火災通報装置は、蓄積音声情報を消防機関へ送ったあとに、電話回線を自動で開けて待つ仕組みになっています。
その待ち時間が10秒だと聞いても、なぜ待つのか、古い装置では何秒なのかが気になります。
消防庁の告示と点検要領は、待つ時間と、その点検の判定を定めています。
この記事では、呼返しを受ける待ち時間と点検での確かめ方を整理します。
火災通報装置は、蓄積音声を送ったらそれで終わりですか。
送ったあとに、回線を開けて消防からの呼返しを待ちます。
その待ち時間は、決まっているのでしょうか。
告示が決めた秒数があります。
順番に見ていきましょう。
- 火災通報装置は、蓄積音声情報を送出したあと、自動的に10秒間電話回線を開放して呼返し信号を待ちます。
- 呼返しがなければ、蓄積音声情報を繰り返し送出できることが点検の判定です。
- 通話が終わったあとにも、10秒間回線を開放して呼返しに応答できることを確かめます。
- 平成28年の改正前の基準による装置は、点検要領で5秒間とされています。
- 特定火災通報装置は通話機能等の項目が別で、一般の火災通報装置とは点検項目が違う点に注意します。
▼
目次
呼返しの待ち時間は点検要領のどこに書かれているのか

まず、点検項目がどう並んでいるかを確かめます。
通話機能等(特定火災通報装置を除く。)として、蓄積音声情報送出後の呼返し信号の受信、不応答時の通報継続、切替、通話終了後の呼返しの4項目が並んでいる。
送出後の呼返し、呼返しが来ないときの通報の継続、手動での切替、通話終了後の呼返しです。
このほかに、消防機関が話中のときに自動で呼び出し直す再呼出し機能の項目が別にあります。
蓄積音声情報の内容や通報音の違いは、蓄積音声情報の記事で扱っています。
4項目は、どれも機器点検で見るのですか。
点検要領では機器点検の火災通報装置の項目に並んでいます。
本体の点検項目の一部です。
なぜ蓄積音声情報を送ったあとに10秒間も回線を開けて待つのか

点検要領の判定は、その告示に合わせて書かれています。
一区切りの蓄積音声情報を送出した後、自動的に十秒間電話回線を開放し、その間に消防機関側の操作により電話局交換機から呼返し信号が送出された場合又は電気通信設備の有する機能により自動的に呼返し信号が送出された場合に、これを受信し可聴的に表示するとともに、当該呼返しに対し、応答し通話することができること。なお、呼返し信号が送出されなかった場合にあっては、蓄積音声情報を繰り返し送出できるものであること。
開放する時間は10秒間で、呼返しの信号が来たら、受信して表示し、通話に入れなければなりません。
呼返しが来なければ、蓄積音声情報を繰り返して送出します。
消防機関が折り返して詳しい状況を聞けるようにするための仕組みと読めます。
IP網へ移行した固定電話での折り返しは、固定電話のIP網移行の記事で扱っています。
呼返しが来ないときは、そのまま待ち続けるのですか。
来なければ、蓄積音声情報を繰り返し送出します。
点検要領にも、不応答時の通報継続の項目があります。
通話が終わったあとにも10秒間の呼返しがあるのはなぜか

通話が終わったあとにも、同じ時間の待機が定められています。
通話が終了した後、自動的に十秒間電話回線を開放し、その間に消防機関側の操作により電話局交換機から呼返し信号が送出された場合又は電気通信設備の有する機能により自動的に呼返し信号が送出された場合に、これを受信し可聴的に表示するとともに、当該呼返しに対し、応答し通話することができること。
(1)蓄積音声情報を送出した後の待機時間を5秒間から10秒間に延長したこと。
(2)途中で通話が途切れた場合等において、その後に呼返し信号を確実に受信できるようにするため、通話終了後の待機時間を10秒間としたこと。
この改正は、IP電話回線でも消防機関からの呼返し信号を確実に受信できるようにするためと通知に書かれています。
通話が途中で切れたときにも、あとから呼返しを受けられるようにする趣旨です。
特定火災通報装置は、通話がハンズフリーに切り替わる別の項目になります。詳しくは特定火災通報装置の記事をご覧ください。
通話が切れたあとも、呼返しを待つのですね。
通話終了後も10秒間回線を開放します。
途中で切れた場合に備えた定めです。
古い装置は5秒のままでよいのか経過措置をどう読むのか

その根拠は、改正告示の附則にある経過措置です。
蓄積音声情報を送出した後に、自動的に10秒間(平成28年消防庁告示第6号(火災通報装置の一部を改正する件)附則第2項の規定によりその技術上の基準についてなお従前の例によることとされた火災通報装置にあっては、5秒間)電話回線を開放し、呼返し信号に対し、応答し通話することができること。
告示の施行の際に現に火災通報装置が設置されている防火対象物、現に設置の工事中の防火対象物、又は施行の日から平成29年9月30日までに設置の工事を開始する防火対象物の火災通報装置のうち、改正後の基準(第3第8号)に適合しないものの技術上の基準は、なお従前の例による。
告示は平成28年4月1日に施行されました。
施行時に設置済みか工事中だった装置と、平成29年9月30日までに工事を始めた装置が対象です。
点検要領は、この装置について送出後と通話終了後のどちらも5秒間と書いています。
どの装置が該当するかは、設置や工事の時期と、装置の仕様を確かめて判断します。
うちの装置が5秒か10秒かは、どこで分かりますか。
設置や工事の時期と、装置の取扱説明書などで確かめます。
迷うときは所轄消防署にも確認してください。
点検では呼返しと再呼出しをどう確かめるのか

通報の試験は、実際の消防機関ではなく、試験装置の電話機を使います。
一般的留意事項(3)点検に際しては、当該火災通報装置に適応した試験装置を使用すること。
再呼出し機能:試験装置の消防機関側の電話機を通話中の状態にし、手動起動装置又は連動起動機能により起動させて確認する。判定は、自動的に再呼出しすること。
蓄積音声情報送出後の呼返し信号の受信:手動起動装置の操作又は連動起動機能(自動火災報知設備と連動する火災通報装置に限る。)により起動させて確認する。
再呼出しは、試験装置の消防機関側の電話機を通話中にしてから起動し、自動で呼び直すかを見ます。
点検要領は、10秒間を測る機器や手順までは書いていません。
適応した試験装置を使い、判定方法の文言どおりに動くかを確かめると読めます。
遠隔起動装置の記入区分は、遠隔起動装置の記事で扱っています。
試験のときに、本物の119番へ通報してしまいませんか。
点検要領は試験装置の消防機関側の電話機で確認するとしています。
使う機材は、装置に適応したものです。
よくある質問
まとめ
まず、設置時期から5秒か10秒かを確認しておきます!
待ち時間の確認の段取りを決めておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防用設備等の点検要領の全部改正について(平成14年6月11日 消防予第172号 消防庁予防課長)別添 点検要領 第13 消防機関へ通報する火災報知設備
- 火災通報装置の基準(平成8年消防庁告示第1号)、平成28年消防庁告示第6号(火災通報装置の一部を改正する件)
- 消防予第49号(平成28年2月24日 消防庁予防課長)
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第25条、第31条の6
※本記事は公表されている法令および消防庁の点検要領に基づく一般的な解説です。点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。





