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吹田市でネットカフェのブース席は個室になるのか|豊中市と堺市も比較

間仕切りで区切られたネットカフェのブース席の写真に、吹田市でブース席は個室になるのかを問うタイトルを重ねた画像

カラオケボックスやネットカフェ、漫画喫茶は、消防法施行令別表第一の(2)項ニに当たる店舗です。
(2)項ニに当たると、自動火災報知設備は延べ面積に関係なく必要になります。そこで問題になるのが、どこまでを「個室」とみるかです。
この記事では、吹田市消防本部の質疑応答集が(2)項ニの個室をどう判断すると答えているかを入口に、豊中市・堺市の基準を原文で比べます。
吹田市は壁や扉で4面を囲われた空間を原則とし、天井まで届かない間仕切りは個別に判断するとしています。

吹田市でネットカフェを開きます。
天井まで届かない間仕切りのブース席も「個室」になるのですか?

吹田市の質疑応答集は、原則として壁や扉で4面を囲われた空間を個室とし、天井まで届かない間仕切りは個別に判断すると答えています。

豊中市や堺市でも、同じ考え方なのですか?

豊中市は間仕切りによる閉鎖的なスペースも含むと書き、堺市はカラオケの指針でブース状のものを分けて扱っています。
順に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 消防法施行令別表第一の(2)項ニは、遊興のための設備や物品を「個室(これに類する施設を含む。)」で客に利用させる店舗です
  • (2)項ニに当たると、自動火災報知設備は延べ面積に関係なく必要になります(令第21条第1項第1号イ)
  • 吹田市の質疑応答集は、個室を原則として壁や扉で4面を囲われた空間とし、天井まで届かない間仕切りは通常の使用状態での独立性と閉鎖性で個別に判断すると答えています
  • 豊中市は間仕切りによる個室に準じた閉鎖的なスペースも含むとし、豊中市と堺市はカラオケ用の個室が1つしかないものはカラオケボックスに含まないとしています
  • ブース席の店は、個室に当たるかどうかで設備の前提が変わるので、間仕切りの高さが分かる図面で所轄の消防署に確かめます

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国の定義と吹田市・豊中市・堺市で(2)項ニの個室をどう判断するかを比べた図

国の基準では(2)項ニの個室はどう書かれているのか

中央の廊下の両側に扉の付いた小さな部屋が並ぶ遊興店舗のフロアを描いたアイソメ図
まず、国の基準です。消防法施行令の別表第一は、(2)項ニを次のように書いています。
消防法施行令 別表第一(二)項ニ カラオケボックスその他遊興のための設備又は物品を個室(これに類する施設を含む。)において客に利用させる役務を提供する業務を営む店舗で総務省令で定めるもの
「総務省令で定めるもの」は、消防法施行規則の第5条第2項が挙げています。
消防法施行規則 第5条第2項(抜粋) 令別表第一(二)項ニの総務省令で定める店舗は、次に掲げるものとする。
一 個室(これに類する施設を含む。)において、インターネットを利用させ、又は漫画を閲覧させる役務を提供する業務を営む店舗
(略)
別表第一も施行規則も、「個室(これに類する施設を含む。)」という同じ言い方をしています。
ところが、何をもって個室とみるかは、別表第一にも施行規則にも書かれていません。壁の高さや扉の有無で線を引く数字はなく、その読み方は各消防本部の運用に委ねられています。 (2)項ニに当たるかどうかが大きいのは、自動火災報知設備の基準が面積によらないからです。
消防法施行令 第21条第1項第1号(抜粋) 自動火災報知設備は、次に掲げる防火対象物又はその部分に設置するものとする。
一 次に掲げる防火対象物
イ 別表第一(二)項ニ、(五)項イ、(六)項イ(1)から(3)まで及びロ、(十三)項ロ並びに(十七)項に掲げる防火対象物
(2)項ニの店舗の範囲や、ネットカフェが加えられた経緯は、ネットカフェや漫画喫茶はなぜカラオケボックスと同じ扱いになるのかの記事で解説しています。この記事では、個室の線引きを市ごとに比べます。

国の条文には、個室の大きさや壁の高さは書かれていないのですね。

はい、そこで各市の運用を読むことになります。
吹田市から見ましょう。

吹田市は(2)項ニの個室をどう判断すると答えているのか

天井まで届く4面の壁と扉で囲まれた小部屋にソファとモニターが置かれた様子を描いたアイソメ図
吹田市消防本部の質疑応答集は、第16節 用途判定の問6で、(2)項ニの個室の判断基準を取り上げています。
吹田市「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第16節 用途判定 問6・答6 令別表第一2項ニの判定について、個室の判断基準は。
原則として、壁、扉等により4面が囲われた空間とする。
なお、壁等の間仕切りが天井まで達していない場合については、通常の使用状態(故意に覗き込む等しない)での独立性、閉鎖性を考慮し個別判断とする。
吹田市の答えを、順にたどると次のとおりです。
  1. 個室の原則は、壁や扉などで4面が囲われた空間です。
  2. 間仕切りが天井まで達していない場合は、原則の形に当たらないので個別に判断します。
  3. 個別判断で見るのは、通常の使用状態での独立性と閉鎖性です。
  4. 「通常の使用状態」には、故意に覗き込むなどしないという括弧書きが付いています。立ち上がって上から覗けば中が見える、というだけでは開放的とはみない読み方です。
つまり吹田市では、天井が抜けたブース席でも、座った客が周りから見えにくく、仕切られた空間で過ごす作りなら、個室として扱われる余地があります。
答6は間仕切りの高さを数字で示しておらず、根拠条文も挙げていません。高さだけで機械的に決めるのではなく、使われ方を見て判断する書き方です。 同じ第16節のほかの問は、吹田市で岩盤浴や調剤薬局は消防法上どの用途になるのかの記事と吹田市でバイク置場は駐車場と同じ13項イになるのかの記事で比べています。

天井が抜けていても、座ったときに囲まれていれば個室になり得るのですね。

答6の文面では独立性と閉鎖性で個別判断です。
豊中市と堺市の書き方も見てみましょう。

豊中市と堺市は個室をどう定義しているのか

天井まで届かない低い間仕切りで分けられたブース席が並び、上部が開いているフロアを描いたアイソメ図
豊中市消防局の運用基準は、第1部 第2章 第1節の第1-2表に、令別表第一の項ごとの定義と補足事項を並べています。(2)項ニの補足事項5は次のとおりです。
豊中市「消防用設備等の設置に関する運用基準」第1部 第2章 第1節 第1-2表 (2)項ニ 補足事項5 本項に規定する個室については、壁等により完全に区画された部分だけではなく、間仕切り等による個室に準じた閉鎖的なスペース等も含むものであること。
豊中市は、壁で完全に区画された部屋だけでなく、間仕切りによる閉鎖的なスペースも含むと書いています。天井まで届くかどうかの記載はありませんが、吹田市の「4面が原則」よりも、含める方向をはっきり書いた形です。
同じ表の補足事項1は、カラオケボックスを「一の防火対象物に、カラオケ等を行うための複数の個室を有するもの」とし、個室が1つしかないものは含まれないとしています。 堺市消防局の審査基準は、別記1の政令別表第1の定義で、カラオケボックスを次のように定義しています。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」別記1 政令別表第1に掲げる防火対象物の定義 (2)項ニ 定義1 カラオケボックスとは、一の防火対象物の中に複数のカラオケ等を行うための個室を有するものをいう。
堺市も補足事項1で、一の防火対象物に個室が1つしかないものは含まれないとしています。豊中市と同じ考え方です。
一方、堺市の定義表には、豊中市の補足事項5や吹田市の答6のような個室の形の判断基準は見当たりません。 堺市の審査基準には、(2)項ニの店舗を対象にした「第5 カラオケボックス等に係る指導指針」もあります。そこでは、天井が抜けたブースを次のように分けています。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第5 カラオケボックス等に係る指導指針 4(2)イ カラオケボックス等(天井が抜けてブース状となっているものを除く。)の出入口には常時閉鎖式の不燃性の扉を設けるものとし、のぞき窓を設ける場合は、線入り又は網入りガラスとすること。★
指針は、天井が抜けてブース状のものを常時閉鎖式の扉の指導から外しています。★は、堺市の基準で市独自の指導基準を示す記号です。
指針の対象は(2)項ニの店舗なので、ブース状の席がある店も(2)項ニになり得ることを前提に、扉の指導だけを外した読み方になります。指針の収容人員や扉の基準は、堺市でカラオケボックスの個室にはどんな上乗せがあるのかの記事で解説しています。 3市の書き方を並べると、次のようになります。
市個室の判断天井まで届かない仕切りカラオケ用の個室が1つの店
吹田市原則は壁や扉で4面を囲われた空間通常の使用状態での独立性・閉鎖性で個別判断記載なし
豊中市壁等で完全に区画された部分に加え、間仕切りによる閉鎖的なスペースも含む天井の記載はなく、閉鎖的なスペースは含むカラオケボックスに含まない
堺市定義表に判断基準の記載なしブース状のものは指針で扉の指導から除くカラオケボックスに含まない

※表は各市の公開資料を要旨でまとめたものです。「記載なし」は、この記事で読んだ該当箇所に書かれていないという意味です。

大阪市・東大阪市が公開している運用基準の節には、(2)項ニの個室の判断基準を書いた箇所を見つけられませんでした。両市の自動火災報知設備の節には、個室で警報音を聞き取らせる措置が書かれています(次の見出しで触れます)。

豊中市は閉鎖的なスペースも含むと書き、吹田市は個別判断なのですね。

はい、どちらも天井まで届かない仕切りを最初から外してはいない点は同じです。
個室になると何が変わるのか見ておきましょう。

個室に当たると自動火災報知設備や警報音の基準はどう変わるのか

閉じた小部屋の天井に感知器、壁に音響装置があり、ソファとモニターが置かれた様子を描いたアイソメ図
個室に当たり(2)項ニになると、まず自動火災報知設備が延べ面積に関係なく必要になります(令第21条第1項第1号イ)。
個室に当たらなければ(2)項ニの要件を満たさないので、ほかの項で判定し直すことになります。その場合に何項になるかは、吹田市の答6には書かれていません。 もう1つ変わるのが、個室の中での警報音です。消防法施行規則の第24条は、ヘッドホンなどを使わせる個室について次のように定めています。
消防法施行規則 第24条第5号イ(ハ)(抜粋) (ハ)令別表第一(二)項ニ、(十六)項イ、(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物(略)のうち、遊興のためにヘッドホン、イヤホンその他これに類する物品を客に利用させる役務の用に供する個室(略)があるものにあつては、当該役務を提供している間においても、当該個室において警報音を確実に聞き取ることができるように措置されていること。
この「確実に聞き取ることができるように措置」の中身は、大阪市と東大阪市の運用基準が具体的に書いています。
市基本の音圧暗騒音が65デシベル以上のとき
大阪市任意の場所で65デシベル以上ヘッドホン等の最大音圧より6デシベル以上強くする、他の音を自動で停止・低減する、常時人がいる場所で手動停止できるようにする、のいずれか
東大阪市任意の場所で65デシベル以上ヘッドホン等の最大音圧より6デシベル以上強くする、または他の音を自動・手動で停止・低減する

※大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」自動火災報知設備の音響装置の6、東大阪市消防局「自動火災報知設備の設置に係る運用基準」4 音響装置 ⑷ 鳴動方法 ウを要旨でまとめたものです。大阪市は、警報音や暗騒音が把握できない場合に、各個室への音響装置の設置などを求める項目も設けています。

ブース席が個室に当たれば、ブースごとに警報音が届くかまで問われます。ヘッドホンの警報音の聞き取りは、ヘッドホンを付けたカラオケ個室にも火災警報は届くかの記事で詳しく解説しています。

個室かどうかで、感知器だけでなく警報音の確かめ方まで変わるのですね。

はい、間仕切りの高さが設備の前提を左右します。
最後に確かめる手順を整理しましょう。

吹田市でブース席の店を計画するときは何を確かめればよいのか

小部屋が並ぶ平面図にメジャーを当て、バインダーとヘルメットと机の模型を置いた机のアイソメ図
吹田市でネットカフェやカラオケ店など、ブース席や小部屋のある店を計画したら、次の順に確かめます。
  1. 店のサービスが、(2)項ニの店舗(カラオケ・インターネット・漫画の閲覧など)に当たるかを確かめます。
  2. 席や部屋ごとに、壁や扉で4面が囲われているかを図面で確かめます。囲われていれば、吹田市の答6の原則どおり個室です。
  3. 間仕切りが天井まで届かない席は、座ったときの見通しや出入口の形を、断面図や写真で示せるようにしておきます。
  4. 個室に当たる場合は、自動火災報知設備が延べ面積に関係なく必要になり、ヘッドホンを使わせるなら個室の中の警報音も確かめます。
  5. 間仕切りの高さや扉の形を決める前に、図面で所轄の消防署に相談します。
豊中市や堺市でも同じ店を出す場合は、補足事項や指針の書き方が違います。市をまたいで同じ図面を使い回すときは、各市の基準を読み直してください。

吹田市でブース席のネットカフェを出すなら、個室として扱われる前提で考えればよいのですか?

答6は個別判断なので、決めつけは禁物です。
間仕切りの高さを決める前に、消防署に確かめましょう。

よくある質問

Q吹田市で、間仕切りが天井まで届かないブース席は個室になりますか?
A吹田市の答6は、天井まで達しない間仕切りを通常の使用状態での独立性と閉鎖性で個別に判断するとしています。高さの数字は示されていないので、断面図や写真で所轄の消防署に確かめてください。
Qカーテンで仕切っただけの席も個室になりますか?
A吹田市の答6は「壁、扉等」と書いていて、カーテンを名指しはしていません。豊中市は間仕切り等による個室に準じた閉鎖的なスペースも含むとしているので、仕切りの材料よりも囲われ方で判断される前提で相談してください。
Qカラオケの部屋が1つだけのスナックもカラオケボックスですか?
A豊中市と堺市は、カラオケ用の個室が一の防火対象物に1つしかないものはカラオケボックスに含まないとしています。吹田市の質疑応答集には、この点を書いた問はありません。
Q個室に当たらなければ、自動火災報知設備はいらなくなりますか?
A(2)項ニに当たらなくなるだけで、ほかの項で判定し直します。その項と延べ面積などで設置が必要になることもあるので、所轄の消防署で確かめてください。

まとめ

✔消防法施行令別表第一の(2)項ニは、個室(これに類する施設を含む。)で遊興の設備や物品を客に利用させる店舗です
✔(2)項ニに当たると、自動火災報知設備は延べ面積に関係なく必要になります
✔吹田市の質疑応答集は、個室を原則として壁や扉で4面を囲われた空間とし、天井まで届かない間仕切りは個別に判断すると答えています
✔豊中市は間仕切りによる閉鎖的なスペースも含むとし、豊中市と堺市はカラオケ用の個室が1つの店をカラオケボックスに含まないとしています
✔堺市の指導指針は、天井が抜けてブース状のものを常時閉鎖式の扉の指導から除いています
✔運用基準は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防局で確認しましょう

まず間仕切りの高さと囲われ方を図面にします。
そのうえで、個室に当たるかを消防署に相談します!

用途の判定は内装を決める前に相談するのが近道です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および吹田市・豊中市・堺市・大阪市・東大阪市の公開資料に基づく一般的な解説です。表は要旨を自分の言葉でまとめたものです。運用基準は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防局で確認してください。個室に当たるかどうかの判定は、個々の店舗ごとに所轄の消防署にご確認ください。

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