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特殊消防用設備等の範囲や適用除外はどこまで整理されたのか|総合消防防災システムから認定の失効まで五つの質疑を現行の条文と照らして解説

特殊消防用設備等の範囲や適用除外はどこまで整理されたのか

特殊消防用設備等は、法令の基準どおりの設備の代わりに、総務大臣の認定を受けて用いる特別な設備です。
平成16年の規則改正のころ、消防庁には、どこまでが特殊消防用設備等なのか、認定を受けたら基準は全部外れるのか、といった疑問が寄せられました。
この記事では、その質疑応答から五つを選び、消防法第17条 と第17条の4 などの現行の条文と照らして読みます。
総合消防防災システムの範囲、感知器の扱い、設置義務、適用除外、命令と認定の失効を、順に確かめます。

特殊消防用設備等って、普通の設備とは別物なんですよね。
認定のあとの決まりまで、質問されていたんですか。

はい。
五つの質疑応答で、何が答えられ、今の条文とどうつながるかを見ていきます。

今の条文とは、どうつながるんでしょうか。

一つずつ確かめます。
現行の条文に当てはめて読みます。

この記事の結論
  • 複数の総合操作盤で火災の監視や制御を分けて行うシステムは特殊消防用設備等に当たり、表示だけを付け足した設備は当たらないと答えられました
  • 感知器などが設備等技術基準どおりに設置されている部分は、特殊消防用設備等ではなく消防用設備等のまま取り扱うとされました
  • 高さ60メートル超などの建物でも、設置義務が用途や規模で一律に決まるわけではなく、技術基準が定められていない特殊な技術のものが該当するとされました
  • 大臣認定で適用が除外されるのは、代えられた設備やその部分の基準だけで、基準の全部ではないと答えられました
  • 設置維持命令と認定の失効は、消防庁と連絡を取り合って進める考え方で、失効は命令で是正されず使用禁止等の命令が出たときなどが想定されました

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特殊消防用設備等の質疑五題として、複数の総合操作盤で分けて監視するものが該当する、感知器の部分は消防用設備等のまま、設置義務は用途や規模で一律には決まらない、適用除外は代えた部分だけ、命令と認定の失効は消防庁と連絡して進める、を並べた図解

複数の総合操作盤で監視する仕組みは、特殊消防用設備等に当たるのか

ベージュの制御室の床に、平らな黒い画面と小さなオレンジ色のランプが付いた灰色の操作卓が二台ならび、その間を細い紺色のケーブルが床に沿ってつないでいるイメージ
総合消防防災システムの高度化を進める通知では、一つの防火対象物の火災関連情報を、複数の総合操作盤で監視や制御するシステムが、特殊消防用設備等に当たるとされていました。
その「複数の総合操作盤で監視・制御する」とは具体的に何か、と問われました。
問(要旨) 「一の防火対象物の火災関連情報を複数の総合操作盤により監視・制御するシステム」とは、具体的にどのようなものを指すのか。
答 火災監視及び火災制御機能を複数の総合操作盤に機能を分散させているものなどが該当する。初動対応を円滑に行うために単に火災関連情報を表示するだけの設備が付加されているものは、特殊消防用設備等には該当しない。なお、一の防火対象物に複数の防災センター等を設ける計画がある場合は、消防庁に連絡するよう留意されたい。
(平成16年12月24日 消防予第258号 消防庁予防課長から各都道府県消防主管部長・東京消防庁・各指定都市消防長あて)
機能を分けているかどうかが分かれ目でした。
答えは、監視と制御の機能を複数の総合操作盤に分けて持たせているものを該当例に挙げ、表示だけを付け足したものは該当しないとしています。
特殊消防用設備等の意味は、消防法第17条第3項が定めています。関係者が、政令や命令の技術上の基準どおりに設置し維持しなければならない消防用設備等に代えて、特殊の消防用設備等その他の設備等であって、当該消防用設備等と同等以上の性能を有し、かつ設備等設置維持計画に従って設置し維持するものとして、総務大臣の認定を受けたものを用いる場合の設備です。
複数の防災センターを設ける計画は、この答えの中で、消防庁への連絡が求められた点でもあります。

画面に表示を足しただけなら、特殊消防用設備等ではないんですね。

はい。
機能を分けて監視と制御を担うものが、該当例でした。

特殊消防用設備等の範囲に、感知器まで含まれるのか

ベージュの事務室の天井に、丸い白い煙感知器が三つ付き、そこから細い紺色のケーブルが天井に沿って壁の灰色の盤へ伸び、盤に小さなランプが碁盤の目のように並んでいるイメージ
複数の総合操作盤で構成するシステムには、火災を感知する自動火災報知設備の感知器なども接続されます。
そうした感知器まで、すべて特殊消防用設備等の対象になるのか、と問われました。
問(要旨) 「複数の総合操作盤により監視・制御するシステム」が特殊消防用設備等に該当する場合、特殊消防用設備等の範囲はどこまでか。例えば、自動火災報知設備の感知器等も全て対象となるのか。
答 自動火災報知設備の感知器等が設備等技術基準に従って設置される場合は、特殊消防用設備等の範囲は、各総合操作盤及びそれらを相互に接続する部分を指すものであり、設備等技術基準に適合している部分は消防用設備等として取り扱われたい。なお、特殊消防用設備等に係る設備等設置維持計画を策定する場合には、必要に応じ、自動火災報知設備の感知器等の概要についても記す必要があることに留意されたい。
(平成16年12月24日 消防予第258号 消防庁予防課長から各都道府県消防主管部長・東京消防庁・各指定都市消防長あて)
認定の対象は、総合操作盤とそれをつなぐ部分でした。
答えは、感知器などが設備等技術基準に従って設置されている場合、その部分は消防用設備等として取り扱うとしています。
設備等技術基準は、消防法第17条の4第1項が使う言葉で、消防用設備等の技術上の基準を指します。基準どおりに付けた感知器は、これまでどおり基準どおりの設備として扱われる、という整理です。
ただし、設備等設置維持計画には、必要に応じて感知器などの概要も記すことが求められています。認定の範囲から外れても、システム全体の説明には必要になる、ということです。

感知器は、認定の範囲には入らないんですね。

はい。
基準どおりの部分は消防用設備等のままですが、計画書には概要を書きます。

高さ60メートル超の建物は、特殊消防用設備等の認定を受ける義務があるのか

ベージュの地面に、とても背の高い細い灰色の塔、横に広い低い灰色の建物、階段の入口が付いた平らなベージュの地下街の模型が三つ一列にならび、大きさの縮尺がそろっているイメージ
総合消防防災システムの指針には、システムの構築を進めるべき防火対象物の規模が示されていました。
その規模に当たる建物は、特殊消防用設備等の設置義務が生じ、大臣の認定を受ける義務があるのか、と問われました。
問(要旨) 総合消防防災システムガイドラインにより、システムの構築を推進すべき防火対象物は、①高さが60メートルを超えるもの、②延べ8万平方メートル以上のもの、③延べ1,000平方メートル以上の地下街としている。これらの規模の防火対象物はすべて特殊消防用設備等の設置義務が生じ、総務大臣の認定を受ける義務があるということか。
答 特殊消防用設備等の設置義務があるか否かは、防火対象物の用途、規模等によって一律に定まるものではなく、現行の消防法令で予想しない特殊な技術による消防防災システム、高度な消防防災システム等で技術基準が定められていないものが、特殊消防用設備等に該当するものである。
(平成16年12月24日 消防予第258号 消防庁予防課長から各都道府県消防主管部長・東京消防庁・各指定都市消防長あて)
規模で義務が決まるのではない、という答えでした。
消防法第17条第3項は、特殊消防用設備等について「用いる場合には」と書いています。認定を受けた設備を用いる場合の規定であり、一定の規模の建物すべてに認定取得を課す形の条文にはなっていません。
義務があるのは、令や規則の基準どおりの消防用設備等を設置し、維持する義務(第17条第1項)のほうです。認定は、その基準では足りない、あるいは基準に当てはまらない技術を使うときの別の道です。
高さや面積の数字は、システムの構築を進める目安として示されたもので、それだけでは義務にならない、と読めます。

大きな建物だから認定が要る、というわけではないんですね。

はい。
認定は、基準にない技術を使うときの道として設けられています。

大臣認定を受けると、総合操作盤の基準は全部適用されなくなるのか

ベージュの壁に沿って細い灰色の配管が走り、その中ほどの短い一区間だけが明るい青の交換部分になり、両側は灰色のままで、小さな灰色の金具が管を支えているイメージ
認定を受けた設備には、基準の適用が除外されます。
では、総合操作盤が大臣認定を受けたとき、その消防用設備等に関する基準は、すべて適用されなくなるのか、と問われました。
問(要旨) 法第17条第3項により、消防用設備等に代えて特殊消防用設備等を設置する場合は、令で定める消防用設備等に係る技術基準は適用されないとされている。総合操作盤が大臣認定を受けた場合、当該消防用設備等に関する政令で定める技術上の基準についてはすべて適用されないものか。
答 法第17条第3項の規定に基づき、総務大臣から特殊消防用設備等の認定を受けた際に適用除外される消防用設備等の設置維持基準は、当該特殊消防用設備等によって代えられた設備又はその部分について規定された基準のみであり、消防用設備等に関する基準の全てを除外するものではない。
(平成16年12月24日 消防予第258号 消防庁予防課長から各都道府県消防主管部長・東京消防庁・各指定都市消防長あて)
除外されるのは、代えた部分の基準だけでした。
現行の消防法第17条第3項は、適用しない規定の対象を、当該消防用設備等(それに代えて当該認定を受けた特殊消防用設備等が用いられるものに限る)と書いています。答えは、この括弧書きの意味を確かめたものといえます。
つまり、認定を受けた設備が代えた部分については、基準の適用が外れます。ほかの部分の基準は、そのまま守る必要があります。
認定を受けた設備を使う場合でも、代えていない消防用設備等は、通常の基準で設置し維持します。

認定があれば何でも免除、ではないんですね。

はい。
代えた設備やその部分だけが、適用除外の対象です。

設置維持命令と認定の失効は、どう連動するのか

ベージュの机の上に、閉じた平たい紺色のファイルと、その隣に木の握りが付いた小さな丸い赤い印判が置かれ、細い灰色のリボンがゆるく添えられているイメージ
認定を受けた設備が、設備等設置維持計画どおりに設置や維持をされていないとき、消防長又は消防署長は命令を出せます。
同じ状態は、大臣が認定の効力を失わせる理由にもなっています。両者の関係が問われました。
問(要旨) 大臣の認定を受けた設備等が、設備等設置維持計画に従って設置し、及び維持されていないと消防長又は消防署長が認めた場合は、法第17条の4第2項の規定に基づき設置維持命令を発動することとなるが、この命令要件は同時に法第17条の2の3第1項第2号に規定する認定の失効要件と同一の表現になっている。消防長又は消防署長が当該命令を発動する場合、認定を失効する処分庁(総務大臣)との調整が必要であると考えるが、如何か。
答 法第17条の2の3第1項第2号に規定する大臣認定の失効は、法第17条の4第2項の規定に基づく命令によっても是正されず、法第5条の2の命令が発動された場合等に適用されることが想定される。また、大臣認定の失効を行う際には、関係消防機関等と十分連絡等を行うことを予定しており、法第17条の4第2項の規定に基づく命令を行うときに、すでに大臣認定の効力が失効しているというような事態が発生することは考えにくいが、大臣認定制度が創設されて間もないことから、特に、消防長又は消防署長が、法第17条の4第2項に基づく命令を発動される場合は、消防庁に連絡されるよう留意願いたい。
(平成16年12月24日 消防予第258号 消防庁予防課長から各都道府県消防主管部長・東京消防庁・各指定都市消防長あて)
命令が先、失効は最後の手段という運用の考え方でした。
現行の消防法第17条の4第2項は、認定を受けた特殊消防用設備等が設備等設置維持計画に従って設置され、又は維持されていないと認めるときに、消防長又は消防署長が、その計画に従って設置すべきこと、又は維持のため必要な措置をなすべきことを命じられる、と定めています。
第17条の2の3第1項は、総務大臣が認定の効力を失わせることができる場合として、不正な手段で認定を受けたことが判明したとき(第1号)と、設備等設置維持計画に従って設置され、又は維持されていないと認めるとき(第2号)を挙げています。
答えは、失効を、命令によっても是正されず、第5条の2の使用禁止等の命令が出たような場合に適用する、と想定しています。第5条の2は、第17条の4第1項若しくは第2項などの命令を受けても履行されない場合などに、防火対象物の使用の禁止、停止又は制限を命じられる規定です。
また、命令を出すときは消防庁へ連絡するよう求めています。この点は、制度が創設されて間もない当時の留意でした。

すぐ失効するのではなくて、まず命令なんですね。

はい。
命令でも直らないときに、失効が想定されました。

よくある質問

Q特殊消防用設備等とは、どんな設備ですか?
A消防法第17条第3項が定める、基準どおりの消防用設備等に代えて用いる特殊の設備等で、当該消防用設備等と同等以上の性能を有し、設備等設置維持計画に従って設置し維持するものとして、総務大臣の認定を受けたものです。
Q認定を受けると、設備の基準はすべて外れるのですか?
A外れません。適用が除外されるのは、認定を受けた設備が代えた消防用設備等についての規定です。代えていない消防用設備等は、通常の基準で設置し維持します。
Q設備等設置維持計画どおりでないと、どうなりますか?
A消防長又は消防署長は、第17条の4第2項により、計画に従った設置や維持のために必要な措置を命じられます。また、総務大臣は、第17条の2の3第1項第2号により、認定の効力を失わせることができます。
Q昭和や平成の回答は、今もそのまま使えますか?
A回答は発出当時のもので、通知の名称や様式などが変わった部分があります。現行の消防法第17条・第17条の2の3・第17条の4と、所轄の消防機関で確認します。

まとめ

✔機能を複数の総合操作盤に分けて持つシステムは該当し、表示だけを足した設備は該当しない
✔基準どおりに設置された感知器などは消防用設備等のまま扱われる
✔設置義務は、建物の用途や規模で一律には決まらない
✔適用除外は、認定を受けた設備が代えた部分の基準だけである
✔設置維持命令が先にあり、認定の失効は命令でも是正されないときなどに想定された
✔認定を受けた設備でも、計画に従って設置し維持する義務が続く
✔質疑応答は、今の条文の意味を理解するために読む。個別の適用は所轄の消防機関に確認する

質疑応答が、条文とつながりました。
うちの建物の設備も、今の基準で確かめてみます!

質疑応答も、今の条文の意味を理解するために読めます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第5条の2・第17条・第17条の2の3・第17条の4
  • 消防法施行令第29条の4
  • 消防法施行規則の一部改正等に係る執務資料の送付について(平成16年12月24日 消防予第258号 消防庁予防課長から各都道府県消防主管部長・東京消防庁・各指定都市消防長あて)
  • 消防実務六法 質疑応答編

※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は発出当時のもので、条番号や機関の名称、単位等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。

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