連結送水管は、消防隊が建物の外の送水口から水を送り込む、壁や床の中を通る配管です。
その点検要領には、配管に実際に水圧をかけて確かめる耐圧性能という項目があります。
設置から10年がたった配管に、送水口から水圧をかけて、変形や漏水がないかを見る点検です。
この記事では、告示と点検要領をもとに、配管の耐圧性能をどう点検するのかを整理します。
配管の点検って、目で見て漏れがなければ十分ではないのですか。
壁や床の中の配管は、見えない部分が多いので、水圧をかけて確かめる項目が別にあります。
まず全体像から見ていきましょう。
水圧をかけるとなると、どこから何をかけるのか、想像がつきません。
かけ方は、点検要領が圧力の種類や時間まで決めています。
順番に見ていきましょう。
- 配管の耐圧性能は、設置した日から10年を経過した日以降に点検する項目です。
- 前回の耐圧点検から3年たっていない場合は除かれ、屋内消火栓設備と共用している部分も対象外です。
- 水圧は送水口から送水して、設計送水圧力の締切静水圧を3分間かけて確かめます。
- 乾式の配管は、充水の前にテスト弁以外の放水口が閉止状態にあることを確かめ、寒冷地では点検後に排水します。
- 判定は、送水口本体、配管、接続部分、弁類に変形も漏水もないこと。
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目次
連結送水管の点検は送水口で何を確かめるのか

その送水口自体の点検を、告示と点検要領で先に見ておきます。
ア 周囲の状況 周囲に使用上及び消防ポンプ自動車の接近の障害となるものがないこと。
イ 外形 漏れ、変形、損傷等がなく、異物が入っていないこと。
ウ 本体 パッキンの老化等がなく、ホース等が容易に着脱できること。
エ 標識 適正に設けられていること。
(判定方法)イ 差込み式のものにあっては、爪部分、スプリング部分等に錆等がないこと。また、ねじ式のものにあっては、ねじ山のつぶれ等がないこと。ウ 保護具が設けてあるものにあっては、保護具の変形、損傷等がないこと。
周囲の状況の判定に、消防ポンプ自動車の接近の障害が入っているのが特徴です。
結合金具は、差込み式なら爪やスプリングの錆、ねじ式ならねじ山のつぶれを見ます。
標識の違いは建物の外に並ぶ送水口はどれも同じものなのか|連結送水管と連結散水設備の標識の違いを解説で、告示との関係はスプリンクラー設備や連結送水管の送水口はなぜ共通の告示で決まっているのか|結合金具と耐圧試験の基準を解説で解説しています。
だから点検の前に、送水口の前に車や荷物が置かれていないかを、自分の目でも見ておきましょう。
送水口って、金具が付いていれば点検は済むのではないですか。
点検要領は、金具の錆やねじ山のほかに、消防ポンプ車の接近まで判定に挙げています。
次の項目から、配管の耐圧を見ていきましょう。
配管の耐圧性能は設置から何年たてば点検するのか

告示の文は、次のとおりです。
(イ) 配管の耐圧性能(配管を設置した日から10年を経過した日以降に点検を行う場合に限る。ただし、配管の耐圧性能に関する点検を行ってから3年を経過していない場合及び屋内消火栓設備と当該配管を共用している部分を除く。)
所定の水圧をかけた場合において、変形又は漏水がないこと。
| 条件 | 耐圧性能の点検 |
|---|---|
| 設置した日から10年を経過した日以降 | 行う |
| 設置から10年を経過していない | この項目の対象にならない |
| 前回の耐圧点検から3年を経過していない | 除かれる |
| 屋内消火栓設備と配管を共用している部分 | 除かれる |
起算するのは、告示に書かれた配管を設置した日です。
屋内消火栓設備と配管を共用している部分は、この項目から除くにあります。
費用や流れの概要は、連結送水管の耐圧試験とは?費用・点検周期(頻度)および流れを専門業者が徹底解説にまとめています。
だから点検の前に、配管を設置した年を、設備台帳や工事の記録で調べておきましょう。
設置した年が分からない建物は、どう数えればよいのですか。
告示は、配管を設置した日から数えると書いています。
記録が残っているかを、まず確かめましょう。
耐圧の水圧は送水口からどうかけるのか

点検方法と留意事項は、次のとおりです。
(点検方法)送水口から動力消防ポンプ又はそれと同等の試験を行うことができる機器を用いて送水した後、締切静水圧を3分間かけて確認する。
※① 配管内の空気を排出した後、テスト弁を締め切ること。② 締切静水圧は、設計送水圧力(加圧送水装置を設けた場合は、締切圧力)とする。③ 危険防止及び水損防止のため急激な昇圧を避け、圧力計で確認しながら徐々に加圧すること。⑤ 加圧送水装置を設けている場合の一次側の圧力は、ポンプの設計押込圧力以下とすること。
配管の設計送水圧力(ノズルの先端における放水圧力が〇・六メガパスカル(フォグガン等を使用するものとして消防長又は消防署長が指定する防火対象物にあつては、当該フォグガン等が有効に機能する放水圧力として消防長又は消防署長が指定する放水圧力とする。)以上となるように送水した場合における送水口における圧力をいう。以下この号において同じ。)
空気を抜いてからテスト弁を締め切り、締切静水圧をかけるのが手順です。
設計送水圧力は、放水口のノズル先端で0.6メガパスカル以上になるように送水したときの、送水口の圧力です。
加圧送水装置を設けた配管では、締切圧力を使い、一次側の圧力はポンプの設計押込圧力以下にします。
だから点検の前に、圧力計の見えやすい位置と、急に昇圧しない段取りを、点検の担当者と確かめておきましょう。
設計送水圧力って、点検のたびに自分で計算するのですか。
いいえ、設計送水圧力は設置のときの設計で決まっている、その配管の値です。
設計の図書に書かれた値を、点検の担当者と確かめましょう。
乾式の連結送水管は耐圧点検で何に気をつけるのか

乾式の場合の留意事項は、点検要領に次のとおり書かれています。
a 充水に先立ちテスト弁を除きすべての放水口等が閉止状態にあることを確認すること。
b 寒冷地で凍結のおそれがある場合は、点検終了後、配管内の排水を十分に行うこと。
(判定方法)送水口本体、配管、接続部分、弁類等の変形、漏水等がないこと。
充水の前に確かめるのは、テスト弁を除くすべての放水口等が閉止状態にあることです。
寒冷地で凍結のおそれがあるときは、点検が終わったあとに配管内の排水まで求められています。
判定は、送水口本体から配管、接続部分、弁類まで、変形と漏水がないことです。
だから点検の前に、放水口の開閉弁がすべて閉じているかを、階ごとに一覧にして確かめましょう。
点検が終わったあとに排水まで必要なのは、なぜですか。
点検要領は、寒冷地で凍結のおそれがあるときに、排水を十分に行うよう求めています。
冬に点検する建物では、とくに段取りに入れておきましょう。
耐圧点検のほかにホースと放水口では何を見るのか

告示と点検要領の文は、次のとおりです。
(イ) ホースの耐圧性能(ホースの製造年の末日から10年を経過した日以降に点検を行う場合に限る。ただし、ホースの耐圧性能に関する点検を行ってから3年を経過していない場合を除く。)
所定の水圧をかけた場合において、変形又は著しい漏水がないこと。
(ホース)ホースの端末部に充水し、耐圧試験機等により所定の水圧を5分間かけて確認する。所定の水圧は、消防用ホースの技術上の規格を定める省令(平成25年総務省令第22号)によりホースの種類に応じて定められた使用圧とする。
(放水口の標識)放水用器具格納箱の上部に赤色の位置表示灯を設けるものにあっては、球切れ、損傷等の状況を確認すること。
起算が、ホースは製造年の末日、配管は設置した日という違いがあります。
配管の判定は「変形又は漏水」で、ホースの判定は「変形又は著しい漏水」と書かれています。
放水用器具格納箱の上部に位置表示灯があるものは、球切れや損傷まで確かめます。
ホースの手順は屋内消火栓のホースは製造から10年たつとなぜ水圧をかけて点検するのか|使用圧を5分間かける耐圧性能点検の手順と判定を解説で、ポンプの逃し水量は消防ポンプの逃し水量はなぜ締切出力から計算して確かめるのか|屋内消火栓の点検で使う式と判定を解説で解説しています。
だから点検のあとは、ホースの製造年と配管の設置年を、別々に台帳へ書き分けておきましょう。
ホースも配管も十年ということは、同じ日に点検すればよいのですか。
いいえ、起算する日が製造年の末日と設置した日で違います。
台帳には、別々に書いておきましょう。
よくある質問
まとめ
まず連結送水管の配管を設置した年とホースの製造年を、台帳で調べるところから始めます!
耐圧点検は、水圧のかけ方と乾式の段取りまで確かめて、初めて配管を見たといえます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第31条の6(消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び報告)、第31条(連結送水管に関する基準の細目)
- 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(昭和50年消防庁告示第14号)別表第20
- 消防用設備等の点検要領(消防庁通知) 第20 連結送水管
- 消防用ホースの技術上の規格を定める省令(平成25年総務省令第22号)
※本記事は公表されている法令、告示および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。





