ビルの足元にある連結送水管の送水口には、「送水口」と書いた赤い標識が付いています。
その近くに「高圧型」の文字や、小さな黄色い板が付いていることがあります。
これは、消防車から高い圧力で送水する建物で、その圧力に耐える管や継手を使っていることを見分けるための目印です。
この目印は国の規則には書かれておらず、津市・四日市市・鈴鹿市など消防本部ごとに書き方も付ける条件も違います。
うちのビルの送水口の横に、黄色い四角い板が貼ってあるんです。
点検の人に聞いても、何の印かはっきりしなくて。
それは配管が高い送水圧力に耐える仕様だと示す目印のことがあります。
津市なら「高圧型」と文字で書くなど、地域で形が違います。
同じ意味の目印なのに、市によって違うんですか。
国の規則が目印の形まで決めていないので、各消防本部が審査基準で決めています。
7つの消防本部の基準を並べて見ていきましょう。
- 消防法施行規則第31条は、設計送水圧力が1.0MPaを超える連結送水管に丈夫な管と継手を求めるが、送水口に付ける目印までは定めていない
- 津市は、スケジュール40以上の管と呼び圧力16K以上の継手・バルブを使ったとき、送水口の標識板に「高圧型」と併記させる
- 四日市市は設計送水圧力が1MPaを超えるものについて、送水口の標識に「高圧使用型」と併記させる(行政指導の下線付き)
- 鈴鹿市・大阪市・東大阪市は文字ではなく黄色の反射板を求め、大きさは鈴鹿市が縦横10cm以上、大阪市と東大阪市が一辺5cm以上
- 埼玉県央広域と堺市には目印の定めがなく、堺市は標識の近くに送水圧力範囲を表示させる
▼

目次
国の規則は送水口に高圧の目印を求めているのか

目印の話は、配管の材料の決まりから始まります。
四 送水口及び放水口には、見やすい箇所に標識を設けること。
五 配管は、次のイからチまでに定めるところによること。
ロ (略)ただし、配管の設計送水圧力(ノズルの先端における放水圧力が〇・六メガパスカル(略)以上となるように送水した場合における送水口における圧力をいう。以下この号において同じ。)が一メガパスカルを超える場合には、日本産業規格G三四四八に適合する管、G三四五四に適合する管のうち呼び厚さでスケジュール四十以上のもの若しくはG三四五九に適合する管のうち呼び厚さでスケジュール十以上のものに適合するもの又はこれらと同等以上の強度、耐食性及び耐熱性を有する管を用いなければならない。
ハ (略)ただし、配管の設計送水圧力が一メガパスカルを超える場合に用いる管継手は、(略)呼び圧力十六K以上のもの(略)を用いなければならない。
規則が送水口に求めているのは、見やすい箇所に標識を設けることだけです。
一方で、消防車から送る圧力(設計送水圧力)が1.0MPaを超える建物では、管はスケジュール40以上の鋼管など、継手は呼び圧力16K以上などに限られます。
つまり「この建物の配管は高い圧力に耐える仕様か」は、規則の上では図面と仕様書を見ないと分かりません。
そこで各消防本部が、送水口の外から見て分かる目印を審査基準で上乗せしています。
国の決まりだと、送水口には普通の標識があれば足りるのですね。
規則の文面はそうですが、管轄の基準で目印を求められることがあります。
次は津市の基準から見ていきます。
津市の「高圧型」はどんなときに書くのか

津市の目印は、送水口の横に置く平面図入りの標識板に書き添える形です。
⑴ 送水口には、その直近の見やすい箇所に赤地に白文字又は、白地に赤文字で「送水口(連結送水管専用)」の表示をすること。
⑷ 送水口の直近には、20cm×20cm以上の大きさの基準階平面図に放水口、送水口、逆止弁及び仕切弁の位置並びに消防車からの送水圧力を記入した標識板を設けること。なお、配管にJIS G 3454(圧力配管用炭素鋼鋼管)に適合する管のうち呼び厚さでスケジュール40以上のものを使用し、かつ管継手及びバルブ類にJISに定める呼び圧力16K以上のものを使用した場合には、「高圧型」と併記すること。
津市の条件は、圧力の数字ではなく使った管と継手・バルブの仕様で書かれています。
読む順番は次のとおりです。
①規則第31条第5号ロ・ハが、1.0MPaを超える場合の管と継手を決める→②津市の5-21 3⑹が、配管・管継手・バルブ類は規則第31条第5号ロ・ハ・ニによるとする→③同じ5-21の4⑷が、スケジュール40以上の管と16K以上の継手・バルブを使ったら標識板に「高圧型」と書くとする。
標識板には平面図と消防車からの送水圧力も書くので、高圧かどうかに関係なく、どのビルでもこの板そのものは必要です。
津市の基準には義務と指導を分ける記号がなく、この項目も「〜すること」の書きぶりで示されています。
「高圧型」の文字は、平面図の標識板の中に書き足すのですね。
そうです、まず20cm角以上の標識板があるかを確かめましょう。
改修で配管を替えたときは、仕様と表示が合っているかも見ておきます。
四日市市の「高圧使用型」は津市と何が違うのか

「四日市市消防同意事務審査基準」第20 連結送水管の4 表示及び灯火を見ます。
(1)送水口に設ける標識は、赤地に白文字で「連結送水管送水口」と表示するものとし、大きさは30cm×10cm以上のものとすること。
(2)設計送水圧力が1MPaを超えるものにあっては、前(1)の標識に「高圧使用型」と併記すること。
四日市市は、設計送水圧力が1MPaを超えるかどうかで「高圧使用型」と書くかを決めています。
書く場所も、平面図の板ではなく、30cm×10cm以上の赤地に白文字の送水口の標識そのものです。
四日市市の基準は市独自の行政指導の部分に下線を引いており、ページの画像で確かめると(1)と(2)の両方に下線が付いています。
11階以上の建物の項目は「前1から4までによるほか」と書かれているので、高層の建物にもこの表示がそのまま及びます。
| 項目 | 津市 | 四日市市 |
|---|---|---|
| 目印の言葉 | 「高圧型」 | 「高圧使用型」 |
| 書く場所 | 送水口直近の平面図入り標識板(20cm×20cm以上) | 送水口の標識(赤地に白文字・30cm×10cm以上) |
| 付ける条件 | JIS G 3454のスケジュール40以上の管と、呼び圧力16K以上の管継手・バルブ類を使ったとき | 設計送水圧力が1MPaを超えるもの |
| 義務か指導か | 記号なし(書きぶりで読む) | 下線あり(市の行政指導) |
津市は使った材料、四日市市は圧力の数字で決めているのですね。
同じ三重県でも条件の書き方が違います。
設計図の圧力計算と配管の仕様書を両方そろえておくと話が早いです。
黄色の反射板を求めているのはどの消防本部か

鈴鹿市・大阪市・東大阪市の3つで、大きさがそれぞれ違います。
(イ) 省令第31条第5号ロに規定する配管の設計送水圧力が1.0MPaを超える場合に用いる圧力配管用炭素鋼鋼管等を使用する場合
(ア)のほか、その旨を識別できる反射板を見やすい箇所に設けること。▲(第20-9図参照)
a 縦横100mm以上又は縦30mm、横200mm以上
b 色は黄とする。
鈴鹿市は縦横10cm以上の正方形か、縦3cm・横20cm以上の横長の黄色い反射板で、第20-9図では壁埋込み型は2つの差込口の間に、スタンド型は柱の上部に付けています。
11階以上の建物の送水口も「第2⑴を準用する」とされているので、同じ反射板が求められます。
大阪市と東大阪市は、ほぼ同じ文で一辺5cm以上の四角形の黄色の反射板を送水口の直近の見やすい箇所に設けるとしています。
記号は、鈴鹿市が法令に指導を加えた▲、東大阪市が行政指導の●、大阪市は「第2 送水口」の見出しに行政指導の◆が付いています。
| 消防本部 | 高圧の目印 | 付ける条件 | 記号 |
|---|---|---|---|
| 津市 | 平面図入り標識板に「高圧型」と併記 | スケジュール40以上の管と16K以上の継手・バルブを使ったとき | なし |
| 四日市市 | 送水口の標識に「高圧使用型」と併記 | 設計送水圧力が1MPaを超えるもの | 下線(行政指導) |
| 鈴鹿市 | 黄色の反射板(縦横10cm以上、または縦3cm・横20cm以上) | 1.0MPaを超える場合に用いる圧力配管用炭素鋼鋼管等を使うとき | ▲ |
| 大阪市 | 一辺5cm以上の四角形の黄色の反射板 | 1.0MPaを超える場合に使用できる配管を設けるとき | 見出しに◆ |
| 東大阪市 | 一辺5cm以上の四角形の黄色の反射板 | 大阪市と同じ | ● |
| 埼玉県央広域 | 定めなし | - | - |
| 堺市 | 定めなし(標識の付近に送水圧力範囲を表示) | - | - |
鈴鹿市の基準だと、5cm角の板では小さすぎるということですか。
鈴鹿市の文面は100mm以上か縦30mm・横200mm以上です。
他の地域で付けた板をそのまま流用せず、管轄の大きさに合わせましょう。
目印の定めがない本部では送水口のどこを見ればよいのか

その代わりに何を表示させているかを見ておきます。
エ 省令第31条第4号に規定する送水口の標識は、短辺10cm以上・長辺30cm以上で赤地に白文字とすること。◆①
オ 前エに掲げる標識の付近に、送水口における送水圧力範囲を表示すること。なお、送水圧力範囲の値は、最遠及び直近の放水口における必要とされる放水圧力を得るため、(4)アによる摩擦損失計算等により求めた値を参考にすること。★
堺市は、送水口の標識の付近に送水圧力範囲を表示させており、市独自の指導を示す★が付いています。
埼玉県央広域は、送水口の標識を短辺10cm以上・長辺30cm以上の赤地に白文字とする●の定めだけで、設計送水圧力の数値を表示させるのはブースターポンプを設ける場合の▲の項目です。
防火管理者が点検に立ち会うときは、①送水口の標識、②高圧の目印や送水圧力の表示、③その表示が看板や植栽で隠れていないか、の3つを見ておくと確かです。
目印の有無だけで配管の仕様を判断せず、竣工図や試験結果報告書で設計送水圧力を確かめてください。
目印がない地域でも、図面を見れば圧力は確かめられるのですね。
目印は外から見分けるための補助なので、元になるのは図面と計算書です。
改修や配管の取替えの前には、管轄の消防本部へ表示の要否を確認しましょう。
よくある質問
まとめ
次の点検では、送水口の目印と標識を見て回ります!
目印の意味が分かれば、改修のときに表示の付け忘れも防げます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則 第31条第4号・第5号ロ・ハ(e-Gov法令検索)
- 津市消防本部「津市予防事務審査検査基準」5-21 連結送水管 3⑹・4⑴⑷ 5-21のPDF
- 四日市市消防本部「四日市市消防同意事務審査基準」凡例、第20 連結送水管 4(1)(2)・5 消火活動上必要な施設のPDF
- 鈴鹿市消防本部「鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準」第1章 凡例、第4章 第20 連結送水管 2⑴ウ・3⑴、第20-8図・第20-9図 第4章第20のPDF
- 埼玉県央広域消防本部「消防用設備等に関する審査基準」第1章 凡例、第4章 第20 連結送水管 2⑴ウ・3⑹ク https://www.ken-o.or.jp/notifiappli/equipment-style/page-9867/
- 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第3節 連結送水管 第2 送水口 3、図5-3-1 https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
- 東大阪市消防局「連結送水管の設置に係る運用基準」凡例、Ⅱ 細目 1 送水口 ⑷ https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000041303.html
- 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」総則(凡例)、第22 連結送水管 Ⅱ 1(1)エ・オ https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
※本記事は各消防本部が公開している審査基準・運用基準と国の法令に基づく一般的な解説です。運用基準・条例は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防本部で確認してください。各本部の資料は2026年10月時点の公開版で確認しています。行田市・羽生市は審査基準を公開していないため比較に含めていません。個々の建物の表示の要否は、所轄の消防署にご確認ください。





