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容積率の限度は許可を受ければ超えられるのか|建築基準法第52条第14項が定める三つの許可対象を解説

高層の建物が広い広場と公園と道路に囲まれて建つ街並みの写真

建築物の容積率には、用途地域ごとの限度や、前面道路の幅員による限度があります。
ところが、建築基準法には、特定行政庁の許可を受けた建築物について、その限度を超えることを認める規定があります。
対象になる建物や、許可の範囲がどこまでなのかが気になります。
今回は建築基準法第52条第14項が定める容積率の許可について、三つの対象と許可の範囲を、防火管理者が押さえておきたい点とあわせて解説します。

容積率には上限があると聞きます。
許可を受ければ、その上限を超えられることがあるのでしょうか。

建築基準法第52条第14項に、容積率の許可の取り扱いが定められています。
まず、許可でなにが変わるのかから見ていきましょう。

許可を受ければ、上限をいくらでも超えられるのですか。
防火の面で気にしておく点もありますか。

条文は、許可の範囲内と限度を付けています。
防火管理の面で確かめたい点もお伝えします。

この記事の結論
  • 第14項は、三つの号のどれかに該当する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものの容積率について定めています。
  • 許可を受けた建築物は、第1項から第9項までの限度を、その許可の範囲内で超えるものにできます。
  • 対象は、機械室等の割合が著しく大きい建築物、敷地の周囲に広い空地を有する建築物、省エネのための外壁工事等を行う建築物の三つです。
  • 許可をするときは、第15項が準用する第44条第2項により、あらかじめ建築審査会の同意を得なければなりません。
  • この条文は建築基準法の容積率の話で、消防法令の基準を緩めるものではありません。

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容積率の許可を受けると機械室が大きい建築物と周囲に広い空地がある建築物と省エネの外壁工事を行う建築物が許可の範囲内で限度を超えられることを示す図解

第14項の許可を受けると容積率の限度はどこまで超えられるのか

中層の建物が建つ敷地を上から見たイラストと敷地の外周の点線
第14項は、容積率の限度を、許可を条件に超えられるようにする規定です。
ただし、無条件ではなく、対象と範囲に限りがあります。
(建築基準法第五十二条第十四項)次の各号のいずれかに該当する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものの容積率は、第一項から第九項までの規定にかかわらず、その許可の範囲内において、これらの規定による限度を超えるものとすることができる。
特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可した建築物の容積率は、その許可の範囲内で、第1項から第9項までの限度を超えるものにできます
第1項は用途地域ごとに都市計画で定める容積率、第2項は前面道路の幅員による容積率の限度です。
第3項から第9項までも、容積率の算定や限度を決める規定として並んでいます。
超えられる量は、許可の内容で決まります。
条文が「その許可の範囲内において」と書いているので、許可を受ければいくらでも建てられるわけではありません。
対象になるのは、第1号から第3号までのどれかに該当する建築物です。

許可を受けても、範囲の内側に収まるんですね。
対象になる建築物は、どんなものでしょうか。

対象は、三つの号に分けて書かれています。
まず、第1号から見ていきましょう。

機械室などの割合が著しく大きい建築物は第1号でどう扱われるのか

大きな換気装置と丸い貯槽を並べた階を持つ中層建物の断面のイラスト
第1号は、機械室その他これに類する部分の割合に着目した規定です。
条文は、その割合が「著しく大きい」場合と書いています。
(建築基準法第五十二条第十四項第一号)同一敷地内の建築物の機械室その他これに類する部分の床面積の合計の建築物の延べ面積に対する割合が著しく大きい場合におけるその敷地内の建築物
第1号の対象は、同一敷地内の建築物の機械室その他これに類する部分の床面積の合計が、建築物の延べ面積に対して著しく大きい場合の、その敷地内の建築物です
条文には、「著しく大きい」の具体的な数値は書かれていません。
そのため、何パーセントから対象になるのかは条文だけでは決まらず、特定行政庁の許可の判断に委ねられています。 似た規定が、第6項にもあります。
第6項第3号は、住宅又は老人ホーム等の機械室のうち、一定のものを延べ面積に算入しないと定めています。
(建築基準法第五十二条第六項第三号)住宅又は老人ホーム等に設ける機械室その他これに類する建築物の部分(略)で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるもの
第6項第3号は、床面積を延べ面積から除く規定です。
第14項第1号は、延べ面積の算定はそのままに、容積率の限度そのものを許可の範囲内で超えさせる規定です。
同じ許可という言葉でも、働き方が違います。

機械室の割合が著しく大きいことが目安なんですね。
次の第2号は、どんな場合が対象でしょうか。

第2号は、敷地の周囲の空地に着目した規定です。
条文に沿って見ましょう。

敷地の周囲に広い空地がある建築物は第2号でどう扱われるのか

中層の建物を囲む広場と公園と道路を上から見たイラスト
第2号は、敷地の外側に、広い空地がある建築物を対象にします。
空地の例として、公園、広場、道路が挙げられています。
(建築基準法第五十二条第十四項第二号)その敷地の周囲に広い公園、広場、道路その他の空地を有する建築物
第2号の対象は、その敷地の周囲に広い公園、広場、道路その他の空地を有する建築物です
空地の例に道路が入っているので、公園や広場のほか、道路も周囲の空地として数えられる場合があります。
ここでも、「広い」の数値は条文に書かれておらず、許可の判断は特定行政庁が行います。 似た名前の規定に、第59条の2があります。
第59条の2第1項は、敷地内に政令で定める空地を有し、敷地面積が政令で定める規模以上の建築物について、別に許可を定めています。
第14項第2号は敷地の周囲の空地に、第59条の2は敷地の内の空地に着目する点が違います。

周囲の空地が広いことが理由になるのですね。
第3号は、どんな場合でしょうか。

第3号は、省エネのための外壁工事に関する規定です。
省令の定めもあわせて見ましょう。

省エネのための外壁工事を行う建築物は第3号でどう扱われるのか

外壁の外側に断熱材の層を付けた建物の壁と屋根のひさしのイラスト
第3号は、エネルギー消費性能の向上のための工事を行う建築物を対象にします。
どの工事が当たるのかは、国土交通省令で定めるとされています。
(建築基準法第五十二条第十四項第三号)建築物のエネルギー消費性能(略)の向上のため必要な外壁に関する工事その他の屋外に面する建築物の部分に関する工事を行う建築物で構造上やむを得ないものとして国土交通省令で定めるもの
その省令が、建築基準法施行規則第10条の4の6です。
(建築基準法施行規則第十条の四の六第一項)法第五十二条第十四項第三号の国土交通省令で定める建築物は、次に掲げる工事を行う建築物で当該工事によりその容積率が法第五十二条第一項から第九項までの規定による限度を超えるものとする。
(同項第一号)建築物のエネルギー消費性能の向上のため必要な外壁を通しての熱の損失の防止のための工事
(同項第二号)建築物のエネルギー消費性能の向上のため必要な軒又はひさしを外壁その他の屋外に面する建築物の部分に設ける工事
(同項第三号)再生可能エネルギー源(略)の利用に資する設備を外壁に設ける工事
(同条第二項)前項の工事は、その目的を達成するために必要な最小限度のものでなければならない。
第3号の対象は、外壁を通しての熱の損失の防止、軒又はひさしの設置、再生可能エネルギー源の利用に資する設備を外壁に設ける工事の、三つの工事のどれかを行う建築物です
その工事によって容積率が第1項から第9項までの限度を超える建築物が対象です。
また、工事は、目的を達成するために必要な最小限度のものでなければなりません。
第1号と第2号が建築物の条件に着目するのに対し、第3号は、工事の内容で対象が決まる点が特徴です。

工事は、三つの種類に限られているんですね。
許可の手続きには、ほかに決まりがありますか。

許可には建築審査会の同意が要ります。
防火管理者が確かめたい点とあわせて見ましょう。

容積率の許可を踏まえて防火管理者はなにを確かめておくとよいのか

印鑑と書類ばさみとチェックシートのイラスト
第14項の許可は、特定行政庁が個別に判断して出します。
許可をするときは、手続きにも決まりがあります。
(建築基準法第五十二条第十五項)第四十四条第二項の規定は、第十項、第十一項又は前項の規定による許可をする場合に準用する。
(建築基準法第四十四条第二項)特定行政庁は、前項第四号の規定による許可をする場合においては、あらかじめ、建築審査会の同意を得なければならない。
第14項の許可をするときは、特定行政庁は、あらかじめ建築審査会の同意を得なければなりません
ただし、許可を受けた建物でも、消防用設備等の設置や防火管理の義務は、消防法令の条文で決まります。
許可の基準には防火上支障がないことも入っていますが、それは建築基準法の判断です。
許可の有無と内容は、建築士や特定行政庁に確かめる必要があります。
消防法令の判断は別なので、所轄消防署への相談も欠かせません。
明日から次の点を確認してください。
  • 建物が第14項の許可を受けているかを、確認済証や許可書などの書類で確認して記録する。
  • 許可を受けている場合は、第1号から第3号までのどの号に基づく許可かと、許可の範囲を、建築士に確認する。
  • 機械室を増やす工事や外壁の改修工事をするときは、許可の範囲に収まるかを特定行政庁に相談する。
  • 増築や用途変更で延べ面積が変わるときも、許可の範囲に収まるかを確認する。
  • 消防用設備等の判断は、所轄消防署へ相談する。
建築基準法と消防法は別々の法律です。
容積率の話と消防の話を混同しないように、それぞれの窓口へ確かめておきましょう。

許可の範囲と消防の話は、分けて確かめるんですね。
まず、建物が許可を受けているかを確認します。

許可の範囲が分かれば、増築や改修のときの相談も早くなります。
相談は、特定行政庁と消防の両方の窓口にしておくと安心です。

よくある質問

Q許可を受ければ、容積率の限度はいくらでも超えられますか?
A第14項は、その許可の範囲内において、限度を超えるものとすることができると定めています。超えられるのは許可の範囲までです。
Q第14項の許可は、どんな建築物が対象になりますか?
A第1号は機械室その他これに類する部分の割合が著しく大きい建築物、第2号は敷地の周囲に広い空地を有する建築物、第3号は省令で定める外壁の工事等を行う建築物です。
Q許可には、建築審査会の同意が必要ですか?
A第15項が第44条第2項を準用しているので、特定行政庁は、あらかじめ建築審査会の同意を得なければなりません。
Q敷地内に広い空地がある建築物の許可と、第2号は同じ規定ですか?
A別の規定です。第59条の2第1項は敷地内に政令で定める空地を有する建築物についての許可で、第14項第2号は敷地の周囲に広い空地を有する建築物を対象にしています。

まとめ

✔建築基準法第52条第14項は、三つの号のどれかに該当する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものの容積率を定めています。
✔許可を受けた建築物は、第1項から第9項までの限度を、その許可の範囲内で超えるものにできます。
✔第1号は機械室等の割合が著しく大きい建築物、第2号は敷地の周囲に広い空地を有する建築物、第3号は省令で定める外壁工事等を行う建築物です。
✔第3号の工事は、施行規則で定める三つの工事で、目的の達成に必要な最小限度のものに限られます。
✔許可をするときは、特定行政庁は、あらかじめ建築審査会の同意を得なければなりません。
✔この条文が定めるのは建築基準法の容積率の話であって、消防法令の基準を緩めるものではありません。
✔防火管理者は、許可の有無と範囲を確認して記録し、消防法令の判断は所轄消防署に相談します。

容積率の許可には、三つの場合があるんですね。
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許可の範囲が分かれば、増築や改修の相談も進めやすくなります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第五十二条・第四十四条第二項(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法施行規則第十条の四の六(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。許可の可否や運用は特定行政庁ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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