地下に店舗や倉庫がある建物では、地面を掘り下げたドライエリア(からぼり)を外壁に沿って設けることがあります。
無窓階の判定では、窓が道や幅1m以上の通路などの空地に面しているかが問われますが、地面より低いドライエリアを「空地」と数えてよいかは、国の規則には書かれていません。
この記事では、吹田市消防本部の「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第18節 普通階判定の問12を読み、ドライエリアから道まで出られるかで判断するしくみを番号つきで示します。あわせて、豊中市と堺市の基準とも比べます。
吹田市で地下1階つきのビルを計画しています。
外壁の一部がドライエリアに面するのですが、その面の窓は無窓階の判定で数えられますか?
吹田市の質疑応答集は、ドライエリアに面する窓を条件つきで有効としています。
条件は2つです。
掘り下げた場所は、空地とは呼べないと思っていました。
吹田市では、幅と、地上へ上がる手段がそろえば有効になります。
順に見ていきましょう。
- 消防法施行規則第5条の5第2項第2号は、10階以下の階の開口部が道又は道に通ずる幅員1m以上の通路その他の空地に面していることを求めていますが、ドライエリアの扱いは書いていません
- 吹田市は、ドライエリアの有効幅員が1m以上あり、かつ、階段・スロープ等がGL(避難階)の有効な通路に接続されていれば、ドライエリアに面する開口部を有効としています
- この答えは、窓→ドライエリア→階段・スロープ→GLの通路→道というつながりが途切れないことを確かめる読み方です
- 豊中市と堺市はドライエリアを名指ししていませんが、屋上・階段状の部分・傾斜地・河川敷などGLと高さが違う空地を条件つきで「通路その他の空地」に数えています
- ドライエリアを名指しで答えているのは、3市の資料のうち吹田市だけです
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目次
国の規則は無窓階の開口部が面する空地をどう決めているのか

開口部は、道又は道に通ずる幅員一メートル以上の通路その他の空地に面したものであること。
- 第1項=直径50cm以上の円が内接する開口部の面積の合計が床面積の30分の1を超え、そのうちに大型開口部(直径1m以上の円が内接するもの、又は幅75cm以上・高さ1.2m以上のもの)が2以上ある階が普通階です。
- 第2項第1号=床面から開口部の下端までが1.2m以内であること。
- 第2項第2号=道又は道に通ずる幅員1m以上の通路その他の空地に面していること。11階以上の階には、この号はかかりません。
- 第2項第3号・第4号=外から開けるか壊して入れる構造で、開口のため常に良い状態に保たれていること。
国の規則には、空地の高さのことは書いていないのですね。
はい、だから市の運用を読む必要があります。
次に吹田市の答えを見ます。
吹田市の質疑応答集はドライエリアに面する窓をどう答えているのか

答12 ドライエリアの有効幅員が1m以上あり、かつ、階段・スロープ等がGL(避難階)部分の有効な通路に接続されている場合は、有効とする。
- ドライエリアの有効幅員が1m以上あること。
- ドライエリアから階段・スロープ等で、GL(避難階)部分の有効な通路に接続されていること。
幅が足りていても、地上へ上がれないとだめなのですね。
はい、2つの条件の両方が要ります。
次は窓から道までを順にたどります。
吹田市の答えを窓から道までの順にたどるとどうなるのか

- 窓=1階以上の窓が、ドライエリアに面しています。
- ドライエリア=有効幅員1m以上の空間があります。
- 階段・スロープ等=ドライエリアから地上へ上がる手段があります。
- GL(避難階)の通路=階段・スロープ等が、GL部分の有効な通路に接続しています。
- 道=その通路が、規則のいう「道又は道に通ずる幅員1m以上の通路」につながっています。
窓から道まで、消防隊が通れる道すじがつながっているかを見るのですね。
はい、つながりが途切れないことが大切です。
次に豊中市と堺市と比べます。
豊中市と堺市は地面と高さの違う空地をどう扱っているのか

同(2)エ 傾斜地及び河川敷で避難及び消火活動が有効にできるもの
- イ 広場(屋上、傾斜地、階段状の部分等)=第5-5図で、GLから下る傾斜地や階段の途中に幅1m以上の平らな場所がある例を示しています。
- エ 傾斜地及び河川敷=第5-6図で、河川は原則として認めず、幅2〜3mの河川敷が建物のGLから高さ5m以内にあり、道又はその他の空地に通じていれば認めてもよいとしています。
| 項目 | 吹田市 | 豊中市 | 堺市 |
|---|---|---|---|
| 資料 | 質疑応答集 第18節 問12 | 運用基準 第4 無窓階の取扱い(2) | 審査基準 第5 無窓階の取扱い(2) |
| ドライエリアの名指し | あり | 記載なし | 記載なし |
| 地面と高さが違う空地 | ドライエリア(有効幅員1m以上) | 屋上・階段状の部分の広場、傾斜地・河川敷 | 屋上・傾斜地・階段状の部分の広場、傾斜地・河川敷 |
| 地上へのつながり | 階段・スロープ等でGLの有効な通路に接続 | 道又は道に通じる幅員1m以上の通路に通じること(広場) | 道又はその他の空地に通じること(河川敷) |
| 図 | あり(断面の構成図) | 傾斜地・河川敷の図なし | あり(第5-5図・第5-6図) |
豊中市や堺市では、ドライエリアはそのまま当てはめられないのですね。
はい、考え方は近いですが、扱いは管轄に確かめます。
次は図面で確かめる点です。
吹田市でドライエリアの窓を数えるとき図面で何を確かめるのか

- 平面図で、ドライエリアの有効幅員を測ります。室外機・排水設備・物置などを置く計画なら、その分を差し引いて考えます。
- 平面図と断面図で、ドライエリアから地上へ上がる階段・スロープ等の位置を確かめます。
- 配置図で、その階段・スロープ等がGLの有効な通路に接続し、道までつながっているかを確かめます。
- 有効とする窓を選び、大型開口部2以上・床面積の30分の1超を満たすかを計算します。
- 判断に迷う配置は、図面を持って管轄の消防本部に事前に相談します。
完成後にドライエリアへ物を置くと、幅が足りなくなるおそれもありますね。
はい、有効幅員を保つ管理も大切です。
最後によくある質問をまとめます。
よくある質問
まとめ
図面にドライエリアの幅と階段の位置を書き込んで、吹田市消防本部に事前相談します!
幅と地上へのつながりがそろっていれば、有効になる窓の計算もすぐにできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 吹田市消防本部「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第18節 普通階判定 問12・問13 https://www.city.suita.osaka.jp/anzen/1017917/1017954/1044807.html
- 豊中市消防局「消防用設備等の設置に関する運用基準」第1部 第2章 第1節 第4 無窓階の取扱い(2) https://www.city.toyonaka.osaka.jp/kurashi/bosai/toyonakafiredept/todokede/setubiunnyoukijun.html
- 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第5 無窓階の取扱い(2) 第5-5図・第5-6図 https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 消防法施行令 第10条第1項第5号(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/336CO0000000037
- 消防法施行規則 第5条の5(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/336M50000008006
※本記事は公表されている法令および吹田市・豊中市・堺市の公開資料に基づく一般的な解説です。表は要旨を自分の言葉でまとめたものです。答12と規則第5条の5第2項第2号のつながり、「道までのつながり」を確かめる手順、豊中市・堺市との対比は、資料を読んだうえでの整理であり、各市が明記しているものではありません。「記載なし」「見当たらない」とした項目は、各市の公開資料を検索した範囲でのものです。運用基準や質疑応答集は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防本部で確認してください。個別の建物の判定は、所轄の消防署にご確認ください。






