消防団に5年以上勤め、消防学校の教育を修了した人は、丙種危険物取扱者の試験や、乙種消防設備士の第5類・第6類の試験で、科目の一部が免除されます。
ところが、いま団員でなくなっていたら、団が変わっていたら、消防学校の教育が基準に足りなかったら、どうなるのでしょうか。
証明の書類を、誰が出すのかも気になります。
消防の実務書には、この運用を確かめた質疑応答が並んでいます。
この記事では、その中から5問を取り上げ、現行の規則に照らして読みます。免除を受けるための条件と書類を、順に確かめます。
消防団を5年やれば、試験が一部免除になると聞きました。
はい。
ただし、勤務の数え方や証明の書類に決まりがあります。
団をやめていても、大丈夫なんでしょうか。
一つずつ確かめます。
現行の規則に当たれるところは、当たって読みます。
- 5年以上勤務した人は、いま消防団員でなくても、科目免除の対象になると答えています。免除の条件は過去に5年以上勤務したことで、規則にも「現に」とは書かれていません
- 勤務が途切れていても、転居などで複数の消防団に勤めていても、期間を合算して5年以上であれば対象になると答えています
- 消防学校の教育が基準に足りなくても、消防学校長が基準の教育を修了した者に相当すると証明すれば、免除の措置を受けられるよう取り計らってよいと答えています
- 団員歴は市町村長の証明でよく、教育の履歴は消防学校長が証明するのが本来で、団長が自分の勤務年数を証明するのは適当でないと答えています
- 試験に落ちた人の合格点の科目を、次の試験で免除することはできないと答えています。免除は規則に書かれた範囲だけです
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目次
消防団員の科目免除は、どの規則で決まっているのか
丙種危険物取扱者の試験は、危険物の規制に関する規則第55条第7項が定めています。丙種の試験を受ける人で、5年以上消防団員として勤務し、かつ、消防学校の教育訓練のうち基礎教育又は専科教育の警防科を修了した人は、燃焼及び消火に関する基礎知識の試験科目が免除されます。
申請のときは、第57条第1項第2号の2により、5年以上消防団員として勤務したことを証明する書類と、基礎教育又は専科教育の警防科を修了したことを証明する書類が要ります。
乙種消防設備士の試験は、消防法施行規則第33条の11第6項が定めています。5年以上消防団員として勤務し、かつ、消防学校の専科教育の機関科を修了した人は、第5類又は第6類の乙種の試験で、筆記の機械又は電気に関する基礎的知識の科目と実技試験が、申請により免除されます。
以下の5問は、この免除の運用を確かめた質疑と回答です。
すでに団員をやめていても、科目免除は受けられるのか

照会したのは、勤めたのが昔で、いまは消防団員でない人も、その対象になるのかという点でした。
免除の条件が過去の勤務でもよいかが、ここでの論点です。
(消防庁の危険物規制に関する質疑応答・通知)(平成14年5月24日・消防消第105号・消防予第152号・消防危第70号)
現行の危険物の規制に関する規則第55条第7項は「5年以上消防団員として勤務し」と書いていて、現に在籍していることを条件にはしていません。乙種消防設備士の施行規則第33条の11第6項も同じ書き方です。
ただし、免除にはもう一つ、消防学校の教育を修了しているという条件があります。勤務年数だけでは免除になりません。
団をやめていても、勤めた年数が使えるんですね。
はい。
ただし、消防学校の教育の修了も条件です。
転居や入団し直しで団が変わっていても、勤務年数は足せるのか

引っ越しや、途中でやめて入り直すことで、勤務が途切れたり、団が変わったりすることがあります。
(消防庁の危険物規制に関する質疑応答・通知)(平成14年5月24日・消防消第105号・消防予第152号・消防危第70号)
規則の書き方は「5年以上消防団員として勤務し」で、同じ団で続けてとは書かれていません。回答は、この文言のとおりに数えてよいと整理しています。
複数の団に勤めたときの証明の出し方は、後の問で確かめます。
転居して団が変わっても、年数は足していいんですね。
はい。
合わせて5年以上になれば対象です。
消防学校の教育が基準に足りないとき、科目免除はどうなるのか

ところが、ある県では消防団員向けの教育の時間数が、消防学校の教育訓練の基準に足りていませんでした。
(別の県から)消防団員に対して消防学校における教育訓練を実施していないが、教育訓練に関する内部規程を定め、消防学校での教育を受けた消防署員が各消防署において内部規程に従った教育訓練を消防団員に対して行っている。このような場合もやむを得ないものとして、科目免除の対象となりうると解してよいか。
(消防庁の危険物規制に関する質疑応答・通知)(平成14年5月24日・消防消第105号・消防予第152号・消防危第70号)
回答は、あわせて学校側に、時間数と内容を速やかに基準まで満たすよう努めることを求めています。署員による内部規程の教育は、そのままでは基準を満たすと解しにくく、消防学校の職員派遣などを経て、学校長が証明する形にすれば対象にできるとしています。
質疑にある「普通教育」や告示の番号は、当時のものです。現行の規則は、教育訓練の基準(平成15年消防庁告示第3号)の基礎教育又は専科教育の警防科と書いています。時間数の数字は、いまの基準で確かめてください。
教育が足りなくても、学校長の証明があればいいんですね。
はい。
学校長の証明が鍵になります。
団員歴と教育の証明は、誰が出せばよいのか

規則は書類の名前を挙げているだけで、誰が証明するかは決めていません。
質疑は、その証明権者や様式は定められていないとしたうえで、いくつかの書類が認められるかを確かめています。
(消防庁の危険物規制に関する質疑応答・通知)(平成14年5月24日・消防消第105号・消防予第152号・消防危第70号)
現行の規則第57条第1項第2号の2は、勤務したことを証明する書類と教育を修了したことを証明する書類の2つを求めています。誰が証明するかは、規則には書かれていません。
回答の理由は、証明の内容に責任を持てる人が出すべきだ、という考え方です。団長が自分の勤務年数を証明するのは客観性に欠けるので、任命権者の市町村長が望ましいとされています。現に勤める団の団長が、前の団の分まで証明するのも、責任を負えないので適当でないとされています。
誰が証明するかで、認められる書類とそうでない書類があるんですね。
はい。
内容に責任を持てる人の証明が求められます。
不合格になった科目の合格点は、次の試験に持ち越せるのか

一部の科目だけ合格点に届いて不合格になった人が、次の試験でその科目の免除を受けられるかどうかを、都道府県が国に確かめました。
(消防庁の危険物規制に関する質疑応答・通知)(昭和35年3月31日・国消乙予発第22号)
現行の危険物の規制に関する規則で、科目の免除を定めているのは、第55条の第4項から第7項までです。同時に2種類以上の乙種を受ける人の科目の兼用、火薬類の免状を持つ人、乙種の免状を持つ人、そして今回の消防団員です。合格した科目の持ち越しを定める項はありません。
消防団員の免除も、5年以上の勤務と消防学校の教育の修了という条件を満たしたときに、規則に書かれた科目だけが免除されます。質疑にある条番号は、当時のものです。
免除は、規則に書いてある人だけが受けられるんですね。
はい。
規則に書かれた範囲だけです。
よくある質問
まとめ
消防団で積んだ勤務が、試験の免除につながるんですね。
条件と書類を確かめて、申請してみます!
申請の前に、誰の証明が要るかを確かめておくのが安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する規則第55条・第55条の2・第57条
- 消防法施行規則第33条の11
- 消防庁の危険物規制に関する質疑応答(予防行政の通知)
※本記事は公表されている法令および通知に基づく一般的な解説です。掲載した回答は発出当時のもので、条番号や言葉づかい等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、試験を行う機関や所轄消防署にご確認ください。





