屋根付きの駐輪場は、長い面に壁を立てずに大きく開けておく造りがよくあります。
ところが国の消防法施行規則は、10階以下の階が無窓階にならない条件として、大きな開口部を2つ以上持つことを求めていて、開いた面が1つしかない駐輪場は、この数え方で迷いやすい建物です。
この記事では、吹田市消防本部の「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第18節 普通階判定の問20(駐輪場)と問21(既存の学校の空地)を読み、豊中市・堺市の基準とも比べます。
吹田市で、マンションの敷地に屋根付きの駐輪場を建てる計画です。
長い面は壁を付けずに開けておくのですが、無窓階になりますか?
吹田市の質疑応答集は、駐輪場に限った答を出しています。
まず、その答を確かめましょう。
駐輪場だけの扱いがあるのですね。
はい、長辺の一面が完全開放なら、大きな開口部は1つでよいとしています。
学校のグラウンドの扱いもあわせて見ます。
- 消防法施行規則第5条の5第1項は、10階以下の階について、直径1m以上の円が内接する開口部又は幅75cm以上・高さ1.2m以上の開口部を2つ以上持たない階を無窓階としています
- 吹田市の質疑応答集の答20は、駐輪場に限り、長辺の一面が完全開放なら1つの大開口で普通階としてよいと答えています
- 答20は、あわせて有効幅員1mは不問としていて、開口部の前の通路の幅を問わない扱いと読めます
- 答21は、既存の学校で敷地内のグラウンドを空地とみなし、グラウンドまで有効幅員1m以上の避難経路を確保すれば有効としています
- 豊中市と堺市の基準は大型開口部をできる限り離れた位置に2以上としていて、駐輪場の緩和や学校のグラウンドを名指しした記載は見当たりません
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目次
吹田市の質疑応答集は駐輪場と学校をどう答えているのか

答20 駐輪場に限り、長辺の一面が完全開放の場合、1大開口で普通階として可とする。また有効幅員1mは不問とする。
答21 既存の学校において、敷地内のグラウンドを空地とみなし、グラウンドまで有効幅員1m以上の避難経路を確保した場合は、有効とする。
| 問 | 対象 | 吹田市の答 | 条件 |
|---|---|---|---|
| 問20 | 駐輪場 | 大開口1つで普通階として可・有効幅員1mは不問 | 長辺の一面が完全開放 |
| 問21 | 既存の学校 | 敷地内のグラウンドを空地とみなし、有効とする | グラウンドまで有効幅員1m以上の避難経路を確保 |
駐輪場と学校だけに、特別な答があるのですね。
はい、どちらも建物の使い方に合わせた答です。
国の規則と比べると、何が緩んでいるかが分かります。
国の規則は大型開口部と空地をどう決めているのか

2 前項の開口部は、次の各号(十一階以上の階の開口部にあつては、第二号を除く。)に適合するものでなければならない。
二 開口部は、道又は道に通ずる幅員一メートル以上の通路その他の空地に面したものであること。
国の規則は「2つ以上」で、駐輪場でも同じなのですね。
はい、条文に例外はありません。
吹田市の答20は、その運用上の取扱いと考えるとよいでしょう。
吹田市の駐輪場の答を自分の建物に当てはめるにはどうするのか

- 建物の用途を確かめる。吹田市は第16節 問4で、自転車と50cc未満の単車の駐輪場を15項、50cc以上の単車も止める場合を13項イとしています(答20の「駐輪場」にバイク置場が含まれるかは書かれていません)
- 階ごとに、長辺の一面が完全開放かを確かめる。短辺だけが開いている場合は、答20の文面に当たりません
- 長辺に腰壁や袖壁があるときは、「完全開放」に当たるかを事前に相談する
- 完全開放なら、大開口は1つで足り、開口部の前の通路の有効幅員1mも問われない(答20)
- 床面から開口部の下端までの高さ1.2m以内、格子などがないこと、常に開けられる状態に保つこと(規則第5条の5第2項第1号・第3号・第4号)を確かめる
- 床面積に対する開口部の面積が30分の1を超えるかを計算する
- 長辺が完全開放でなければ、ほかの建物と同じく大型開口部を2つ以上を確保する
うちの駐輪場は、長い面に腰の高さの壁があります。
その場合は、「完全開放」に当たるかが答20だけでは分かりません。
図面を持って事前に相談しましょう。
既存の学校ではグラウンドを空地にできるのか

ア 国又は地方公共団体等の管理する公園で、将来にわたって空地の状態が維持されるもの。
イ 道又は道に通じる幅員1メートル以上の通路に通じることができる広場(建築物の屋上、階段状の部分等)で、避難及び消火活動が有効にできるもの。
校舎の窓の前がグラウンドなら、道路に面していなくてもよいのですね。
既存の学校なら、吹田市はそう答えています。
グラウンドまでの1m以上の経路を忘れないようにしましょう。
豊中市や堺市では駐輪場と学校の扱いはどう違うのか

| 項目 | 吹田市 | 豊中市 | 堺市 |
|---|---|---|---|
| 定めている場所 | 質疑応答集 第18節 問20・問21 | 運用基準 第1部 第2章 第1節 第4 無窓階の取扱い | 審査基準 第5 無窓階の取扱い |
| 大型開口部の数 | 駐輪場は長辺の一面が完全開放なら1つで可 | 2以上(各々できる限り離れた位置) | 2以上(各々できる限り離れた位置) |
| 駐輪場の緩和 | あり(答20・有効幅員1mも不問) | 記載は見当たらない | 記載は見当たらない |
| 空地として扱えるもの | 既存の学校のグラウンド(グラウンドまで有効幅員1m以上の避難経路) | 公園・広場・傾斜地及び河川敷・中庭等など | 公園・広場・傾斜地及び河川敷・中庭等など |
| 学校のグラウンド | 空地とみなす(既存の学校) | 名指しした記載は見当たらない | 名指しした記載は見当たらない |
| 開口部の前の駐輪場 | 固定装置付きは有効としない・固定装置付きのないものは可(問3) | 空地又は通路に駐車場及び駐輪場がある場合は支障がないものとして扱えない | 記載は見当たらない |
豊中市や堺市で同じ駐輪場を建てると、扱いが変わるかもしれないのですね。
はい、大型開口部2つが前提になる可能性があります。
建てる市の基準で確かめるのが近道です。
よくある質問
まとめ
駐輪場の長い面をどこまで開けるか、図面の段階で吹田市の消防本部に相談します!
完全開放かどうかを早めに確かめれば、完成後に無窓階になる手戻りを避けられます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 吹田市消防本部「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第18節 普通階判定 問3・問20・問21、第16節 用途判定 問4 https://www.city.suita.osaka.jp/anzen/1017917/1017954/1044807.html
- 豊中市消防局「消防用設備等の設置に関する運用基準」第1部 第2章 第1節 第4 無窓階の取扱い 1・2 https://www.city.toyonaka.osaka.jp/kurashi/bosai/toyonakafiredept/todokede/setubiunnyoukijun.html
- 堺市消防局「消防同意・消防用設備等審査基準」第5 無窓階の取扱い 1・2 https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 東大阪市消防局 消防用設備等の運用基準 https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000041303.html
- 大阪市消防局 消防用設備等の設置に係る運用基準 https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
- 消防法施行令 第10条・第11条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/336CO0000000037
- 消防法施行規則 第5条の5(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/336M50000008006
※本記事は公表されている法令および吹田市・豊中市・堺市・東大阪市・大阪市の公開資料に基づく一般的な解説です。表は要旨を自分の言葉でまとめたものです。「有効幅員1mは不問」の読み方、答20・答21が規則のどの部分に当たるかの整理、3市の対比は、資料を読んだうえでの整理であり、各市が明記しているものではありません。「見当たらない」とした項目は、各市の公開資料を確認した範囲でのものです。運用基準は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防局で確認してください。個別の建物の扱いは、所轄の消防署にご確認ください。






