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東大阪市で避難階が2つある建物の避難器具は何階から数えるのか|大阪市と堺市も比較

東大阪市の運用基準が避難階が二つ以上ある建物で避難器具を選ぶ表の階数を降着側の避難階から数えることができるとする取扱いを大阪市と堺市と比べて解説した記事のアイキャッチ

坂の多い地域では、道路側では1階が地面に接し、山側では3階が地面に接する、という建物がよくあります。こうした建物は、地上へ直接出られる階(避難階)が2つ以上あることになります。
避難器具は、階ごとに選べる種類が国の政令の表で決まっています。では、その表の「何階」は、どちらの地面から数えればよいのでしょうか。
東大阪市消防局の「避難器具の設置に係る運用基準」は、この数え方を降着側の避難階から数えることができると書いています。
この記事では、国の基準と東大阪市の運用を分けて読み、大阪市・堺市の扱いとも比べます。

東大阪市の斜面に建つ施設で、山側の上の階に避難器具を付けたいです。
建物は6階建てです。

山側の地面に出られる階があれば、その階から数えた階数で表を読めることがあります。
まず避難階がどこかを確かめます。

6階なのに、もっと低い階として扱えるのですか。

東大阪市の運用基準は「数えた階数とすることができる」と書いています。
選べる器具の欄が変わるかもしれません。

この記事の結論
  • 国の消防法施行令第25条は、避難階と11階以上の階を除いた階に避難器具を設け、器具の種類は第2項第1号の表で階ごとに決めています
  • 避難階は建築基準法施行令第13条第1号の直接地上へ通ずる出入口のある階で、1階とは限りません
  • 東大阪市の運用基準は、避難階が2以上ある建物では、表の階数を降着側の避難階から避難器具を設置しなければならない階まで数えた階数とすることができるとしています(●=行政指導基準)
  • 同じ項目で、避難器具は当該器具の使用者を考慮して選定することも求めています(●)
  • 大阪市の運用基準にもほぼ同じ文の項目があり(◆)、堺市の審査基準には避難階の定義はあるものの数え方の項目は見当たりません

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国の政令は表の階ごとに避難器具を選ぶと定め避難階は直接地上へ通ずる出入口のある階で東大阪市の運用基準は避難階が二つある建物の階数を降着側の避難階から数えることができ数えた階数の欄で器具を選ぶ流れを示す図解

国の基準は避難器具をどの階に何を設けると決めているのか

上の階の窓の横に避難器具の格納箱が付いた平らな地面に建つ建物の図
まず、全国共通の国の基準を確かめます。避難器具を設ける階は、消防法施行令第25条第1項が決めています。
消防法施行令 第25条第1項(柱書・第1号) 避難器具は、次に掲げる防火対象物の階(避難階及び十一階以上の階を除く。)に設置するものとする。
一 別表第一(六)項に掲げる防火対象物の二階以上の階又は地階で、収容人員が二十人(下階に同表(一)項から(四)項まで、(九)項、(十二)項イ、(十三)項イ、(十四)項又は(十五)項に掲げる防火対象物が存するものにあつては、十人)以上のもの
括弧書きのとおり、避難階と11階以上の階には、そもそも避難器具を設けません。第1号から第5号までは、用途と収容人員で避難器具がいる階を分けています。
どの器具を選べるかは、第2項第1号の表で決まります。
消防法施行令 第25条第2項第1号(本文の冒頭) 前項各号に掲げる階には、次の表において同項各号の防火対象物の区分に従いそれぞれの階に適応するものとされる避難器具のいずれかを、
表は、第1項の号ごとに地階・2階・3階・4階又は5階・6階以上の階の5つの欄に分かれています。e-Govの現行の条文から書き出すと、次のとおりです。
第1項の号地階2階3階4階又は5階6階以上の階
第1号((6)項)避難はしご、避難用タラップ滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋、避難用タラップ滑り台、救助袋、緩降機、避難橋滑り台、救助袋、緩降機、避難橋滑り台、救助袋、避難橋
第2号・第3号避難はしご、避難用タラップ滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋、滑り棒、避難ロープ、避難用タラップ滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋、避難用タラップ滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋
第4号避難はしご、避難用タラップ(欄なし)滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋、避難用タラップ滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋
第5号(欄なし)滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋、滑り棒、避難ロープ、避難用タラップ滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋、避難用タラップ滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋
表の欄は、上の階ほど選べる器具が少なくなっています。例えば第1号(病院や福祉施設などの(6)項)では、4階又は5階の欄にある緩降機が、6階以上の階の欄にはありません。
では、表の「2階」「3階」は何を基準に数えるのでしょうか。まず、避難階の意味を確かめます。消防法施行令は、第4条の2の2第2号で避難階を次のように定めています。
消防法施行令 第4条の2の2第2号(括弧書き) 避難階(建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第十三条第一号に規定する避難階をいう。以下同じ。)
「以下同じ」とあるので、第25条の避難階もこの意味です。引かれている建築基準法施行令第13条第1号は、避難階を次のように書いています。
建築基準法施行令 第13条第1号(括弧書き) 避難階(直接地上へ通ずる出入口のある階をいう。以下同じ。)
避難階は「直接地上へ通ずる出入口のある階」で、1階に限りません。斜面に建つ建物では、道路側の1階と山側の上の階の両方が避難階になることがあります。
国の政令の表は、避難階が2つある建物で「何階」をどう数えるかまでは書いていません。この点を書いているのが、東大阪市と大阪市の運用基準です。避難器具の個数の決まりは避難器具の個数の記事で、建物の階数に入らない塔屋などは階数の算定の記事で解説しています。

避難階は1階のこと、と思い込んでいました。

避難階は直接地上へ通ずる出入口のある階です。
斜面の建物では2つになることもあります。

東大阪市の運用基準は避難階が2つある建物の階数をどう数えるのか

斜面に建ち低い側では一番下の階に高い側では途中の階に出入口がある建物の図
東大阪市の運用基準は、「2 共通事項」に次の項目を置いています。
東大阪市「避難器具の設置に係る運用基準」 2 共通事項 ⒂ 防火対象物の避難階が2以上となる場合、令第25条第2項第1号に規定する表の階数は、降着側の避難階から避難器具を設置しなければならない階まで数えた階数とすることができる。●
末尾の●は、東大阪市の運用基準の凡例で次のように定められています。
東大阪市「避難器具の設置に係る運用基準」 凡例 2 ●:行政指導基準であることを示す印
つまり⒂は、法令の決まりそのものではなく、東大阪市消防局が運用として示した行政指導の基準です。⒂の読み方は、次の順にたどれます。
  1. 建物の用途と収容人員から、消防法施行令第25条第1項のどの号で避難器具を設置しなければならない階なのかを、実際の階で確かめる
  2. その建物の避難階を、建築基準法施行令第13条第1号の直接地上へ通ずる出入口のある階で確かめる。2以上あれば⒂の対象
  3. 避難器具で降りる側(降着側)の地面に接している避難階はどれかを確かめる
  4. 降着側の避難階から、避難器具を設置しなければならない階まで数える。避難階を1として数えると、実際の階を数えるときと同じ数え方になると読める
  5. 数えた階数で、第25条第2項第1号の表の「2階」「3階」「4階又は5階」「6階以上の階」の欄を選び、その欄の器具から選ぶ
大事なのは、⒂が読み替えの対象として書いているのが「令第25条第2項第1号に規定する表の階数」だけという点です。どの階に避難器具がいるか(第1項)を、数え直した階数で判断するとは書かれていません。
また、消防法施行規則第27条には、4階以上の階に固定はしごを設けるときの条件のように「四階以上」で区切る決まりがあります。こうした規則の階数まで⒂で数え直せるかは、運用基準に書かれていないので、東大阪市消防局に確認しましょう。

数え直すのは、器具を選ぶ表の階数だけなのですね。

はい、⒂の文言は表の階数に限っています。
どの階に要るかは実際の階で見ます。

降着側から数えると選べる避難器具はどう変わるのか

斜面に建つ建物の高い側に緩降機を降ろし上の窓から救助袋を降ろしている図
例で考えます。東大阪市内の斜面に、6階建ての福祉施設((6)項)が建っているとします。道路側は1階が地面に接し、山側は3階が地面に接していて、どちらにも外へ出る出入口があります。
6階には収容人員が20人以上いて、第25条第1項第1号で避難器具がいる階だとします。
器具を降ろす側降着側の避難階表で読む階数第1号の表で選べる器具
道路側(低い側)1階6階以上の階の欄滑り台、救助袋、避難橋
山側(高い側)3階3階を1として数えると4(4階又は5階の欄)と読める滑り台、救助袋、緩降機、避難橋
山側に降ろすなら、⒂を使うと4階又は5階の欄で器具を選べると読めます。この例では、6階以上の階の欄にない緩降機が候補に入ります。
一方で、道路側に降ろすなら降着側の避難階は1階なので、いつもどおり6階以上の階の欄です。どちら側へ降ろすかで、読む欄が変わるわけです。
⒂は「することができる」と書いているので、使うかどうかは選べます。数え直さずに実際の階で器具を選んでも、国の基準からは外れません。
山側の地面に降りたあと、そこから道路などへ安全に逃げられるかも大切です。東大阪市の運用基準は、器具を降りた場所の避難空地や避難通路も細かく決めています。こちらは東大阪市の避難空地の記事で解説しています。

山側の地面に降ろせば、緩降機を選べるかもしれないのですね。

はい、ただしどちら側の地面に降りるかが前提です。
図面で降りる場所を決めてから相談しましょう。

東大阪市が求める使用者を考慮した選定とは何か

ベッドと車いすのある福祉施設の部屋の窓から外へらせん状の滑り台が設けられている図
⒂のすぐ前の⒁にも、器具の選び方の項目があります。
東大阪市「避難器具の設置に係る運用基準」 2 共通事項 ⒁ 避難器具は、当該器具の使用者を考慮して選定すること。●
国の政令の表は、階と用途の区分で選べる器具の候補を示すだけです。候補の中のどれを選ぶかについて、⒁は実際に使う人のことを考えて選ぶよう求めています。これも●の行政指導基準です。
どんな人にどの器具がふさわしいかの具体例は、⒁には書かれていません。福祉施設の入所者、子ども、ホテルの宿泊客などでは、自分で器具を操作できるか、介助がいるかが変わります。表の候補から機械的に選ぶのではなく、使う人が実際に降りられる器具かという目で見直す、という趣旨と読めます。
⒂で選べる器具の候補が増えても、⒁の考え方は同じようにかかります。候補が増えたからといって、使う人に合わない器具を選んでよいわけではありません。

表に載っている器具なら、どれでもよいと思っていました。

東大阪市は使う人を考えて選ぶよう求めています。
入所者や利用者の様子から考えましょう。

大阪市と堺市では避難階が2つある建物をどう扱っているのか

東大阪市と大阪市と堺市の扱いを比べることを表す斜面と平地に建つ三つの建物の図
大阪市の運用基準は、避難器具の節の最初に、東大阪市の⒁・⒂とほぼ同じ文を「避難器具の選定」として置いています。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」 第3章 第1節 避難器具 第2 避難器具の選定◆ 1 避難器具は、当該器具の使用者を考慮して選定するものとする。
2 防火対象物の避難階(建基令第13条第1号に規定する避難階をいう。以下同じ。)が2以上となる場合、令第25条第2項第1号に規定する表の階数は、降着側の避難階から避難器具を設置しなければならない階(以下「要設置階」という。)まで数えた階数とすることができる。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」 凡例 ◆ :行政手続法上の行政指導に該当する事項(行政指導基準)
大阪市は、避難階が建築基準法施行令第13条第1号の避難階であることを文中で明記し、避難器具を設置しなければならない階を「要設置階」と名付けています。数え方の中身は東大阪市と同じで、どちらも行政指導基準です。
大阪市では、上の階が後退した建物で下の階の屋上に降りる場合の扱いもあります。こちらは大阪市のセットバック建物の記事で解説しています。
堺市の審査基準は、「第17 避難器具」の用語の意義で避難階を説明しています。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」 第17 避難器具 Ⅰ 概要 2 用語の意義 (9) 避難階とは、建基政令第13条第1号に規定する階で、直接地上に通ずる出入口のある階をいう。必ずしも1階に限定されるものではない。
堺市も、避難階は1階とは限らないことをはっきり書いています。ただ、第17の全文を調べた範囲では、避難階が2以上ある建物で表の階数をどう数えるかの項目や、使用者を考慮した選定の項目は見当たりませんでした。
項目東大阪市大阪市堺市
避難階の意味(数え方の項目の中で避難階とだけ記載)建基令第13条第1号の避難階と明記建基政令第13条第1号の階・1階に限定されない
避難階が2以上の建物の表の階数降着側の避難階から数えた階数とすることができる(⒂●)降着側の避難階から要設置階まで数えた階数とすることができる(第2 2◆)項目は見当たらない
使用者を考慮した選定使用者を考慮して選定(⒁●)使用者を考慮して選定(第2 1◆)項目は見当たらない
印の意味●=行政指導基準◆=行政指導基準―
東大阪市と大阪市は、数え方も印の意味も同じです。違いは、大阪市が避難階の定義と「要設置階」という呼び名を文中に書き込んでいる点くらいです。
堺市に項目がないことは、堺市で同じ扱いが認められないという意味ではありません。堺市の建物は堺市消防局に確認しましょう。堺市が独自に避難器具を求める階は堺市の6階以上の避難器具の記事で、大阪市の避難器具の照明は大阪市の避難器具の照明の記事で解説しています。

東大阪市と大阪市は、ほとんど同じ書き方なのですね。

はい、数え方の中身は同じです。
堺市は項目がないので消防局に確認しましょう。

よくある質問

Q避難階とはどの階のことですか?
A建築基準法施行令第13条第1号の直接地上へ通ずる出入口のある階です。斜面に建つ建物では、1階以外の階が避難階になることもあります。
Q東大阪市で、避難階が2つある建物の避難器具は何階として選べばよいですか?
A東大阪市の運用基準は、消防法施行令第25条第2項第1号の表の階数を、降着側の避難階から避難器具を設置しなければならない階まで数えた階数とすることができるとしています。行政指導基準(●)です。
Q数え直した階数で、避難器具がいる階かどうかも判断できますか?
A運用基準が数え直しの対象として書いているのは表の階数だけです。避難器具がいる階かどうかは第25条第1項で判断することになると読めるので、東大阪市消防局に確認しましょう。
Q大阪市や堺市でも同じ扱いですか?
A大阪市の運用基準にはほぼ同じ文の項目(◆)があります。堺市の審査基準は避難階が1階に限られないことを書いていますが、数え方の項目は見当たりません。

まとめ

✔消防法施行令第25条は、避難階と11階以上の階を除いた階に避難器具を設け、器具の種類を階ごとの表で決めています
✔避難階は直接地上へ通ずる出入口のある階で、1階とは限りません
✔東大阪市は、避難階が2以上ある建物で表の階数を降着側の避難階から数えることができるとしています
✔数え直すのは表の階数だけで、どちら側へ降ろすかで読む欄が変わります
✔東大阪市は使用者を考慮した器具の選定も求めています
✔大阪市にもほぼ同じ項目があり、堺市には数え方の項目が見当たりません
✔運用基準は改正されることがあるので、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認しましょう

まず避難階がどこにあるかを図面で確かめます。
降ろす側も決めてから相談してみます!

東大阪市では、降着側の避難階から数えるのが決め手です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および東大阪市・大阪市・堺市の公開資料に基づく一般的な解説です。運用基準や審査基準は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認してください。各市の資料は2026年10月時点の公開版で確認しています。個々の建物で選べる避難器具は、所轄の消防署にご確認ください。

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