地下街や、大きな建物の地下には、連結散水設備が設けられていることがあります。
消防隊が外の送水口から水を送り、天井の散水ヘッドから散水して、火を抑えるための設備です。
使う機会がほとんどない設備なので、点検でどこを見るのかが分かりにくいと言われます。
消防庁が示す点検要領には、連結散水設備の項があり、送水口から散水ヘッドまでを順に確かめる表が載っています。
この記事では、その表を、消防法施行規則の基準と照らして読みます。一斉開放弁の開閉と未警戒部分まで、順に確かめます。
連結散水設備の点検は、どこを見ればいいんでしょうか。
点検要領の表に沿って、送水口から順に見ます。
見落としやすいのは、未警戒部分です。
一斉開放弁の確認には、特別な手順があるんですか。
はい。
二次側の止水弁を閉じて確かめます。
- 連結散水設備の点検は、消防庁の点検要領「第19 連結散水設備」の表に沿って行い、この表は機器点検の表だけで、総合点検の表は掲げられていません
- 送水口は周囲の状況、外形、本体、標識と系統図を見て、差込み式は爪とスプリングの錆、ねじ式はねじ山のつぶれまで確かめます
- 選択弁は周囲の状況、表示、外形、機能を見て、開閉方向と選択弁である旨の表示が適正かを確かめます
- 一斉開放弁は、二次側の止水弁を閉じて排水弁を開け、手動起動操作部の操作で開閉機能が正常かを確かめます
- 散水ヘッドは外形、散水分布障害、感熱障害を見て、間仕切りやたれ壁やダクトや棚の変更による未警戒部分がないことまで確かめます
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目次
送水口は、点検で何を見るのか

連結散水設備の点検項目は、消防庁の点検要領の「第19 連結散水設備」にあります。表は、送水口、選択弁、一斉開放弁、配管等、散水ヘッド、耐震措置の順に並んでいます。
最初の送水口は、周囲の状況、外形、本体、標識及び系統図の四つに分かれます。周囲の状況では、消防ポンプ自動車の接近に支障となるものや、送水活動の障害となるものがないかを見ます。外形では、漏れ、変形、損傷がなく、異物が入っていないことを確かめます。差込み式なら爪部分やスプリング部分の錆、ねじ式ならねじ山のつぶれ、保護具があるならその変形や損傷も見ます。
本体は、パッキンの老化や損傷がないか、ホースの差込み金具やねじ式金具を使って、着脱が容易にできるかまで確かめます。標識及び系統図は、送水口である旨の標識と、送水区域、選択弁及び送水口を明示した系統図が、損傷、脱落、汚損のない状態で設けられているかを見ます。
規則第30条の3第4号は、送水口のホース接続口を双口形とすること(散水ヘッドの数が4以下の送水区域は除く)、地盤面からの高さが0.5メートル以上1メートル以下の箇所、または深さが0.3メートル以内の箇所に設けること、直近に標識と系統図を設けることを定めています。点検は、この設置時の基準が、その後も保たれているかを確かめる作業と読めます。
送水口は、外から見るだけでは足りないんですね。
はい。
ホースの金具を使って、着脱まで確かめます。
選択弁は、点検で何を見るのか

点検要領の選択弁は、周囲の状況、表示、外形、機能の四つです。周囲の状況は、使用上と点検上の障害となるものがないことを見ます。表示は、開閉方向と、選択弁である旨の表示に、汚損や不鮮明な部分がなく、適正になされているかを確かめます。外形は、漏れ、変形、損傷等がなく、操作部分に緩みや脱落がないことを見ます。機能は、開閉操作をして、容易にできることを確かめます。
開閉方向の表示が不鮮明だと、開けたつもりで閉めてしまうおそれがあります。点検が表示の状態まで見ているのは、消防隊が急ぐ場面で、操作を誤らせないためと読めます。
表示が汚れているだけでも、確認の対象なんですね。
はい。
開閉方向の表示は、はっきり読める必要があります。
一斉開放弁は、水を出さずにどう開閉を確かめるのか

周囲の状況等では、この弁が、火災による被害を受けるおそれのない放水区域外などの場所に設けられているか、または耐熱保護板等による耐熱措置が適切に講じられているかを見ます。外形は、目視とドライバー等で、漏れ、変形、損傷、著しい腐食、電磁弁等の端子の緩みや脱落がないことを確かめます。
機能の確かめ方が、この項目でいちばん特徴的です。一斉開放弁の二次側の止水弁を閉止するとともに、排水弁を開放し、手動起動操作部の操作により確認します。判定は、開閉機能が正常であることです。
二次側は、弁より散水ヘッド側のことです。止水弁を閉じておくので、弁を開いても、散水ヘッドの側へ水は進みません。水を散水ヘッドから出さずに、弁が開閉する機能だけを確かめる手順と読めます。
点検のたびに、ヘッドから水が出るわけではないんですね。
この項目の手順では、そうです。
止水弁を閉じてから手動起動操作部を操作します。
配管と耐震措置は、点検で何を見るのか

耐熱措置は、「配管の接続にフランジ継手を用いるものに限る」項目です。規則第30条の3第3号ハは、管の接続はねじ接続とするが、差込み溶接式の管継手、または耐熱措置を講じたフランジ継手を使うものはこの限りでないと定めています。フランジ継手は、耐熱措置を前提に認められているので、点検でその措置の脱落や破損を見ます。
耐震措置は、可とう式管継手等の漏れや変形、アンカーボルトやナットの緩みや脱落、壁や床の貫通部分の間隔と充てん部が、施工時の状態のまま維持されているかを見ます。
配管の点検は、水漏れだけを見れば足りないんですね。
はい。
支えや耐熱措置の状態も見ます。
散水ヘッドの点検では、未警戒部分をどう見つけるのか

感熱障害は、閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるものに限る項目で、感熱を妨げる塗装や異物、周囲のものがないことを確かめます。
未警戒部分は、点検要領で、間仕切り、たれ壁、ダクト、棚等の変更、増設、新設等による未警戒部分がないことを目視で確かめます。ただし書きで、散水に影響を与えるヘッドと周囲の関係は、スプリンクラー設備のヘッドの点検要領に準じるとされています。
規則第30条の3第1号ロは、天井または天井裏の各部分から散水ヘッドまでの水平距離を、開放型散水ヘッドと閉鎖型散水ヘッドは3.7メートル以下にするよう定めています。同号ハは、一つの送水区域に接続する数を、開放型と閉鎖型の散水ヘッドは10以下、閉鎖型スプリンクラーヘッドは20以下にするよう定めています。設置したときにこの間隔で配置されていても、後から間仕切りやダクトを足せば、散水が届かない場所が生まれます。内装の変更のたびに、点検で見つける必要があります。
工事の後に、増えた間仕切りが原因になることもあるんですね。
あります。
内装を変えたあとが、とくに要注意です。
よくある質問
まとめ
未警戒部分まで見るのは、意外と細かいんですね。
まず内装の変更を洗い出してみます!
変更の履歴と点検の表を突き合わせると確かです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第30条の3
- 消防法施行規則第31条の6
- 消防用設備等の点検要領(消防庁通知)第19 連結散水設備
※本記事は公表されている法令および通知に基づく一般的な解説です。点検要領は改正されることがあります。個別の防火対象物についての点検の内容は、点検を行う消防設備士または消防設備点検資格者や、所轄の消防署にご確認ください。





