放送設備の点検には、スピーカーだけでなく操作部と遠隔操作器を見る項目があるのをご存じでしょうか。
操作部と遠隔操作器は、放送をかけたり、放送の状態を確かめたりする側の機器です。
点検要領は、周囲の状況から、二つ以上あるときの相互作動、遠隔操作器の連動まで、項目を細かく分けています。
この記事では、点検要領の判定文をもとに、操作部と遠隔操作器の点検で何を見るのかを整理します。
放送設備の操作部って、マイクとスイッチが動けば点検はよいのではないですか。
動作のほかに、置かれた場所の周囲の状況まで点検の項目にあります。
まず全体像から見ていきましょう。
遠隔操作器というのは、どの建物にもあるのですか。
二つ以上の操作部や遠隔操作器を設けている放送設備に限る項目もあります。
順番に見ていきましょう。
- 増幅器・操作部・遠隔操作器の点検は、周囲の状況から外形、表示、電圧計、計器類、回路選択まで、項目を分けて確かめます。
- 周囲の状況では、使用上及び点検上必要な空間の確保と、操作部又は遠隔操作器のうち一のものが常時人がいる場所にあることを目視で見ます。
- 二つ以上の操作部又は遠隔操作器を設けている設備は、相互作動と同時通話で確かめます。
- 遠隔操作器を設けている設備は、継電器やモニタースピーカーや出力計の作動、一斉放送、任意の階への放送まで見ます。
- 電圧計は指示値が所定の範囲内かを見て、電圧計のないものは電源表示灯の点灯で確かめます。
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目次
増幅器・操作部・遠隔操作器の点検では何を見るのか

規則は、この三つの機器の置き場所について、次のように定めています。
増幅器、操作部及び遠隔操作器は点検に便利で、かつ、防火上有効な措置を講じた位置に設けること。
点検要領には、周囲の状況、外形、表示、電圧計、スイッチ類、保護板、ヒューズ類、継電器、計器類、表示灯、結線接続、接地、回路選択といった項目が並んでいます。
このほかに、二つ以上あるときの相互作動と、遠隔操作器の連動が、それぞれの設備に限る項目として付いています。
全部を一度に覚えようとせず、この記事では判断に迷いやすい項目から順に見ていきます。
だから点検の前に、自分の建物の操作部と遠隔操作器がどこに何台あるかを図面で数えておきましょう。
増幅器も、操作部と同じ項目に入っているのですか。
点検要領の項目名は、増幅器と操作部と遠隔操作器でひとまとめです。
ただし、遠隔操作器を設けている設備や、二つ以上あるときだけの項目も含まれます。
操作部や増幅器の周りは何が確保されていればよいのか

点検要領と規則には、次のように書かれています。
(点検方法)目視により確認する。
(判定方法)ア 周囲に使用上及び点検上必要な空間が確保されていること。 イ 操作部又は遠隔操作器のうち一のものは、常時人がいる場所であること。
操作部又は遠隔操作器のうち一のものは、防災センター等に設けること。
空間の例は点検要領の第14-4図に描かれていますが、判定文には数値は書かれていません。
規則のトは、これらの機器を点検に便利な位置に設けるよう求めています。
規則のルは、操作部又は遠隔操作器の一つを防災センター等に設けるよう求め、総合操作盤が設けられている場合は例外としています。
だから点検の前に、操作部の前や横に物を置いていないかを見ておきましょう。設置の基準は放送設備のスピーカーと増幅器の設置の記事で整理しています。
操作部の前に書類の棚を置いていたら、不良になりますか。
判定文は「必要な空間が確保されていること」とだけ書いています。
迷うときは、設計図書や所轄の消防署へ確かめましょう。
操作部が二つ以上あるときは何を確かめるのか

点検要領と規則の文言は、次のとおりです。
(点検方法)操作部又は遠隔操作器を相互に作動させることにより確認する。
(判定方法)一の操作部又は遠隔操作器を作動させた場合、相互の機能が正常であり、報知区域並びに操作部又は遠隔操作器の表示が適正であること。
(点検方法)同時に通話できる設備により確認する。
(判定方法)相互の呼出し及び通話が明瞭であること。
一の防火対象物に二以上の操作部又は遠隔操作器が設けられているときは、これらの操作部又は遠隔操作器のある場所相互間で同時に通話することができる設備を設けており、かつ、いずれの操作部又は遠隔操作器からも当該防火対象物の全区域に火災を報知することができるものであること。
相互作動の判定は、相互の機能が正常で、報知区域と操作部又は遠隔操作器の表示が適正であることです。
通話の判定は、相互の呼出しと通話が明瞭であることです。
規則のヲが求める同時通話の設備を、点検では実際に呼び出して確かめる形になります。
だから点検では、図面で操作部と遠隔操作器の場所を数え、その場所の間で実際に通話してみましょう。副防災センターを置く建物の考え方は防災センターの複数設置の記事にまとめています。
操作部が一つだけの建物は、この項目を見ないのですか。
点検要領は、この項目を二つ以上の操作部又は遠隔操作器を設けている放送設備に限ると書いています。
一つだけの設備は、この項目の対象になりません。
遠隔操作器の連動ではどこまで確かめるのか

判定文は、次のようにアからエまでの内容を並べています。
(点検方法)操作部及び遠隔操作器のいずれかの操作スイッチを操作することにより確認する。
(判定方法)ア 操作部及び遠隔操作器の継電器、モニタースピーカー、出力計等が正常に作動すること。 イ 遠隔操作器の起動操作により、一斉放送が確認できること。 ウ 遠隔操作器の回路選択スイッチの操作により任意の階に放送できること。 エ 遠隔操作器のモニタースピーカーにより、放送内容の確認ができること。
※ モニタースピーカーが内蔵されていないものにあっては同一室内に設けられたスピーカーでモニターできること。
判定文は四つの内容で、一斉放送と、任意の階への放送、モニターでの確認まで含んでいます。
モニタースピーカーが内蔵されていない機器は、同一室内のスピーカーでモニターできればよいと、※で書かれています。
遠隔操作器のある場所で、実際に一斉放送と階の選択とモニターを試してみましょう。
自動火災報知設備との連動は別の項目なので、放送設備の連動の点検の記事を合わせて読むと整理しやすくなります。
モニタースピーカーが付いていない遠隔操作器は、どうなりますか。
※に、同一室内に設けられたスピーカーでモニターできることと書かれています。
内蔵か別置きかを、先に確かめておきましょう。
電圧計と計器類と回路選択はどう確かめるのか

電圧計と計器類と回路選択の三つを、点検要領の文言で見てみましょう。
(点検方法)目視により確認する。
(判定方法)ア 変形、損傷等がないこと。 イ 電圧計の指示値が所定の範囲内であること。 ウ 電圧計のないものにあっては、電源表示灯が点灯していること。
(点検方法)電圧計及び出力計をスイッチ等の操作及び放送することにより確認する。
(判定方法)指針の作動が正常であること。
(点検方法)階別選択スイッチは報知区域ごとに操作し、また、一斉放送スイッチを操作することにより確認する。
(判定方法)選択された回路及び関連する階別作動表示灯並びに火災灯が正常に点灯すること。
電圧計は指示値が所定の範囲内であることを見て、電圧計がない機器は電源表示灯の点灯を確かめます。
計器類は電圧計と出力計を、スイッチの操作と放送で動かして、指針の作動が正常かを見ます。
回路選択は、階別選択スイッチを報知区域ごとに操作し、選んだ回路と階別作動表示灯と火災灯が点灯するかを確かめます。
だから点検では、目視で済ませる項目と、操作して確かめる項目を分けて進めましょう。
出力計の指針は、どのくらい振れていればよいのですか。
判定文は「指針の作動が正常であること」とだけ書いています。
具体的な振れ幅は、設備の仕様書で確かめましょう。
よくある質問
まとめ
まず自分の建物の操作部と遠隔操作器がどこに何台あるかを、図面で数えるところから始めます!
点検は、置き場所と通話と連動まで確かめて、初めて操作部を見たといえます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第31条の6(消防用設備等の点検及び報告)、第25条の2(非常警報設備に関する基準の細目)
- 消防法施行規則の規定に基づき、消防用設備等又は特殊消防用設備等の種類及び点検内容に応じて行う点検の期間、点検の方法並びに点検の結果についての報告書の様式を定める件(平成16年消防庁告示第9号)
- 消防用設備等の点検要領(消防庁通知) 第14 非常警報器具及び設備
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。





