地震後の確認で排煙機を試運転したら、いつもと違う金属音や大きな振動が出た。
煙を外へ出す設備だから、止めずに回し続けるべきか迷う場面です。
結論からいえば、異音や異常振動があれば試運転を止め、影響する排煙区画と設備系統を特定して専門点検へつなぎます。
排煙機からガタガタ音がします。
確認のため回し続けてええですか。
いったん止めて状態を変えません。
音が消えたら復旧ですか。
原因確認と性能確認が必要です。
- 排煙機の異音や異常振動を自己判断で様子見しません
- 最初に排煙機と風道と排煙区画を特定します
- 試運転を止めて専門家の点検へつなぎます
- 本体だけでなく電動機と支持部と風道接続部を確認します
- 正常な作動と排煙性能を確認して再開を記録します
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目次
地震後に排煙機から異音がしたら運転を続けてよいのか

排煙機から異音や異常な振動が出たら、原因確認のための連続運転は止めます。
回し続けると、緩んだ部品や回転体の損傷が広がり、必要なときに排煙できなくなるおそれがあるためです。
国土交通省告示第二百八十五号の別表第二は、排煙機の作動状況を聴診または触診で確認し、電動機または送風機に異常音や異常な振動がある状態を不適合とする判定基準を示しています。
施設担当者がカバーを外したり、回転部へ近づいたりして原因を探すのは危険です。
停止操作が安全にできる位置から行い、設備番号と音が出た時刻と作動条件を記録してください。
火災や煙が発生している場面では、設備調査より避難と119番通報を優先します。
排煙機に異常があることを消防隊へ伝え、代替の活動方針は消防隊の指示に従います。
停止後の建物利用は、影響する排煙区画、在館者、避難経路、代替措置で変わります。
一律に営業再開せず、防火管理者、建物所有者、建築設備の専門家、必要に応じて特定行政庁や消防機関と判断します。
少しの異音でも止めるんですね。
告示でも不適合になる状態です。
どの排煙機と風道と排煙区画を確認するのか

確認対象は、音が出た本体だけではありません。
排煙機、電動機、基礎架台、風道、排煙口、同じ系統が受け持つ排煙区画を一組で整理します。
- 排煙機の設備番号と設置位置
- 電動機と送風機と回転伝達部
- 基礎架台と防振部材と固定ボルト
- 排煙風道との接続部と支持部
- 排煙口と手動開放装置と連動系統
- 同じ排煙機が受け持つ防煙区画
- 停止による在館者と重要業務への影響
設備台帳、排煙系統図、防煙区画図を同じ設備番号で照合すると影響範囲を追いやすくなります。
一台の排煙機が複数の排煙口へつながる場合、異音が出た機械だけを見ても影響範囲は分かりません。
どの区画の煙を受け持つ系統かを図面と現場で照合します。
地震では、架台のずれ、固定ボルトの緩み、風道接続部の変形、回転体の偏りが同時に起きる可能性があります。
音の場所を一つの部品へ決めつけず、支持と接続を含む設備全体を専門家が確認してください。
建築基準法施行令第百二十六条の三は、排煙口、風道、排煙機などで構成される排煙設備の構造を定めています。
異常時も排煙経路全体で機能を考えます。
屋上の機械と室内の区画がつながるんですね。
機械と煙の経路を重ねて見ます。
異音の発見から専門点検と復旧までどう進めるのか

初動は、長く回して音源を探すことではなく、設備の状態を保ったまま影響を止めることから始めます。
安全確認、運転停止、系統特定、関係者連絡、専門点検、性能確認の順で進めます。
- 火災と煙と落下物と感電の危険を確認する
- 安全な操作場所から試運転を止める
- 設備番号と異音の種類と発生時刻を記録する
- 防火管理者と建物所有者へ影響区画を伝える
- 建築設備の保守業者へ点検を依頼する
- 電動機と送風機と架台と風道接続部を点検する
- 正常な作動と排煙性能を確認して再開を記録する
操作禁止の表示と引継ぎ記録を残すと、交代者が誤って再起動する事故を防げます。
専門点検では、羽根車の接触、軸受、ベルトや継手、電動機、固定ボルト、防振部材、風道との接続、電源と制御を設備構成に応じて確認します。
異音だけを消す応急処置で終わらせず、発生原因と波及損傷を特定します。
修理後は、異音と異常振動がないことに加え、排煙口の開放に連動して排煙機が作動するか、必要な排煙風量を確保できるかを確認します。
音が静かになっただけで復旧完了にしません。
復旧まで設備を止める間は、影響区画の使用制限、在館者数の調整、避難誘導員の追加などを検討します。
防火上の安全を損なわない代替措置を専門家と決めてください。
音の記録も引継ぎに残すんですね。
再起動防止まで初動に含めます。
異音が消えれば復旧と思うと何を見落とすのか

短い再起動で音が消えても、必要なときに安定して排煙できるとは限りません。
一時的に静かになった状態と排煙性能が復旧した状態は別です。
- 回転体の偏りが特定の回転数だけで現れる
- 固定ボルトや防振部材の緩みが残る
- 風道との接続部が変形して空気が漏れる
- 電動機や軸受が過熱する
- 排煙口が開いても排煙機が連動しない
- 必要な排煙風量を確保できない
- 停止範囲と復旧情報が交代者へ伝わらない
復旧の目的は音を消すことではなく、火災時に排煙口から煙を吸い出して安全な場所へ排出できる状態へ戻すことです。
告示の検査項目は、異常音と異常振動だけでなく、設置状況、風道との接続、作動、予備電源、排煙風量なども対象にしています。
一つの判定項目だけで設備全体を正常と扱いません。
地震後は、機械室内の配管や他設備のずれが排煙機や風道へ接触している場合もあります。
機械本体だけでなく周囲の離隔と支持部も確認してください。
復旧記録には、設備番号、発見時刻、異音の種類、原因、修理内容、作動確認、排煙風量、再開の判断者を残します。
次回の定期検査で追えるよう、図面位置と一緒に保管します。
静かなだけでは足りへんのですね。
作動と風量まで確認します。
明日から排煙機の異音にどう備えるのか

災害後に初めて排煙系統を追うと、停止範囲と復旧判断に時間がかかります。
平常時に設備番号、排煙区画、風道経路、排煙口、連絡先を一枚へ整理してください。
- 排煙機と排煙口へ設備番号を付ける
- 排煙系統図へ風道と防煙区画を記す
- 正常時の運転音と振動の記録を残す
- 異音時の停止と操作禁止の手順を決める
- 保守業者と建物管理者の連絡先を更新する
- 停止中の使用制限と代替措置を決める
- 点検結果を消防計画とBCPの見直しへ戻す
定期検査の記録と災害後の初動記録を同じ設備番号で管理すると、通常音との差と修理履歴を説明しやすくなります。
建築基準法第十二条の定期報告制度では、対象となる特定建築設備等を資格者が検査し、結果を特定行政庁へ報告します。
地震後の巡回や短い試運転は法定の定期検査に代わるものではありません。
内閣府の事業継続ガイドラインは、重要業務と必要な資源を整理し、代替策や復旧手順を準備する考え方を示しています。
排煙設備を止めた区画の使用条件と代替場所をBCPへ具体化しておきます。
消防計画では火災時の通報や避難誘導を整理し、BCPでは業務の継続と復旧条件を整理します。
異音を誰が報告し、誰が運転を止め、誰が再開を承認するかを両方へ反映します。
正常時の音も記録しておきます。
異常の比較がしやすくなります。
よくある質問
まとめ
排煙系統図と正常時の音を確認します!
試運転を止めて専門点検へつなぎましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 建築基準法第十二条
- e-Gov法令検索 建築基準法施行令第百二十六条の二・第百二十六条の三
- 国土交通省 平成二十年国土交通省告示第二百八十五号 別表第二 排煙設備
- 国土交通省 建築基準法に基づく定期報告制度について
- 国土交通省 定期調査・検査告示の改正に関する技術的助言
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和五年三月
※本記事は公表されている法令および公的資料に基づく一般的な解説です。排煙機から異音や異常振動が出た場合は自己判断で連続運転せず、防火管理者、建物所有者、建築設備の保守業者へ連絡してください。火災、煙、焦げ臭さ、落下危険、感電危険がある場合は設備確認より避難と119番通報を優先してください。個別の運転停止、使用制限、代替措置、営業再開、復旧判断は、建物の用途と設備構成に応じて特定行政庁、消防機関、専門家へご確認ください。





