災害の後に、建物の用途を変えて使い続けているとき、いつまで使えるのか、期間を超えるとどうなるのか、気になる人は多いのではないでしょうか。
建築基準法第101条には、災害救助用建築物や公益的建築物などを、許可の期間を超えて使った場合を罰する規定が置かれています。
今回は第101条の第15号から第17号を、罰せられる人と根拠になる第87条の3の規定に分けて解説します。
災害の後に用途を変えた建物を使い続けると、罰則になることはありますか。
第101条に、100万円以下の罰金の定めがあります。
この記事で、その中身を確認します。
期間の定めを超えて使った場合も、対象になりますか。
第16号と第17号が、定められた期間を超えて使った場合を挙げています。
順番に見ていきましょう。
- 第101条は、各号のいずれかに該当する者を、100万円以下の罰金に処すると定めています。
- 第15号は、第87条の3第3項に違反した場合の建築物の所有者、管理者又は占有者を罰する規定です。
- 第16号は災害救助用建築物又は公益的建築物として、第17号は興行場等として、特定行政庁が定めた期間を超えて使った場合を罰する規定です。
- 第2項の故意の規定が挙げるのは第3号、第4号、第6号で、第15号から第17号は含まれていません。
- どの行為が違反に当たるかの細かい判断は条文に書かれておらず、個別の事案は建築の窓口で確かめます。
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目次
第15号は用途を変えた建物を3月を超えて使うときの許可の違反をどう罰するのか

(建築基準法第百一条第十五号)十五 第八十七条の三第三項の規定に違反した場合における当該建築物の所有者、管理者又は占有者
(建築基準法第八十七条の三第三項)建築物の用途を変更して第一項の災害救助用建築物又は前項の公益的建築物とした者は、その用途の変更を完了した後三月を超えて当該建築物を引き続き災害救助用建築物又は公益的建築物として使用しようとする場合においては、その超えることとなる日前に、特定行政庁の許可を受けなければならない。ただし、当該許可の申請をした場合において、その超えることとなる日前に当該申請に対する処分がされないときは、当該処分がされるまでの間は、当該建築物を引き続き災害救助用建築物又は公益的建築物として使用することができる。
第87条の3第3項は、建築物の用途を変更して災害救助用建築物又は公益的建築物とした者が、用途の変更を完了した後3月を超えて引き続き使用しようとする場合は、その超えることとなる日前に、特定行政庁の許可を受けなければならないと定めています。
ただし、許可の申請をした場合で、その超えることとなる日前に処分がされないときは、処分がされるまでの間は、引き続き使用することができるとされています。
第3項が許可を受ける義務を課しているのは、用途の変更をして災害救助用建築物又は公益的建築物とした者です。
一方、第15号が罰する相手は、建築物の所有者、管理者又は占有者と書かれています。
第3項の許可を受けていない場合は、誰が罰せられますか。
第15号は、建築物の所有者、管理者又は占有者と書いています。
第3項で許可を受ける者とは、書き分けられています。
第16号は特定行政庁が定めた期間を超えて災害救助用建築物などとして使うとどう罰するのか

(建築基準法第八十七条の三第四項)特定行政庁は、前項の許可の申請があつた場合において、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるときは、二年以内の期間を限つて、その許可をすることができる。
(建築基準法第八十七条の三第五項)特定行政庁は、被災者の需要に応ずるに足りる適当な建築物が不足することその他の理由により前項に規定する期間を超えて使用する特別の必要がある災害救助用建築物又は公益的建築物について、安全上、防火上及び衛生上支障がなく、かつ、公益上やむを得ないと認める場合においては、同項の規定にかかわらず、更に一年を超えない範囲内において同項の規定による許可の期間を延長することができる。被災者の需要に応ずるに足りる適当な建築物が不足することその他の理由により当該延長に係る期間を超えて使用する特別の必要がある災害救助用建築物又は公益的建築物についても、同様とする。
第4項は、特定行政庁が、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるときは、2年以内の期間を限って許可をすることができると定めています。
第5項は、被災者の需要に応ずるに足りる適当な建築物が不足することその他の理由により、前項の期間を超えて使用する特別の必要がある場合に、公益上やむを得ないと認めるときは、更に1年を超えない範囲内で許可の期間を延長できると定めています。
延長に係る期間を超えて使用する特別の必要があるものについても、同様とされています。
許可の期間を延長した場合は、どの期間が基準になりますか。
第16号は、第4項又は第5項の規定により特定行政庁が定めた期間を超えた場合と書いています。
個別の事案は、建築の窓口で確かめます。
第17号は興行場等として定められた期間を超えて使うとどう罰するのか

(建築基準法第百一条第十号)十 第八十五条第六項又は第七項の規定により特定行政庁が定めた期間を超えて仮設興行場等を存続させた場合における当該建築物の所有者、管理者又は占有者
(建築基準法第八十七条の三第六項)特定行政庁は、建築物の用途を変更して興行場等(興行場、博覧会建築物、店舗その他これらに類する建築物をいう。以下同じ。)とする場合における当該興行場等について安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるときは、一年以内の期間(建築物の用途を変更して代替建築物(建築物の工事を施工するためその工事期間中当該従前の建築物に代えて使用する興行場、店舗その他これらに類する建築物をいう。)とする場合における当該代替建築物については、特定行政庁が当該工事の施工上必要と認める期間)を定めて、当該建築物を興行場等として使用することを許可することができる。この場合においては、第十二条第一項から第四項まで、第二十一条、第二十二条、第二十四条、第二十六条、第二十七条、第三十四条第二項、第三十五条の二、第三十五条の三、第三章及び第八十七条第二項の規定は、適用しない。
(建築基準法第八十七条の三第七項)特定行政庁は、建築物の用途を変更して特別興行場等(国際的な規模の会議又は競技会の用に供することその他の理由により一年を超えて使用する特別の必要がある興行場等をいう。以下この項において同じ。)とする場合における当該特別興行場等について、安全上、防火上及び衛生上支障がなく、かつ、公益上やむを得ないと認めるときは、前項の規定にかかわらず、当該特別興行場等の使用上必要と認める期間を定めて、当該建築物を特別興行場等として使用することを許可することができる。この場合においては、同項後段の規定を準用する。
第6項は、建築物の用途を変更して興行場等(興行場、博覧会建築物、店舗その他これらに類する建築物)とする場合に、特定行政庁が、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるときは、1年以内の期間を定めて許可をすることができると定めています。
工事期間中に従前の建築物に代えて使用する代替建築物の場合は、特定行政庁が工事の施工上必要と認める期間とされています。
第7項は、国際的な規模の会議又は競技会の用に供することその他の理由により1年を超えて使用する特別の必要がある特別興行場等について、公益上やむを得ないと認めるときは、使用上必要と認める期間を定めて許可をすることができると定めています。
第10号にも興行場等の期間の規定がありましたが、同じですか。
第10号は第85条第6項又は第7項の仮設興行場等を存続させた場合、第17号は第87条の3の用途を変更して使用した場合を挙げています。
書かれている規定が違います。
第87条の3の第1項と第2項と第8項は罰則の前提として何を定めているのか

(建築基準法第八十七条の三第二項)災害があつた場合において、建築物の用途を変更して公益的建築物(学校、集会場その他これらに類する公益上必要な用途に供する建築物をいう。以下この条及び第百一条第一項第十六号において同じ。)として使用するときにおける当該公益的建築物については、第十二条第一項から第四項まで、第二十一条、第二十二条、第二十六条、第三十条、第三十四条第二項、第三十五条、第三十六条(第二十一条、第二十六条、第三十四条第二項及び第三十五条に係る部分に限る。)、第三十九条、第四十条、第三章並びに第八十七条第一項及び第二項の規定は、適用しない。
(建築基準法第八十七条の三第八項)特定行政庁は、第五項の規定により許可の期間を延長する場合又は前項の規定による許可をする場合においては、あらかじめ、建築審査会の同意を得なければならない。ただし、病院、学校その他の公益上特に必要なものとして国土交通省令で定める用途に供する災害救助用建築物又は公益的建築物について第五項の規定により許可の期間を延長する場合は、この限りでない。
ただし、非常災害区域等のうち防火地域内にある建築物については、この限りでないとされています。
第2項は、災害があった場合に、建築物の用途を変更して公益的建築物として使用するときは、第21条、第22条、第26条などの規定を適用しないと定めています。
災害救助用建築物は、住宅、病院その他これらに類する建築物で、国、地方公共団体又は日本赤十字社が災害救助のために使用するものをいい、公益的建築物は、学校、集会場その他これらに類する公益上必要な用途に供する建築物をいいます
どちらの定義も、第87条の3と第101条第1項第16号で同じ意味で使うと書かれています。
第8項は、特定行政庁が、第5項の規定により許可の期間を延長する場合又は第7項の規定による許可をする場合は、あらかじめ建築審査会の同意を得なければならないと定めています。
ただし、病院、学校その他の公益上特に必要なものとして国土交通省令で定める用途の災害救助用建築物又は公益的建築物について、第5項の延長をする場合は除かれています。
災害救助用建築物になると、建築基準法令の規定はすべて適用されなくなるのですか。
第1項は、防火地域内にある建築物を除くと書いています。
期間を超えて使うには、第3項の許可が別に定められています。
第15号から第17号の違いを整理すると何が分かるのか

| 号 | 罰せられる人 | 根拠となる規定 |
|---|---|---|
| 第15号 | 建築物の所有者、管理者又は占有者 | 第87条の3第3項(用途の変更を完了した後3月を超えて使うときの許可) |
| 第16号 | 建築物の所有者、管理者又は占有者 | 第87条の3第4項又は第5項の規定により特定行政庁が定めた期間を超えて、災害救助用建築物又は公益的建築物として使用 |
| 第17号 | 建築物の所有者、管理者又は占有者 | 第87条の3第6項又は第7項の規定により特定行政庁が定めた期間を超えて、興行場等として使用 |
| 第2項 | 設計者や工事施工者を罰するほか建築主等にも同項の刑 | 第1項第3号、第4号、第6号の違反が建築主等の故意によるとき(第15号から第17号は挙げられていない) |
第15号から第17号が罰する相手は、いずれも建築物の所有者、管理者又は占有者と書かれています。
これらは建築基準法の罰則であり、消防法令の罰則とは別の規定です。
また、誰が管理者や占有者に当たるか、どの行為が期間を超えた使用に当たるかは、条文には書かれていません。
災害の後に建物の用途を変えて使うときは、こうした罰則があることを頭に入れておくと安心です。
明日から、次の点を確認してください。
- 用途を変えた建物が災害救助用建築物か公益的建築物か興行場等かを、建築の窓口で確かめる。
- 用途の変更を完了した日から3月を超えて使うときは、特定行政庁の許可が要るかを確かめる。
- 許可を受けている場合は、定められた期間がいつまでかを許可の内容で確かめる。
- 期間を延長する場合は、第87条の3第5項と第8項の手続を建築の窓口で確かめる。
- 消防法令の義務は別の規定なので、所轄消防署へ確かめる。
整理はできました。
現場では、何から確かめればよいですか。
まず、その建物の許可の内容と期間を確認しましょう。
消防法令の義務は、所轄消防署に別に確かめます。
よくある質問
まとめ
期間を超えて使うと罰金になる場合がよく分かりました。
まず、許可の期間を確認します!
建築の罰則と消防の罰則は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第八十五条・第八十七条の三・第百一条(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。罰則の適用は事案ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





