連結送水管は、火事のときに消防隊がポンプ車から建物の中へ水を送り込み、各階の放水口にホースをつないで消火するための設備です。
国の基準は、放水口を「階段室、非常用エレベーターの乗降ロビーその他これらに類する場所」に置くと並べて書くだけですが、東大阪市の運用基準は乗降ロビー、階段室、階段付近という順番を付けています。
この記事では、東大阪市消防局の運用基準を中心に、国の基準と市の運用を分けて読み、大阪市・堺市の基準とも比べます。
東大阪市で、非常用エレベーターのある12階建てのビルを計画しています。
放水口は階段室に置けばよいですか。
東大阪市では、非常用エレベーターがあれば乗降ロビーが先です。
順番を見ていきましょう。
国の基準と、市の運用は違うのですか?
はい、国は場所を並べるだけです。
大阪市と堺市の書き方も比べます。
- 国の基準は、放水口を階段室、非常用エレベーターの乗降ロビーその他これらに類する場所で、消防隊が有効に消火活動を行うことができる位置に設けるとしています。場所の順番は書かれていません
- 東大阪市は、非常用エレベーターがあれば乗降ロビー、なければ階段室、階段室がなければ階段付近という順番で置くとしています(●=行政指導基準)
- 東大阪市は、放水口を鋼板等の不燃材料製の格納箱に入れ、箱の扉は避難上・操作上支障がない向きに開くようにします。屋上の放水口は格納箱を省けます
- 大阪市は乗降ロビーの次に特別避難階段の附室を入れ、エックス階段には表示を求めています。堺市は順番を付けず、階段室等から5m以内まで認めています
- 最新の内容は、管轄の消防署・消防局で確認します
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目次
国の基準では連結送水管の放水口はどこに置くのか

イ 前項第一号及び第二号に掲げる建築物の三階以上の階
- 放水口は、どこからでも決められた水平距離以内になるように置く(7階建て以上などの建物の3階以上の階は50m)
- そのうえで、階段室、非常用エレベーターの乗降ロビーその他これらに類する場所で、消防隊が有効に消火活動を行うことができる位置に置く
ただ、国の条文は「階段室」と「乗降ロビー」を並べているだけで、両方あるときにどちらを選ぶかまでは書いていません。そこを補っているのが各市の運用基準です。建物の区分ごとの水平距離は放水口の水平距離の記事で解説しています。
国の基準だと、階段室でも乗降ロビーでもよいのですね。
はい、順番は国の条文にはありません。
東大阪市の書き方を見ます。
東大阪市は放水口を置く場所にどんな順番を付けているのか

- 非常用エレベーターがある建物は、非常用エレベーターの乗降ロビーに設ける
- 非常用エレベーターがない建物は、階段室に設ける
- 階段室がない建物は、階段付近に設ける
また柱書の「ねじ式の結合金具に係る部分を除く」により、東大阪市では結合金具は差込式が前提になります。送水口の置き場所は東大阪市の送水口の記事で解説しています。
ロビーがあるかどうかで、置き場所が変わるのですね。
はい、まず非常用エレベーターの有無を確かめます。
次は格納箱と扉です。
東大阪市の放水口の格納箱と扉はどう決まっているのか

- 箱は鋼板等の不燃材料製で、ホースをつないだりバルブを操作したりしやすい大きさと構造にする(▲=法令基準に行政指導を加えた基準)
- 運用基準が条例第51条第4項により屋上に設けるとしている放水口は、格納箱を設けなくてもよい
- 箱の扉が開く向きは、避難の妨げにならず、操作もしやすい向きにする
さらに⑶では、放水口が防火区画された階段室にある場合に、廊下から階段室に通じる出入口の防火戸の下方へ消防用ホース通過孔を設けるとしています(▲)。通過孔の大きさや開き方を各市で比べた内容は防火戸のホース通過孔の記事で解説しています。
階段室の扉を閉めたままホースを通すためなのですね。
はい、煙を入れずにホースを延ばす工夫です。
次は大阪市を見ます。
大阪市は特別避難階段の附室とエックス階段をどう扱っているのか

(1) 非常用エレベーターが設置されている場合は、非常用エレベーターの乗降ロビーに設けることとし、非常用エレベーターが設置されていない場合で、特別避難階段が設置される場合は、特別避難階段の附室に設けること。なお、非常用エレベーター及び特別避難階段が設置されない場合は、階段室等消防隊が有効に消火活動を行うことができる位置に設けること
(2) エックス階段(同一階段室で2方向から昇降できる階段をいう。)に設置する場合は、片方の階段に沿って放水口を設置し、階段の入口には放水口が設置されている階段である旨及び設置されていない階段である旨を表示すること
- 非常用エレベーターがあれば、乗降ロビー(東大阪市と同じ)
- 非常用エレベーターがなく特別避難階段があれば、特別避難階段の附室(東大阪市には書かれていない段)
- どちらもなければ、階段室等消防隊が有効に消火活動を行うことができる位置
格納箱は「2」で、原則として鋼板等の不燃材料製の箱に設け、運用基準が条例第46条第4項により屋上に設けるとしている放水口は格納箱を省けるとしています。東大阪市とほぼ同じ書き方ですが、扉の開く向きの項目は第4には見当たりませんでした。附室や乗降ロビーの防火戸の開放部分(「4」)は、ホース通過孔の記事で比べています。
大阪市は、附室が2番目に入るのですね。
はい、特別避難階段の附室が2番目です。
最後に堺市を見ます。
堺市と比べると何が違うのか

(エ) 大規模なフロア等において、前(ア)以外の場所にも設置が必要となる場合は、当該場所に設ける放水口付近に格納箱(2.(1)によるホース2 本及び筒先1 本を格納したもの。)を附置し、かつ、防災センター等に当該放水口及び格納箱の設置位置を明示した図面を備えること。
(エ)は、別の項目を借りています。たどると次のとおりです。
- 大規模なフロアで、階段室等や5m以内以外の場所にも放水口が必要になる
- その放水口の付近に格納箱を置き、中身は「2.(1)によるホース2本及び筒先1本」とする
- 「2.(1)」は、同じ第22の2 高層階等に設ける連結送水管 (1) 放水用器具★を指し、ホースは差込式の呼称65・長さ20m・使用圧1.3MPa以上、筒先は取手付きで口径23mmの棒状・噴霧切替式とされている
- あわせて、防災センター等に放水口と格納箱の位置を明示した図面を備える
3市を並べると次のとおりです。
| 項目 | 東大阪市 | 大阪市 | 堺市 |
|---|---|---|---|
| 乗降ロビーと階段室の関係 | 乗降ロビー→階段室→階段付近の順(●) | 乗降ロビー→特別避難階段の附室→階段室等の順(◆) | 順番なし。階段室・乗降ロビー等から5m以内も可(★) |
| 放水口の格納箱 | 鋼板等の不燃材料製(▲)、屋上の放水口は省略可 | 原則として鋼板等の不燃材料製、屋上の放水口は省略可 | 原則として鋼板等の不燃材料製(★) |
| 扉・階段の表示 | 格納箱の扉の開閉方向に配慮 | エックス階段の入口に表示 | - |
| 大きなフロアなど | - | - | ホース2本・筒先1本の格納箱+防災センター等に図面 |
- 非常用エレベーターがあるかを確かめ、あれば乗降ロビーに放水口を置く
- ない場合は階段室、階段室もなければ階段付近に置く
- どこからでも水平距離50m以内(7階建て以上などの3階以上の階)に収まるかを平面図で確かめる
- 放水口を不燃材料製の格納箱に入れ、扉の開く向きが避難と操作の邪魔にならないかを確かめる
- 階段室が防火区画されていれば、防火戸の下方のホース通過孔を設ける
同じ大阪府内でも、2番目に選ぶ場所が違うのですね。
はい、附室の段があるのは大阪市だけです。
計画する市の基準で確かめましょう。
よくある質問
まとめ
まず非常用エレベーターの有無で置き場所を決めます。
格納箱の扉の向きも図面で確かめます!
東大阪市は乗降ロビーが先というのが要点です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 東大阪市消防局「連結送水管の設置に係る運用基準」凡例/Ⅱ 細目 2 放水口 柱書・⑴ ウ・⑵ ア・イ・⑶ https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000041303.html
- 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第5章 第3節 連結送水管 第4 放水口◆ 柱書・2・3 (1)(2)・4 https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
- 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第22 連結送水管 Ⅱ 1 (3) 放水口 イ (ア)〜(エ)・ウ (ア)/2 (1) 放水用器具 https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 消防法施行令 第29条第2項第1号、消防法施行規則 第31条第2号〜第4号の2(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および東大阪市・大阪市・堺市の公開資料に基づく一般的な解説です。運用基準や審査基準は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認してください。各資料は2026年10月時点の公開版で確認しています。東大阪市火災予防条例第51条第4項と大阪市火災予防条例第46条第4項の原文は本記事では確認していないため、運用基準の記載の範囲で紹介しています。





