同時に通話することができる設備が要る。ただし、どんな機器ならよいかは告示に書かれていない
告示は「同時に通話できる設備」とだけ書いているのですね。
はい、その中身を大阪市は自動火災報知設備の節から借りています。
次で見ます。
大阪市は同時に通話できる設備に何を求めているのか

- 国の告示第8号の第四第三号・第五第四号が、同時に通話することができる設備を求める
- 大阪市の第7章 第2 2(1)ウ・(2)エが、その設備を自動火災報知設備の基準(第3.7)に適合するものとする
- 借りる先は、第2章 第1節 自動火災報知設備の第3 受信機 7で、もともとは国の規則第24条第2号トの「同時に通話することができる設備」を読み解いた項目
(1) 機器は、次のいずれかであること
ア インターホン
イ 非常電話
ウ T型発信機
エ 構内電話で非常用の割り込みができる機能を有するもの又はこれと同等のもの
(2) 次の機能を有すること
ア 1の送受機を取り上げる方式又は選局スイッチを操作する方式等簡易な方法により、自動的に他の機器への発信が可能なものであること
イ 1の送受機の発信により、他方の機器への呼出し音が鳴動すること。なお、表示装置が設けられているものは、当該表示が有効に点灯するものであること
ウ 常用電源の停電時にも使用できるものであること。ただし、乾電池式のインターホンにあっては、電池交換の表示又は警報がでるものに限る。
(3) 受信機の付近で容易に操作できる位置に設けること
- 機器はインターホン・非常電話・T型発信機・非常用の割り込みができる構内電話(又はこれと同等のもの)
- 送受機を取ると相手に発信でき、相手側で呼出し音が鳴る簡単な操作であること
- 常用電源が停電しても使えること(乾電池式のインターホンは電池交換の表示か警報が出るもの)
自動火災報知設備の受信機どうしをつなぐ通話設備と、同じ物差しなのですね。
はい、停電時にも使えることが大事な条件です。
次は遠隔監視場所の特例です。
大阪市で遠隔監視場所の通話は電話で足りるのか

- 国の告示第六第四号が、遠隔監視場所と監視対象物の防災監視場所の間に同時に通話することができる設備を求める
- 大阪市の(3)ウは、その設備を自動火災報知設備の基準(第3.7)に適合するものとしたうえで、遠隔監視場所へ常時通報することができる電話を置くことで足りるとする
- その電話は、遠隔監視場所と監視対象物のどちらが停電しても機能するもの(又は機能する措置をしたもの)に限る
一方で、停電時の条件は第3 7(2)ウの「常用電源の停電時にも使用できる」と同じ考え方で、両方の場所の停電まで書いている点が遠隔監視場所らしいところです。どんな電話なら「停電時にも機能する」といえるかは運用基準に例示がないので、消防署に確かめます。 遠隔監視場所の要員と、駆けつけの体制も大阪市は(3)オ・カで補っています。
カの「即時通報受託業者等登録審査基準」は、大阪市の運用基準の中には本文が載っていません。中身はこの記事では扱わず、体制の組み方は消防局に確かめる前提で紹介しています。夜間の当直や遠隔監視の要件の全体像は総合操作盤と夜間の当直の記事で解説しています。
警備会社の監視センターなら、常時通報できる電話で足りるのですね。
はい、ただし停電しても機能する電話であることが条件です。
次は堺市です。
堺市は総合操作盤の同時通話装置をどう決めているのか

なお、「同時通話装置」については、第12 自動火災報知設備Ⅱ.1.(3).エによること。
ただし、同一室内に2以上の受信機が設けられている場合は、同時通話装置を設けないことができる。
(ア) 発信機(P型1級、T型)
(イ) 非常電話
(ウ) インターホン
(エ) 構内電話で緊急割込の機能を有するもの
- 国の告示第四〜第六が、離れた場所の間に同時に通話することができる設備を求める
- 堺市の第26 3(1)エ・(2)オ・(3)オが、同時通話装置を設け、その中身は第12 自動火災報知設備 Ⅱ.1.(3).エによるとする
- 現行の第12 Ⅱ 1(3)では、同時通話装置の項目はカにある。内容から読むとカを指していると読めるが、番号の対応は消防局に確かめる
遠隔監視場所の要員の駆けつけは、堺市は(3)キ(イ)で「高層複合用途防火対象物における防火管理体制指導マニュアルについて」(平成3年5月14日消防予第98号)に準じた体制とし、◆①(総合操作盤の基準及び設置方法に係る運用について 平成16年5月31日消防予第93号)を付けています。堺市の凡例では、◆は消防庁の通知等を参考に定めた指導基準です。
堺市は、遠隔監視場所でも自動火災報知設備と同じ同時通話装置なのですね。
はい、電話の特例は書かれていません。
最後に3市を並べます。
大阪市と堺市と東大阪市を並べると何が違うのか

(ア) 「同時に通話することができる設備」(以下「同時通話装置」という。)とは、次に掲げるものであること。ただし、同一室内に設けられている場合は、同時通話装置を設けないことができる。
a インターホン
b 非常電話
c 発信機(T型)
d 構内電話で非常用の割り込みができる機能を有するもの又はこれと同等のもの
| 項目 | 大阪市 | 堺市 | 東大阪市 |
|---|---|---|---|
| 総合操作盤の通話設備の定め | 第7章 第2 2(1)ウ・(2)エ・(3)ウ(◆) | 第26 3(1)エ・(2)オ・(3)オ(無印) | 公開の運用基準に総合操作盤の節なし |
| 借りる先 | 自動火災報知設備 第3 7(◆) | 第12 自動火災報知設備 Ⅱ.1.(3).エ(現行ではカに同時通話装置) | (自火報 1⑵オ▲) |
| 機器 | インターホン・非常電話・T型発信機・非常用の割り込みができる構内電話等 | P型1級・T型発信機・非常電話・インターホン・緊急割込の構内電話 | インターホン・非常電話・T型発信機・非常用の割り込みができる構内電話等 |
| 機能・位置 | 簡単な発信・呼出し音・停電時も使用可・受信機付近 | 記載なし | 記載なし |
| 同じ部屋に受信機が2台以上 | 第3 7に例外の記載なし | 設けないことができる(◆①) | 設けないことができる |
| 遠隔監視場所の通話 | 常時通報できる電話で足りる(両方の停電時も機能) | 同時通話装置(電話の特例なし) | - |
| 遠隔監視場所の駆けつけ体制 | 即時通報受託業者等登録審査基準に準じる(◆) | 消防予第98号のマニュアルに準じる(◆①) | - |
大阪市で受信機や図面があれば総合操作盤を置いたとみなす特例は、大阪市の総合操作盤のみなし特例の記事で解説しています。 大阪市で総合操作盤を遠隔監視する計画は、次の順に確かめると抜けが出ません。
- 監視する場所が同じ敷地(監視場所)か、敷地の外(遠隔監視場所)かを決める
- 監視場所なら、自動火災報知設備の第3 7に合うインターホン・非常電話などで結び、停電時にも使えるかを確かめる
- 遠隔監視場所なら、常時通報できる電話で足りるかを検討し、両方の場所の停電時にも機能する措置を設備業者と詰める
- 要員の資格(令第4条の2の8第3項)と、即時通報受託業者等登録審査基準に準じた駆けつけの体制を消防計画に落とし込む
- 計画の段階で管轄の消防署・消防局と協議し、最新の運用を確かめる
敷地の外の警備会社なら電話で足りるのは大阪市の運用で、堺市では同時通話装置が要るのですね。
はい、同じ告示でも市によって借りる規定が違います。
計画する市の基準で確かめましょう。
よくある質問
まとめ
まず監視するのが同じ敷地か敷地の外かを決めます。
停電時の電話の措置も設備業者と詰めます!
大阪市は遠隔監視場所だけ電話の特例があるのが要点です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」凡例/第7章 総合操作盤 第2 総合操作盤の設置 2(1)ウ、(2)エ、(3)ウ・オ・カ/第2章 第1節 自動火災報知設備 第3 受信機 7 https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
- 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第1章 総則 4 凡例/第26 総合操作盤 Ⅱ 細目 3 防災監視場所等(1)エ・(2)オ・(3)オ・キ、通知一覧◆①/第12 自動火災報知設備 Ⅱ 細目 1(3)カ https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 東大阪市消防局「自動火災報知設備の設置に係る運用基準」凡例/Ⅱ 細目 1 受信機 ⑵ 設置方法 オ https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000041303.html
- 消防法施行規則 第12条第1項第8号、第24条第2号ト、消防法施行令 第4条の2の8第3項(e-Gov法令検索)
- 総合操作盤の設置方法を定める件(平成16年消防庁告示第8号)第二・第三・第四・第五・第六 https://www.fdma.go.jp/laws/kokuji/post63/
※本記事は公表されている法令および大阪市・堺市・東大阪市の公開資料に基づく一般的な解説です。運用基準や審査基準は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認してください。各資料は2026年10月時点の公開版で確認しています。大阪市の「即時通報受託業者等登録審査基準」の内容と、堺市の総合操作盤の節が参照する「Ⅱ.1.(3).エ」と現行の自動火災報知設備の節の番号の対応は、この記事では断定していません。





