平成28年7月29日、消防庁は消防予第237号で、消防用ホースにつなぐ管そうや媒介金具などの技術基準の一部を改正しました。
通知は改正の背景として、広範囲型2号消火栓の普及に伴い、呼称25の媒介金具の使用事例が増えていることを挙げています。
この技術基準は法令ではなく、消防組織法第37条に基づく助言として出されたものです。
この記事では、通知の対象と基準の中身、読むときに見落としやすい点を、消防庁の通知と現行の条文をもとに解説します。
消火栓のホースにつなぐ器具にも、基準があると聞きました。
私の建物のホースにも関係があるのでしょうか。
関係するのは、ホースにつなぐ管そうや媒介金具の基準です。
まず通知が出た理由と対象の器具を順に見ていきましょう。
器具の種類ごとに決まりがあるのですね。
はい。
読むときの落とし穴までお伝えします。
- 消防庁は平成28年7月29日の消防予第237号で、結合金具に接続する消防用接続器具の構造、性能等に係る技術基準の一部を改正しました。
- 背景には、広範囲型2号消火栓の普及に伴い、呼称25の差し口または受け口を持つ媒介金具の使用事例が増えたことがあります。
- 対象は、管そう・スムースノズル・噴霧ノズル・媒介金具・スタンドパイプで、2号消火栓や補助散水栓に使う管そうとスムースノズルは含まれません。
- 基準には、着脱力・耐圧・落下・腐食などの試験と、製造者・製造年・呼称の表示が定められています。
- この技術基準は消防組織法第37条に基づく助言で、令第41条の自主表示の対象に結合金具は入っていますが、接続器具は列挙されていません。
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目次
広範囲型2号消火栓の普及で消防用接続器具の基準はなぜ改正されたのか

平成25年に、一人で操作でき、設置間隔を25メートル以下とする2号消火栓が、消防法施行令に新たに規定されました。
平成25年に「消防法施行令の一部を改正する政令」(平成25年政令第88号)が施行され、一人操作が可能であって、かつ設置間隔を25m以下とする2号消火栓(以下「広範囲型2号消火栓」という。)が新たに規定されましたが、近年広範囲型2号消火栓の普及に伴い、当該消火栓の消防用ホースに対応する呼称25の差し口又は受け口を有する媒介金具の使用事例が増加していること等を踏まえ、結合金具に接続する消防用接続器具の構造、性能等に係る技術基準の一部を別紙のとおり改正しましたので通知します。
次に掲げる基準
(1)屋内消火栓は、防火対象物の階ごとに、その階の各部分から一のホース接続口までの水平距離が二十五メートル以下となるように設けること。
(2)(略)
(3)屋内消火栓設備の消防用ホースの構造は、一人で操作することができるものとして総務省令で定める基準に適合するものとすること。
ホースの届く範囲を広げた広範囲型2号消火栓は、令第11条第3項第2号ロで、水平距離25メートル以下と定められています。
この消火栓のホースにつなぐ媒介金具のうち、呼称25の差し口または受け口を持つものが増えたため、基準も改められました。
通知は「使用事例が増加していること等を踏まえ」と述べており、事故を理由には挙げていません。
改正は、平成28年8月1日に施行されています。
広範囲型2号消火栓が増えたことが、きっかけなのですね。
はい。
通知が挙げた理由は、呼称25の媒介金具の使用事例の増加です。
通知の基準が対象にする消防用接続器具はどんな器具なのか

結合金具はホースの端に付ける金具で、その先につなぐ道具が対象になります。
一 消防用接続器具 管そう(泡管そう及び2号消火栓若しくは補助散水栓に使用するものを除く。)、スムースノズル(2号消火栓及び補助散水栓に使用するものを除く。)、噴霧ノズル、媒介金具及びスタンドパイプをいう。
(略)
十一 媒介金具 受け口又は差し口を2以上有し、差込式結合金具又はねじ式結合金具の差し口又は受け口相互を媒介し、連結する金具をいう。
5種類の器具の意味は、次の表のとおりです。
| 器具 | 通知の説明 |
|---|---|
| 管そう | 可搬式の放水専用の管そう(ノズルチップを除く) |
| スムースノズル | 棒状放水専用のノズルチップ |
| 噴霧ノズル | 棒状放水及び噴霧放水を兼用できるノズル |
| 媒介金具 | 受け口または差し口を2以上有し、結合金具の差し口または受け口の相互を連結する金具 |
| スタンドパイプ | 地下式消火栓に接続し、地上で吸水に使用する消防用ホースまたは消防用吸管まで導水する可搬式の管 |
呼称は、その寸法により決まる呼びで、第3条第4号が一覧を定めています。
四 媒介金具 両側の受け口又は差し口の寸法により呼称150、呼称125、呼称100、呼称90、呼称75、呼称65、呼称50、呼称40、呼称30 及び呼称25(差込式の受け口又は差し口にあっては呼称150、呼称125、呼称100 及び呼称90 を消防用吸管に用いるもの(以下「吸管用」という。)の受け口又は差し口にあっては呼称40、呼称30 及び呼称25 を除く。)の組み合わせで区分する。
対象は、管そうや媒介金具など5種類なのですね。
はい。
2号消火栓や補助散水栓に使う管そうなどには、除外もあります。
基準は消防用接続器具にどんな試験と表示を求めているのか

主な試験は、次の表のとおりです。
消防用接続器具は、差し口にあっては結合金具の受け口と、受け口にあっては結合金具の差し口とそれぞれかん合し、かつ、その他の消防用接続器具を結合した状態において、2.0 メガパスカル(差し口又は受け口の寸法が呼称40 以上の媒介金具(吸管用のものを除く。)にあっては3.0 メガパスカル、噴霧ノズルにあっては1.5 メガパスカル)の内圧力を5分間加えた場合、き裂、著しい変形、漏水等が生じず、かつ、かん合部又は結合部から離脱しないものでなければならない。(略)
| 試験 | 通知が定める内容 | 条 |
|---|---|---|
| 着脱力 | 結合金具とのかん合と離脱に必要な力が、呼称ごとに定める値以下(呼称75で150ニュートン、呼称25で75ニュートン) | 第7条 |
| 耐圧 | 2.0メガパスカルの内圧を5分間加える(呼称40以上の媒介金具は3.0メガパスカル) | 第8条 |
| 漏水 | 1.3メガパスカル以下の任意の内圧で、かん合部から漏水しない(呼称40以上の媒介金具は2.0メガパスカル) | 第9条 |
| 繰返し | 差込式は、1,000回のかん合と離脱を行っても、き裂や著しい変形が生じない | 第10条 |
| 曲げ | 内圧を加えて直角に力を加えても、離脱せず、き裂や変形が生じない | 第11条 |
| 落下 | 高さ1メートルからコンクリート床面へ自由落下させる(吸管用の媒介金具は0.7メートル) | 第12条 |
| 腐食 | 塩水を8時間噴霧して16時間放置する工程を5回繰り返す | 第13条 |
| 引きずり | 媒介金具(吸管用を除く)は、ホースを装着して20メートル引きずる | 第23条 |
結合金具の技術上の規格を定める省令(平成25年総務省令第23号)にも、第12条から第19条までに耐圧・漏水・繰返し・曲げ・落下・腐食などの試験があります。
結合金具につなぐ器具にも、同じつなぎ目の強さを確かめる試験が求められているのです。
試験の種類が、結合金具とそろっているのですね。
はい。
着脱力は呼称ごとに値が決まっています。
通知を読むときに見落としやすい点はどこか

特に、次の4つを押さえておきましょう。
なお、本通知は、消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条の規定に基づく助言として発出するものであることを申し添えます。
消防庁長官は、必要に応じ、消防に関する事項について都道府県又は市町村に対して助言を与え、勧告し、又は指導を行うことができる。
法第二十一条の十六の二の政令で定める消防の用に供する機械器具等は、次に掲げるもの(略)とする。
一 動力消防ポンプ
二 消防用ホース
三 消防用吸管
四 消防用ホースに使用する差込式又はねじ式の結合金具及び消防用吸管に使用するねじ式の結合金具
五 エアゾール式簡易消火具
六 漏電火災警報器
第1に、2号消火栓や補助散水栓に使う管そうとスムースノズルは、通知が定める消防用接続器具から除かれています。
ただし媒介金具は、通知の対象の器具に含まれています。
第2に、この基準は助言として出されたもので、法令のように直接の義務を課すものではありません。
第3に、令第41条が定める自主表示の対象には結合金具が入っていますが、消防用接続器具は列挙されていません。
第4に、改正の中身は呼称25の追加だけではありません。新旧対照表を見ると、引用する規格省令が平成25年総務省令第23号に改められ、力や圧力の単位もニュートンとメガパスカルで書かれています。 関係する条文と通知の位置づけは、次の表のとおりです。
| 項目 | 根拠 | 内容 |
|---|---|---|
| 広範囲型2号消火栓 | 令第11条第3項第2号ロ | 水平距離25メートル以下で、一人で操作できるホースの構造 |
| 結合金具の規格 | 規格省令(平成25年総務省令第23号) | 差込式・ねじ式の結合金具の技術上の規格 |
| 自主表示 | 法第21条の16の2、令第41条第4号 | 結合金具は自主表示対象機械器具等 |
| 接続器具の技術基準 | 消防予第237号(消防組織法第37条) | 助言として示された構造・性能等の基準 |
対象外の器具があるのは、見落としそうです。
はい。
管そうと媒介金具で扱いが分かれる点に気をつけてください。
明日から消火栓まわりの器具をどう確かめればよいのか

器具の表示は、次の5点を手がかりにしてください。
消防用接続器具は、次に掲げる事項を容易に消えないように表示しなければならない。
一 製造者又は商標
二 製造年
三 管そうにあっては受け口の呼称とノズル結合部の大きさの呼びの組み合わせ、(略)媒介金具にあっては両端の呼称の組み合わせ、(略)
媒介金具の両端の呼称は、つなぐホースや器具の呼称と合っている必要があります。
表示が消えていたり読めなかったりする場合は、製造者に問い合わせるのが確実です。
次の5点を、自分の建物の消火栓に当てはめて確認してみてください。
- 器具の表示に、製造者または商標と製造年があるか確かめる
- 媒介金具は、両端の呼称の組み合わせが、つなぐホースや器具と合っているか確かめる
- 2号消火栓や補助散水栓に使う管そうやノズルは、通知の対象から除かれていることを踏まえ、仕様を製造者に確かめる
- 着脱に必要以上の力が要らないか、つなぎ目の動きを確かめる
- 交換や買い替えのときは、通知の技術基準に適合した製品かを製造者へ問い合わせる
まず消火栓箱を開けて、器具の表示を見てみます。
お願いします。
表示が読めないときは、製造者へ問い合わせてください。
よくある質問
まとめ
消火栓箱の器具の表示を確かめてみます!
消火栓まわりの点検や設備の相談も、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 「結合金具に接続する消防用接続器具の構造、性能等に係る技術基準の一部改正について」(平成28年7月29日 消防予第237号 消防庁予防課長通知)
- 消防法(昭和23年法律第186号)第21条の16の2〜第21条の16の4、消防法施行令(昭和36年政令第37号)第11条・第41条、消防用ホースに使用する差込式又はねじ式の結合金具及び消防用吸管に使用するねじ式の結合金具の技術上の規格を定める省令(平成25年総務省令第23号)、消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条 e-Gov法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





