天井カセット形のエアコンと、スプリンクラーヘッドが同じ天井に並ぶ事務所や店舗はよくあります。
ところが国の消防法施行規則は、吹き出し口から1.5m離す決まりを置いているのは感知器だけで、スプリンクラーヘッドと吹き出し口の距離は、自治体の運用で決まっています。
この記事では、吹田市消防本部の「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第3節 スプリンクラー設備の問3(吹き出し口の付近のヘッド)と問16(エアコンの連動停止)を読み、大阪市・豊中市・堺市の基準とも比べます。
吹田市で事務所の天井を改修します。
エアコンの吹き出し口のすぐ横に、スプリンクラーヘッドを付けてもよいですか?
吹田市の質疑応答集は、原則として吹き出し口から1.5m以上離すとしています。
ただし、その例外も3つ書かれています。
例外があるのですね。
はい、エアコンが火災のときに止まる連動なら距離は問わないという答もあります。
順に見ていきましょう。
- 消防法施行規則第23条第4項第8号は、感知器に限って、換気口等の空気吹出し口から1.5m以上離すことを求めています
- 吹田市の質疑応答集の答3は、スプリンクラーヘッドもエアコン等の吹き出し口から1.5m以上離すとしています
- 答3は、吹き出し口の固定や遮蔽板で感知の障害にならないか、図の斜線部分以外に付ける場合を例外にしています
- 答16は、エアコンと自動火災報知設備の連動停止を設けた場合、離隔距離は不問としています
- 大阪市は固定と自動停止、豊中市は固定だけを例外にしていて、堺市は自動火災報知設備の感知器の基準を準用するの形をとっています
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目次
吹田市の質疑応答集は吹き出し口とヘッドの距離をどう答えているのか

答3 エアコン等の吹き出し口から1.5m以上離れた位置に設置すること。
ただし吹き出し口を固定又は吹き出し口に遮蔽板を部分的に設け感知の障害とならない場合はこの限りではない。
(着工届に空調設備図を添付するように指導すること。)
また下図の斜線部分以外の場所に設置する場合も支障なし。
(自動火災報知設備の感知器についても準用する。)
答16 エアコンと自動火災報知設備の連動停止を設けた場合、SPヘッドのエアコンの吹き出しからの離隔距離は不問とする。
| 場合 | 吹田市の答 | 出どころ |
|---|---|---|
| 原則 | 吹き出し口から1.5m以上離す | 答3 |
| 吹き出し口を固定する・遮蔽板を部分的に設ける | 感知の障害とならなければ1.5m未満でも可 | 答3 ただし書き |
| 図の斜線部分以外に付ける | 支障なし | 答3 図 |
| エアコンと自動火災報知設備の連動停止を設ける | 離隔距離は不問 | 答16 |
| 着工届 | 空調設備図を添付するよう指導 | 答3 |
エアコンが止まる仕組みがあれば、距離を気にしなくてよいのですね。
吹田市はそう答えています。
ただし、ヘッドの周りの散水障害は別に確かめましょう。
国の基準ではヘッドと吹き出し口の距離は決まっているのか

国の規則には、ヘッドの距離の決まりがないのですね。
はい、だから建てる市の運用基準を確かめる必要があります。
吹田市の場合を当てはめてみましょう。
吹田市の扱いを自分の天井に当てはめるにはどうするのか

- 天井にあるエアコン等の吹き出し口を、空調設備図で拾い出す
- ヘッドごとに、吹き出し口から1.5m以上離れているかを確かめる。離れていれば答3の原則どおりで足りる
- 1.5m未満のヘッドは、吹き出し方向の斜線部分の外にあるかを確かめる。斜線部分の外なら支障なし(答3の図)
- 斜線部分の中なら、吹き出し口の向きを固定するか、遮蔽板を部分的に付けることで、感知の障害にならないかを確かめる(答3のただし書き)
- エアコンと自動火災報知設備の連動停止を設けているなら、離隔距離は問われない(答16)
- どれにも当たらなければ、ヘッドの位置を1.5m以上離す
- 着工届に空調設備図を付ける(答3のかっこ書き)
うちの事務所は、ヘッドが吹き出し口から1mくらいの所にあります。
その場合は、図の斜線部分の外かを先に確かめましょう。
だめなら固定・遮蔽板・連動停止のどれかです。
大阪市・豊中市・堺市ではただし書きがどう違うのか

| 項目 | 吹田市 | 大阪市 | 豊中市 | 堺市 |
|---|---|---|---|---|
| 定めている場所 | 質疑応答集 第3節 問3・問16 | 運用基準 第3節 第9 1(5) | 運用基準 第3節 第9 1(5) | 審査基準 第4 Ⅱ 2(3)カ(ア) |
| 原則の距離 | 1.5m以上 | 1.5m以上 | 1.5m以上 | 自動火災報知設備の基準を準用(1.5m以上) |
| 吹き出し方向の固定 | 例外(遮蔽板も可) | 例外 | 例外 | 例外(感知器に直接風圧等がかからないもの) |
| 空調の連動停止 | 離隔距離は不問(答16) | 例外(自動火災報知設備等の作動で自動停止) | 記載は見当たらない | 記載は見当たらない |
| そのほかの例外 | 図の斜線部分以外は支障なし | 記載は見当たらない | 記載は見当たらない | 壁の吹出し口が天井面から1m以上離れていれば1.5m以内も可 |
| 義務と指導の区別 | 質疑応答集(記号なし) | ◆=行政指導 | 凡例なし | ★=堺市独自の指導基準 |
同じ大阪府内でも、連動停止の扱いが市によって違うのですね。
はい、連動停止を例外として書いているのは、吹田市と大阪市です。
豊中市と堺市では、先に相談するのが安全です。
堺市はなぜ自動火災報知設備の基準を借りているのか

(ア) 換気口等の空気吹出し口が、天井面に設けられている場合は、第12-19図によること。
(イ) 換気口等の空気吹出し口が、天井面から1m以内の壁体に設けられている場合は、第12-20図によること。ただし、吹出し口が天井面から1m以上離れた壁体に設けられている場合は1.5m以内とすることができる。
- スプリンクラー設備の節(第4 Ⅱ 2(3)カ(ア))が、ヘッドは空調吹出口付近等の位置を避けるとし、第12の(5)アを準用する
- 準用先の第12 Ⅱ 2(5)アは、省令(消防法施行規則)第23条第4項第8号の「1.5m以上離れた位置」の測り方を定めている
- 天井面の吹出し口は第12-19図、天井面から1m以内の壁の吹出し口は第12-20図のとおり、吹出し口からの水平距離1.5m以上を測る
- 吹出し方向が固定され、直接風圧等がかからないものは例外になる
- 壁の吹出し口が天井面から1m以上離れているなら、1.5m以内にできる
堺市は、感知器の決まりをヘッドに借りているのですね。
はい、準用先の図までたどるのが近道です。
ヘッドと感知器を同じ図面で見るとよいでしょう。
よくある質問
まとめ
エアコンとヘッドの位置は、空調設備図と消防の図面を重ねてで確かめます!
設計の段階で確かめれば、天井を張った後のヘッドの移設を避けられます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 吹田市消防本部「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第3節 スプリンクラー設備 問2・問3・問16 https://www.city.suita.osaka.jp/anzen/1017917/1017954/1044807.html
- 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第3節 閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備 第9 1(5)、自動火災報知設備 (6) https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
- 豊中市消防局「消防用設備等の設置に関する運用基準」第3節 閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備 第9 1(5)、自動火災報知設備 (6) https://www.city.toyonaka.osaka.jp/kurashi/bosai/toyonakafiredept/todokede/setubiunnyoukijun.html
- 堺市消防局「消防同意・消防用設備等審査基準」第4 スプリンクラー設備 Ⅱ 2(3)カ(ア)、第12 自動火災報知設備 Ⅱ 2(5)ア https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 東大阪市消防局 消防用設備等の運用基準(自動火災報知設備) https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000041303.html
- 消防法施行規則 第13条の2〜第13条の6・第23条第4項第8号(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/336M50000008006
※本記事は公表されている法令および吹田市・大阪市・豊中市・堺市・東大阪市の公開資料に基づく一般的な解説です。表は要旨を自分の言葉でまとめたものです。答3の図の斜線部分の読み方、例外の並び方、堺市の準用の読み替え、4市の対比は、資料を読んだうえでの整理であり、各市が明記しているものではありません。「見当たらない」とした項目は、各市の公開資料を確認した範囲でのものです。運用基準は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防局で確認してください。個別の建物の扱いは、所轄の消防署にご確認ください。






