消防用水は、消防隊が消火に使う水を、建物の側があらかじめ用意しておく設備です。
その点検の項目は、告示の別表第17に、水源と、吸管投入孔及び採水口の二つの区分が並んでいます。
貯水槽の腐食、水量、給水装置の動作、周囲の状況など、目視と操作で確かめる内容です。
この記事では、告示と点検要領をもとに、消防用水の機器点検で何をどう確かめるのかを整理します。
消防用水の点検って、水槽に水が入っているかを見れば済むのではないですか。
水があるかどうかも見ますが、その前に貯水槽の状態や取水の口も確かめます。
まず全体像から見ていきましょう。
項目はどのくらいあるのですか。
告示は、水源の4項目と、吸管投入孔及び採水口の周囲の状況や標識などを並べています。
順番に見ていきましょう。
- 消防用水の点検は、水源と、吸管投入孔及び採水口の順に機器点検の項目を確かめます。
- 水量は、規定量以上あるかに加えて、有効水量が地盤面から4.5m以内の部分にあるかを見ます。
- 給水装置は、減水状態では給水し、満水状態では給水が停止することを操作して確かめます。
- 周囲の状況は、消防ポンプ自動車が2m以内に接近できるかと、建築物から水平距離100m以下かを図面と照らします。
- 告示別表第17に、総合点検の項目は置かれていません。
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目次
消防用水の点検では貯水槽と自然水利の何を確かめるのか

告示と点検要領の文は、次のとおりです。
ア 貯水槽 変形、損傷、漏水、著しい腐食等がないこと。
(貯水槽)目視により確認する。変形、損傷、漏水、著しい腐食等がないこと。
※(ア) 河川、湖沼、池等の自然水利を用いる場合は、四季を通じて常に規定水量が確保されていること。
(イ) 一般ポンプの増設等により水量が規定量確保できない場合があるので注意すること。
(ウ) 加圧送水装置を使用するものにあっては、遠隔起動装置の操作により、加圧送水装置を起動させて点検を行うこと。なお、この場合の点検要領は、屋内消火栓設備の点検要領に準じて行うこと。
点検要領は、判定の留意事項を、※印で3つ付けています。
河川、湖沼、池などの自然水利を用いる場合は、四季を通じて常に規定水量が確保されていることが判定です。
一般ポンプの増設などで水量が規定量に足りなくなることがあるので、注意するよう書かれています。
加圧送水装置を使うものは、遠隔起動装置を操作して加圧送水装置を起動させ、屋内消火栓設備の点検要領に準じて点検します。
だから点検の前に、その建物の消防用水が、貯水槽か自然水利か、加圧送水装置を使うものかを、図面で確かめておきましょう。
池や河川でも、消防用水として点検するのですか。
点検要領は、自然水利を用いる場合の判定を、四季を通じて常に規定水量と書いています。
季節による水量の変化まで見ます。
消防用水の水量と水状と給水装置は点検でどう確かめるのか

告示と点検要領の文は、次のとおりです。
イ 水量 規定量が確保されていること。ウ 水状 著しい腐敗、浮遊物、沈澱物等がないこと。エ 給水装置 変形、損傷、著しい腐食等がなく、機能が正常であること。
(水量)目視及び所定の操作により確認する。規定量以上確保されていること。なお、有効水量は、地盤面からの深さが4.5m以内の部分にあること。
(水状)目視により確認する。著しい腐敗、浮遊物、沈澱物がないこと。
(給水装置)目視及び所定の操作により確認する。ア 変形、損傷、著しい腐食等がないこと。イ 減水状態では給水し、満水状態では給水が停止すること。
消防用水は、その有効水量(地盤面下に設けられている消防用水にあつては、その設けられている地盤面の高さから四・五メートル以内の部分の水量をいう。以下この条において同じ。)の合計が、…(略)…量以上の量となるように設けること。
水量の判定は、規定量以上が確保されていて、有効水量が地盤面からの深さ4.5m以内の部分にあることです。
告示の文は「規定量が確保されていること」までで、4.5mの数字は点検要領の側に書かれています。
設置の側の令第27条第3項第1号は、地盤面下の消防用水の有効水量を、地盤面の高さから四・五メートル以内の部分の水量と定めています。
水状は、著しい腐敗、浮遊物、沈澱物がないことが判定です。
給水装置は、減水状態では給水し、満水状態では給水が停止することまで、操作して確かめます。
だから点検の前に、水槽の深さのうち有効水量として数える範囲を、図面で確かめておきましょう。
水がたくさん入っていれば、水量は問題ないのですか。
点検要領は、有効水量が地盤面から4.5m以内の部分にあることを判定にしています。
深い底の水は、数えません。
消防用水の吸管投入口と採水口は点検でどこまで操作するのか

告示と点検要領の文は、次のとおりです。
イ 吸管投入口 変形、損傷等がなく、吸管投入孔の蓋又は扉の開閉が容易にできること。ウ 採水口 (ア) 本体 変形、損傷、漏水、つまり、パッキンの老化等がなく、吸管等の着脱が容易にできること。(イ) 開閉弁 変形、損傷等がなく、開閉操作が容易にできること。エ 標識 適正に設けられていること。
(吸管投入口)目視により確認する。ア 変形、損傷等がなく、蓋又は扉等の開閉が確実にできること。イ 吸管の投入に支障のない大きさを有していること。
(採水口 本体)吸管の着脱及び目視により確認する。ア 変形、損傷、漏水、つまり、パッキンの老化等がないこと。イ 吸管等の着脱が容易にできること。
(採水口 開閉弁)目視及び手で操作することにより確認する。変形、損傷等がなく、開閉操作が容易にできること。
(標識)目視により確認する。吸管投入口又は採水口である旨の表示に損傷、脱落、汚損等がないこと。
防火水槽には、適当の大きさの吸管投入孔を設けること。
吸管投入口は、蓋又は扉等の開閉が確実にできることと、吸管の投入に支障のない大きさであることが判定です。
採水口の本体は、実際に吸管の着脱で確かめ、つまりやパッキンの老化がないことが判定です。
採水口の開閉弁は、目視に加えて手で操作することで、開閉操作が容易にできることを確かめます。
標識は、吸管投入口又は採水口である旨の表示に、損傷、脱落、汚損等がないことが判定です。
設置の側では、令第27条第3項第5号が、防火水槽に適当の大きさの吸管投入孔を設けるよう定めています。
だから点検の前に、消防ポンプ自動車の吸管を、蓋を開けた投入口と採水口へ実際に着脱できる状態かを、点検の担当者と確かめておきましょう。
蓋が開くのを確かめれば、投入口の点検は済むのですか。
点検要領は、蓋の開閉に加えて、吸管の投入に支障のない大きさも判定にしています。
開くだけでなく、使える口かまで見ます。
消防用水の周囲の状況は点検で何を図面と照らすのか

告示と点検要領の文は、次のとおりです。
ア 周囲の状況 周囲に使用上及び消防ポンプ自動車の接近に障害となるものがないこと。
(周囲の状況)目視及び関係図書により確認する。ア 周囲に使用上及び消防自動車の接近の障害となるものがなく、消防ポンプ自動車が2m以内に容易に接近できるように設けてあること。イ 建築物の各部分から一の消防用水までの水平距離が100m以下の位置にあること。
第2号 消防用水は、建築物の各部分から一の消防用水までの水平距離が百メートル以下となるように設けるとともに、一個の消防用水の有効水量は、二十立方メートル未満(流水の場合は、〇・八立方メートル毎分未満)のものであつてはならないものとすること。
第4号 消防用水は、消防ポンプ自動車が二メートル以内に接近することができるように設けること。
告示の文は、使用上及び消防ポンプ自動車の接近の障害となるものがないことまでです。
点検要領は、消防ポンプ自動車が2m以内に容易に接近できることを、判定に加えています。
同じく点検要領は、建築物の各部分から一の消防用水までの水平距離が100m以下の位置にあることも、判定に挙げています。
設置の側では、令第27条第3項の第2号が百メートル以下を、第4号が二メートル以内の接近を定めています。
設置義務の規模基準は、消防用水はどんな建物に設置義務があるのか|敷地面積と延べ面積で決まる規模基準を解説で解説しています。
だから点検の前に、水槽の周りに物や車が置かれていないかを見て、建築物との距離は図面で確かめておきましょう。
水平距離って、点検のたびに測り直すのですか。
点検要領は、この判定を目視及び関係図書で確認すると書いています。
目視と図面で、位置関係を確かめます。
消防用水の点検に総合点検はあるのか

告示の別表第17は、次のとおり機器点検で始まります。
機器点検 次の事項について確認すること。
(1) 水源 (2) 吸管投入孔及び採水口
| 点検項目 | 点検方法(点検要領) |
|---|---|
| 貯水槽 | 目視 |
| 水量 | 目視及び所定の操作 |
| 水状 | 目視 |
| 給水装置 | 目視及び所定の操作 |
| 周囲の状況 | 目視及び関係図書 |
| 吸管投入口 | 目視 |
| 採水口の本体 | 吸管の着脱及び目視 |
| 採水口の開閉弁 | 目視及び手で操作 |
| 標識 | 目視 |
点検要領の第17も、機器点検の表だけで構成されています。
点検の方法は、目視のほかに、所定の操作・関係図書の照合・吸管の着脱・手による操作が入っています。
消防用水を含む消防隊の使う設備の維持管理は、消防隊が使う設備はなぜ建物側が管理するのか|消防用水と消火活動上必要な施設の点検義務を解説で解説しています。
地震のあとに水位が下がっていたときの動き方は、BCPで地震後に消防用水の水位が下がっていたら営業を再開してよいのか|漏水と代替措置の確認手順を解説で解説しています。
だから点検の前に、吸管や工具など、実際に着脱や操作をするための道具を、段取りに入れておきましょう。
総合点検がないなら、点検は目で見るだけで済むのですか。
目視だけでなく、給水装置の操作や採水口の着脱も含まれます。
操作を伴う項目が、実は多い設備です。
よくある質問
まとめ
まず水槽の蓋の周りに物や車が置かれていないかを、確かめるところから始めます!
消防用水の点検は、水源から標識まで確かめて、初めて設備を見たといえます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第31条の6(消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び報告)
- 消防法施行令第27条(消防用水に関する基準)
- 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(昭和50年消防庁告示第14号)別表第17
- 消防用設備等の点検要領(消防庁通知) 第17 消防用水
※本記事は公表されている法令、告示および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。





