屋内消火栓設備の水を送る仕組みは、ポンプだけではありません。
高い場所の水槽の落差を使う高架水槽方式や、空気の圧力で押し出す圧力水槽方式もあります。
そして点検要領は、方式ごとに確認の方法を変えています。
この記事では、水槽方式の点検で何を確かめるのかを、規則と点検要領から整理します。
水槽方式の消火栓の点検は、ポンプ方式と同じやり方でよいのですか。
いいえ、点検要領には方式別の行があります。
順番に見ていきましょう。
圧力水槽の排気弁は、勢いよく開けたほうが早く確認できませんか。
点検要領はゆっくり開けると注意しています。
その理由も、あわせて整理します。
- 屋内消火栓の加圧送水装置は、規則で高架水槽・圧力水槽・ポンプの3方式が定められています。
- 高架水槽方式は、直近と最遠の消火栓開閉弁等で静水頭圧を確認します。
- 圧力水槽方式は、排気弁を開放して確認し、バルブは高圧力による危害防止のためゆっくり開けます。
- 圧力水槽方式の判定には、圧力の自然低下防止装置の起動と停止が確実に行われることも含まれます。
- 判定の「所定の圧力」の数値は点検要領に書かれておらず、設置時の基準で決まる圧力と照らして確かめます。
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目次
屋内消火栓の加圧送水装置には点検でどんな方式の違いがあるのか

規則の第12条には、次の定めがあります。
加圧送水装置は、次のイからチまでに定めるところによること。
イ 高架水槽を用いる加圧送水装置は、〔略〕
ロ 圧力水槽を用いる加圧送水装置は、〔略〕
ハ ポンプを用いる加圧送水装置は、〔略〕
| 方式 | 規則の号 | 点検要領の確認方法 |
|---|---|---|
| 高架水槽方式 | 第7号イ | 直近及び最遠の消火栓開閉弁等における静水頭圧を確認する |
| 圧力水槽方式 | 第7号ロ | 排気弁を開放して確認する |
| ポンプ方式 | 第7号ハ | 加圧送水ポンプの電動機・軸・軸受などを個別に確認する |
点検要領の機器点検の表でも、加圧送水ポンプのあとに、高架水槽方式と圧力水槽方式の行が続きます。
屋内消火栓設備の点検の期間は、告示で機器点検が6月、総合点検が1年と定められています。
点検票の作り方と報告の期間は、消防用設備等の点検はなぜ機器点検と総合点検の両方を報告するのか|点検要領が定める点検票の作り方と報告の期間を解説で解説しています。
だから点検の前に、建物の加圧送水装置がどの方式かを、図書で確かめておきましょう。
ポンプ方式のビルでは、水槽方式の欄は関係ないのですか。
点検要領は、方式ごとの行を設けています。
設置されている方式の行を確かめましょう。
高架水槽方式は点検で何をどこで確かめるのか

点検要領の文は、次のとおりです。
高架水槽方式 点検方法:高架水槽の直近及び最遠の消火栓開閉弁等における静水頭圧を確認する。
判定方法:ア 変形、損傷、腐食、漏水等がないこと。イ 所定の圧力が確保されていること。
静水頭圧は、水が動いていないときに、水の高さの差でかかる圧力です。
判定は、変形・損傷・腐食・漏水がないことと、所定の圧力が確保されているの2つです。
近い場所と遠い場所の両方を挙げる理由までは、点検要領には書かれていません。
設置の基準側では、規則が高架水槽に水位計・排水管・溢水用排水管・補給水管・マンホールを設けるよう定めています。
だから点検の前に、確かめる消火栓の場所を、図面で決めておきましょう。
静水頭圧は、ポンプを動かさなくても確認できるのですか。
点検要領は、確認の方法として静水頭圧の確認だけを書いています。
ポンプの起動は、この行には出てきません。
圧力水槽方式はなぜ排気弁をゆっくり開けるのか

点検要領の文は、次のとおりです。
圧力水槽方式 点検方法:排気弁を開放して確認する。
※ 排気弁を開放する場合は、高圧力による危害防止のため、バルブの開放はゆっくり行うこと。
判定方法:ア 変形、損傷、腐食、漏水等がないこと。イ 所定の圧力が確保されていること。ウ 圧力の自然低下防止装置の起動及び停止が確実に行われ、所定の圧力が得られること。
開けるときの注意は、高圧力による危害を防ぐため、バルブの開放をゆっくり行うことと、点検要領にあります。
判定は、高架水槽方式の2つに、圧力の自然低下防止装置の起動と停止の確認が加わった3つです。
装置の種類や、起動する圧力の数値までは、点検要領には書かれていません。
圧力水槽の圧力の決め方は、圧力水槽方式の加圧送水装置はなぜ圧力を計算式で決めるのか|強度と付属機器の基準を解説で解説しています。
だから点検の当日は、排気弁を開ける前に、周囲の安全を確かめてから、バルブに手をかけましょう。
排気弁を開けるのは、水槽の中の空気を抜くためですか。
点検要領は、開放の目的を空気を抜くとは書いていません。
書かれているのは、ゆっくり開けるという注意です。
水槽方式の圧力計と水位計はどう点検するのか

点検要領には、水源の項目に次の定めがあります。
圧力計(圧力水槽方式のものに限る。) 点検方法:目視及び次の操作により確認する。ゲージコック又はバルブ等を閉じて圧力計の水を抜き、指針の位置を確認し、ゲージコック又はバルブ等を開き指針の指示値を確認する。
判定方法:ア 変形、損傷等がないこと。イ ゼロ点の位置、指針の作動状況及び指示値が適正であること。
水位計 点検方法:目視及び次の操作により確認する。マンホールの蓋等を開け検尺により水位を測定し、水位計用止水弁を閉じ、排水弁を開き水抜きをした後、排水弁を閉じ止水弁を開き水位計の指示値を確認する。
判定方法:ア 変形、損傷等がないこと。イ 指示値が適正であること。
手順は、ゲージコックを閉じて水を抜き、針の位置を見てから、開いて指示値を読む流れです。
水位計は、マンホールを開けて検尺で測った水位と、水位計の指示値を突き合わせます。
設置の基準側では、規則が圧力水槽に圧力計・水位計・排水管・補給水管・給気管・マンホールを設けるよう定めています。
付属機器の設置の基準は、圧力水槽方式の加圧送水装置はなぜ圧力を計算式で決めるのか|強度と付属機器の基準を解説で解説しています。
だから点検の前に、検尺の道具と、圧力計の水抜きができる位置を、確かめておきましょう。
圧力計の針が動いていれば、ゼロ点の確認は省いてもよいのですか。
判定の文には、ゼロ点の位置と指示値が並んでいます。
針の動きだけで、確認は終わりません。
判定にある所定の圧力は何を基準にするのか

設置の基準では、規則が次の式を定めています。
落差は、次の式により求めた値以上の値とすること。
H=h1+h2+17m
ロ(イ)
圧力水槽の圧力は、次の式により求めた値以上の値とすること。
P=p1+p2+p3+0.17MPa
高架水槽は落差のHで、圧力水槽は圧力のPで決まります。
点検要領の判定は「所定の圧力が確保されていること」と書くだけで、数値は書いていません。
総合点検の表の放水圧力は、1号消火栓などで0.17メガパスカル以上0.7メガパスカル以下、2号消火栓で0.25メガパスカル以上0.7メガパスカル以下と定められています。
上限の考え方は、屋内消火栓のノズル圧力はなぜ0.7メガパスカルを超えてはいけないのか|加圧送水装置の圧力超過防止措置を解説で解説しています。
だから点検の前に、設置時の設計図書や試験結果報告書で、所定の圧力の値を控えておきましょう。
所定の圧力の値は、点検のたびに計算し直すのですか。
点検要領には、計算し直すとは書かれていません。
設置時の図書と照らして確認しましょう。
よくある質問
まとめ
まず、建物の加圧送水装置がどの方式かを確かめるところから始めます!
水槽方式の点検は、方式ごとの確認で安全に進める点検です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第17条の3の3(消防用設備等の定期点検及び報告)
- 消防法施行規則第12条(屋内消火栓設備に関する基準の細目)第1項第7号
- 消防法施行規則の規定に基づき、消防用設備等又は特殊消防用設備等の種類及び点検内容に応じて行う点検の期間、点検の方法並びに点検の結果についての報告書の様式を定める件(平成16年消防庁告示第9号) 第3
- 消防用設備等の点検要領の全部改正について(平成14年6月11日消防予第172号) 別添 第2 屋内消火栓設備
※本記事は公表されている法令・告示および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。点検の実際の進め方は設備の状況と所轄消防署の指導によります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。





