機械式の駐車装置に消火設備を付けるとき、固定式の泡消火設備にするか、ホースで使う移動式にするかで、費用も工事も大きく変わります。八尾市消防本部が公開している立体駐車場の指針には、固定式にしなければならない場合を表で区分している部分があります。
国の消防法施行令は、収容台数が十以上の機械式駐車装置に消火設備を求めています。ただし、この記事で読んだ令・規則の条文には、八尾市の別表のような「形態と段数による区分」は見当たりませんでした。
この記事では、国の条文と八尾市の指針を分けて、別表と消火足場等を順にたどり、大阪市・堺市の運用とも比べます。
八尾市の機械式駐車場で、消火設備を移動式にして済ませたいです。
固定式にしないといけない場合はありますか?
八尾市の指針には、固定式にする場合を分けた表があります。
順に確かめていきましょう。
上から順に条件を当てはめると分かります。
国の条文と分けて見ていきましょう。
この記事の結論
- 国の令第13条は、機械装置で車両を駐車させる構造で収容台数が十以上の部分に、水噴霧・泡・不活性ガス・ハロゲン化物・粉末のいずれかの消火設備を求めています
- 八尾市の指針は、別表-1で固定式にしなければならない場合を区分し、地盤面下に2段以上格納するものは固定式としています
- 形態2から4は消火足場等が設けられていないと固定式です。形態5から8は、格納するすべての車両が車路等に面するなどの条件を満たすと移動式を選べます
- 固定式は泡消火設備で、ヘッドは各段ごとに設け、一の放射区域は水平投影面積30㎡以上、10分間放射できる量を用意します
- 移動式は、形態5から8で車両9台以下ごとにホース接続口を置き、消火足場は幅おおむね60cm以上です。大阪市と堺市は地下の扱いが八尾市と違います
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八尾市の指針は国の条文のどこにつながるのか
八尾市のホームページには、消防本部予防課の「行政指導指針(消防用設備等)」として、立体駐車場の指針が載っています。題名は「立体駐車場に係る床面積及び階数の算定並びに消防用設備等の設置基準」で、18ページのPDFです。この記事で読むのは、
第2 1 水噴霧消火設備等の部分です。
まず国の条文です。消防法施行令第13条は、駐車の用に供される部分のうち、昇降機等の機械装置で車両を駐車させるものについて、次の条件を挙げています。
消防法施行令 第13条 第1項 表(駐車の用に供される部分・二) 昇降機等の機械装置により車両を駐車させる構造のもので、車両の収容台数が十以上のもの
この条件に当たると、水噴霧消火設備・泡消火設備・不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備・粉末消火設備の
いずれかを設置することになります。令第15条は泡消火設備に固定式と移動式の両方の基準を書いているので、国の条文でも選ぶ余地はあります。
ここから八尾市の指針です。構成は次の3つです。
- 設備の方式は、別表-1の区分で決まります(固定式か、固定式又は移動式)
- 設置方法は、令第14条から第18条まで・規則第17条から第21条までに従い、固定式(ア)と移動式(イ)で書き分けます
- 移動式を使う場合の消火足場等は、別の項(3)にまとめられています
八尾市消防本部 行政指導指針「立体駐車場に係る床面積及び階数の算定並びに消防用設備等の設置基準」 第2 1(1) 設置する水噴霧消火設備等は、別表-1の駐車施設の構造等の区分に応じ、同表下欄に掲げる方式のものとすること。
八尾市消防本部 行政指導指針「立体駐車場に係る床面積及び階数の算定並びに消防用設備等の設置基準」 第2 1(2) 前(1)により設ける水噴霧消火設備等は、その方式に応じ次によるほか、その種別に応じそれぞれ消防法施行令(以下、令という。)第14条から第18条まで、及び消防法施行規則(以下、規則という。)第17条から第21条までの規定によること。 ただし、当該駐車場の位置、構造等から判断してこれと同等以上の効果があると認められる設置方法とする場合は、この限りでない。
ただし書きに注目です。
同等以上の効果があると認められる設置方法なら、この限りでないとされています。どのような方法が認められるのかは書かれていないので、設計の前に消防署へ確認します。
なお、この指針には義務と指導を分ける記号は読んだ範囲では見当たらず、いつ定められたのかも本文からは分かりませんでした。市のページでは
行政指導指針として載っています。
国の条文と八尾市の指針は、どうつながっているのですか?
国の令第13条が収容台数十以上の機械式駐車装置に設備を求めます。
八尾市の指針が、方式と設置方法を決めています。
固定式にしなければならないのはどんな駐車施設か
別表-1は、駐車施設の構造等ごとに消火設備の方式を書いた表です。方式は「固定式」か「固定式又は移動式」のどちらかで、
移動式だけに決まる欄はありません。「固定式又は移動式」の欄なら移動式を選べて、「固定式」の欄なら固定式にするしかない、と読めます。
形態1から形態8は、立体駐車場の取扱い区分です(
八尾市の立体駐車場の階数と床面積の記事で解説しています)。形態1は自走式、形態2から4は昇降機やパレットで運ぶもの、形態5から8は二段式や三段式の駐車装置です。
| 駐車施設の構造等 | 消火設備の方式 |
| 形態1 | 固定式又は移動式 |
| 形態2から4で、消火足場等が設けられているもの | 固定式又は移動式 |
| 形態2から4で、上の欄以外のもの | 固定式 |
| 形態5から8で、地盤面上2段以内に車両を格納するもの(地盤面下に2段以上格納するものを除く)のうち、格納するすべての車両が車路等に面するもの(地盤面下にも格納する場合は、消火用開口部が設けられているものに限る) | 固定式又は移動式 |
| 形態5から8で、地盤面上2段以内の上の欄以外のもの | 固定式 |
| 形態5から8で、地盤面上3段以上に車両を格納するもの(右欄のものを除く)のうち、格納するすべての車両が車路等に面し、かつ、消火足場等が設けられているもの(地盤面下にも格納する場合は、消火用開口部が設けられているものに限る) | 固定式又は移動式 |
| 形態5から8で、地盤面上3段以上の上の欄以外のもの | 固定式 |
| 形態5から8で、地盤面下に2段以上車両を格納するもの | 固定式 |
表の読み方を整理します。
- 形態1は、条件なしで固定式又は移動式です
- 形態2から4は、消火足場等が設けられているものだけが移動式を選べます
- 形態5から8で地盤面上2段以内なら、格納するすべての車両が車路等に面するものが移動式を選べます
- 形態5から8で地盤面上3段以上なら、車路等に面し、かつ消火足場等が設けられているものに限られます
- 地盤面下に2段以上格納するものは、いずれの形態でも固定式です
移動式を選べる欄にも、備考が付いています。泡消火設備の移動式は、これだけの条件があります。
八尾市消防本部 行政指導指針「立体駐車場に係る床面積及び階数の算定並びに消防用設備等の設置基準」 別表-1 備考4 移動式の泡消火設備は、形態1に係るものを除き、地盤面上からの消火剤放射により、格納するすべての車両を有効に防護できるものに限る。
国の条文は、固定式と移動式の分け方をどう書いているでしょうか。泡消火設備の規則第18条第4項第1号です。
消防法施行規則 第18条 第4項 第1号 火災のとき著しく煙が充満するおそれのある場所に設けるものは、固定式のものとすること。
国の号は「煙が著しく充満するおそれのある場所」かどうかで決まります。八尾市の別表は、「車路等に面するか」「消火足場等があるか」「地下に何段あるか」で決まります。
別表の区分が国の号の判断とどうつながるのかは、指針に書かれていないので、
この記事では断定しません。別表の「車路等」と「消火用開口部」の意味も、読んだ範囲では
定義が見当たりませんでした。
移動式を選べるかは、別表の条件で決まります。
特に地盤面下の段数を確かめましょう。
固定式の泡消火設備は何を求められるのか
別表で固定式になったら、次は固定式の中身です。指針は、泡消火設備か、同等以上の消火性能を持つものを求めています。
八尾市消防本部 行政指導指針「立体駐車場に係る床面積及び階数の算定並びに消防用設備等の設置基準」 第2 1(2)ア 固定式の消火設備は、次に適合する泡消火設備とするか、又はこれと同等以上の消火性能を有すると認められるものとすること。
八尾市消防本部 行政指導指針「立体駐車場に係る床面積及び階数の算定並びに消防用設備等の設置基準」 第2 1(2)ア(ウ) 段数4以上ごとに一斉開放弁又は手動式開放弁を設けて放射区域を設定すること。
八尾市消防本部 行政指導指針「立体駐車場に係る床面積及び階数の算定並びに消防用設備等の設置基準」 第2 1(2)ア(エ) 一の放射区域は、水平投影面積が30平方メートル以上となるものとすること。
(ア)から(ケ)までの内容を表にまとめます。
| 項目 | 八尾市の指針(第2 1(2)ア) |
| 設備 | フォームヘッドと泡消火薬剤を用いる |
| ヘッドの位置 | 各段ごとに設ける |
| 放射区域の設定 | 段数4以上ごとに一斉開放弁又は手動式開放弁を設けて設定する |
| 一の放射区域の大きさ | 水平投影面積30㎡以上 |
| 2以上の放射区域 | 最上段の車両を基準に下方へ順に設定する。垂直方向に2以上設けるときは、1段以上の車両に対して区域が重なるようにする |
| ポンプ・水源・薬剤 | 一の放射区域内の全ヘッドから同時に放射したとき、標準放射量で10分間放射できる量(区域が2以上なら、隣接する2区域のうちヘッドが最も多い組の全ヘッド) |
| 起動 | 一斉開放弁の起動操作部と手動式開放弁は、地盤面上の近づきやすい位置に設け、放射区域を選べるようにし、放射区域図を掲出する |
| 手動起動装置・凍結 | 手動起動装置は同じ場所に設けて表示する。凍結のおそれがある加圧送水装置・配管等には防護措置を講じる |
国の規則第18条第4項第5号も、フォームヘッドを用いる泡消火設備の放射区域の面積を決めています。駐車場は「その他」の区分に当たると読めます。
消防法施行規則 第18条 第4項 第5号 フォームヘッドを用いる泡消火設備の一の放射区域の面積は、道路の用に供される部分にあつては八十平方メートル以上百六十平方メートル以下、その他の防火対象物又はその部分に設けられるものにあつては五十平方メートル以上百平方メートル以下とすること。
八尾市は「水平投影面積が30平方メートル以上」と書き、国は「五十平方メートル以上百平方メートル以下」と書いています。数字も、面積の取り方も違うので、
同じ意味とは読めません。
指針は、固定式の最後に次のようにも書いています。
八尾市消防本部 行政指導指針「立体駐車場に係る床面積及び階数の算定並びに消防用設備等の設置基準」 第2 1(2)ア(コ) 前(イ)から(キ)までのほか、令第18条及び規則第18条の規定により設けること。
国の規則第18条も別に守る形に読めますが、30㎡と50㎡以上100㎡以下をどう両立させるのかは、書かれていません。また、泡消火設備の令の条文は第15条で、令第18条は粉末消火設備のものです(e-Gov、2026年10月22日に取得)。
指針の記載の意図は読み取れなかったので、
この記事では断定しません。
段数4以上ごとに放射区域を分け、
10分間放射できる水量と薬剤を用意します。
移動式のホース接続口と消火足場はどう求められるのか
移動式を選べる欄に当てはまったら、別表-2でホース接続口の置き方を決めます。表は、泡消火設備と、二酸化炭素・ハロゲン化物・粉末消火設備の2つに分かれています。
八尾市消防本部 行政指導指針「立体駐車場に係る床面積及び階数の算定並びに消防用設備等の設置基準」 第2 1(2)イ 移動式の消火設備は、駐車施設の構造等及び消火設備の種別に応じ、別表-2により設けること。
| 区分 | 泡消火設備 | 二酸化炭素・ハロゲン化物・粉末消火設備 |
| 形態1 | 各層ごとにホース接続口を設ける | 泡消火設備と同じ |
| 形態2 | 地盤面上にホース接続口を設ける | 各層ごとに、その層の各部分から1のホース接続口までの歩行距離が15m以下となるように設ける |
| 形態3又は4 | 地盤面上にホース接続口を設ける | 車両7台以下ごとに1以上。位置は、地盤面上の部分と垂直方向の中間部(車両が7台以下なら中間部は除く) |
| 形態5から8で、地盤面上2段以内 | 地盤面上にホース接続口を設ける | 車両9台以下ごとに1以上、水平投影面の各部分から水平距離15m以下。位置は地盤面上 |
| 形態5から8で、地盤面上3段以上 | 地盤面上にホース接続口を設ける | 車両9台以下ごと、かつ2段以下ごとに1以上、水平距離15m以下。位置は、地盤面上のほか、2段目以上の段に2段ごと |
この表の形態5から8は、地盤面下に2段以上格納するものを除いた欄です。粉末消火設備については、備考に追加の定めがあります。
八尾市消防本部 行政指導指針「立体駐車場に係る床面積及び階数の算定並びに消防用設備等の設置基準」 別表-2 備考2 粉末消火設備を設置する場合は、火災荷重が大きいこと等から、(財)日本消防設備安全センターの認定品のうち、できる限り、貯蔵消火薬剤量の多いものとすること。
国の令は、移動式の泡消火設備のホース接続口を、次のように決めています。
消防法施行令 第15条 第2号 移動式の泡消火設備のホース接続口は、すべての防護対象物について、当該防護対象物の各部分から一のホース接続口までの水平距離が十五メートル以下となるように設けること。
消防法施行令 第15条 第4号 移動式の泡消火設備の泡放射用器具を格納する箱は、ホース接続口から三メートル以内の距離に設けること。
国は「各部分から水平距離十五メートル以下」です。八尾市の別表は、これに
車両の台数と段数の単位を足しています。形態2は、水平距離ではなく
歩行距離が15メートル以下と書かれている点も違います。
ハロゲン化物消火設備は、令第17条第2号が二十メートル以下と定めています。
消防法施行令 第17条 第2号 移動式のハロゲン化物消火設備のホース接続口は、すべての防護対象物について、当該防護対象物の各部分から一のホース接続口までの水平距離が二十メートル以下となるように設けること。
八尾市の別表は、二酸化炭素・ハロゲン化物・粉末を一つの欄にまとめて、15メートルの数字で書いています。ハロゲン化物では、八尾市の数字のほうが
厳しいと読めます。
次は消火足場等です。固定式でない場合に必要になる項で、ただし書きで除かれる場合があります。
八尾市消防本部 行政指導指針「立体駐車場に係る床面積及び階数の算定並びに消防用設備等の設置基準」 第2 1(3) 水噴霧消火設備等を設置する場合は、次により消火足場等(消火足場又はこれに類するもの及び階段、登はん用はしご又はこれらに類するもの)を次により設けること。 ただし、駐車施設そのものがこれらを設けた場合と同等以上の構造となっているもの、消火設備が固定式であるもの又は移動式のうちの泡消火設備で、地盤面上からの消火剤の放射により格納するすべての車両を有効に防護できるものについては、この限りでない。
八尾市消防本部 行政指導指針「立体駐車場に係る床面積及び階数の算定並びに消防用設備等の設置基準」 第2 1(3)ア 移動式の消火設備を使用して2以上の異なった方向から消火作業が行えるよう、形態2のものにあっては、各段(層)ごとに、形態5から8までのものにあっては地盤面から3段目以上の段について2段以下ごとに設けること。この場合において、その幅員はおおむね60センチメートル以上とし、かつ、転落防止のための措置を講じること。
八尾市消防本部 行政指導指針「立体駐車場に係る床面積及び階数の算定並びに消防用設備等の設置基準」 第2 1(3)イ 前アにより設けた消火足場へ、2以上の経路により到達できるように設けること。 ただし、駐車施設の水平投影面の一辺の最大長さが6メートル以下の場合にあっては、この限りでない。
整理すると、消火足場等は次のとおりです。
- 設ける目的は、移動式で2以上の異なった方向から消火作業をすることです
- 形態2は各段(層)ごと、形態5から8は地盤面から3段目以上の段で2段以下ごとに設けます
- 幅員はおおむね60cm以上とし、転落防止の措置を講じます
- 階段やはしごは、足場へ2以上の経路で行けるようにします(一辺の最大長さが6m以下なら除かれます)
屋内に形態5から8を設けて移動式にする場合は、第3が追加されます。移動式は、煙が著しく充満するおそれのある場所では使えないからです。国の規則第19条第6項第5号は、移動式の不活性ガス消火設備について次のように書いています。
消防法施行規則 第19条 第6項 第5号 火災のとき煙が著しく充満するおそれのある場所以外の場所に設置すること。
指針の第3は「規則第19条第5項5号」と書いていますが、現行のe-Govでは同じ内容が第6項第5号にあります(2026年10月22日に取得)。判定について、指針はこう書いています。
八尾市消防本部 行政指導指針「立体駐車場に係る床面積及び階数の算定並びに消防用設備等の設置基準」 第3 1 火災の際煙が著しく充満するおそれのある場所以外の場所であるかどうかの判定に際しては、一般的には当該部分の床面積の10分の1以上の排煙上有効な開口部のあることを1要件としている
機械式の駐車装置では、この開口部の高さの数え方を変えています。消火足場の上面から外壁の開口部の上端までの垂直距離から
1.8メートルを引いた値が有効高さです。図の例では、有効高さは0.7メートルとされています。
移動式は、ホース接続口の数え方が国より細かいのですね。
台数と段数の単位が足されています。
消火足場とセットで設計しましょう。
大阪市と堺市は機械式駐車装置の移動式をどう扱うのか
大阪市と堺市の公開されている基準にも、機械式駐車装置に移動式を設ける項があります。東大阪市の公開6PDFには、機械式駐車装置の水噴霧消火設備等の項は
見当たりませんでした(自動火災報知設備の項は
東大阪市と堺市の高架下の駐車場の記事で解説しています)。
まず大阪市です。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第8節 不活性ガス消火設備(二酸化炭素を放射するもの) 第4 6 令第13条第1項の規定が適用される機械式駐車装置(車両の収容台数が10以上のものに限る。)に移動式の不活性ガス消火設備(二酸化炭素を放射するもの)を設ける場合は、次による。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第8節 不活性ガス消火設備(二酸化炭素を放射するもの) 第4 6(2) ホース接続口は第4.5の例によるほか、格納する車両9台以下ごとに1以上設置するとともに、その位置は床面(機械式駐車装置が屋外に存する場合は「地盤面」に読み替えること。以下(3)及び(4)において同じ。)上の部分とすること
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第8節 不活性ガス消火設備(二酸化炭素を放射するもの) 第4 6(3)ア(ア)B 幅員は60センチメートル以上とし、かつ、転落防止のための措置を講じること
大阪市の第4は、◆が付いた行政指導の項です。粉末消火設備とハロゲン化物消火設備は、この二酸化炭素の項を準用しています。ただし、準用から外れる部分があります。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第10節 粉末消火設備 第4 8 不活性ガス消火設備(二酸化炭素を放射するもの)の基準(第4.6((5)を除く))を準用する。
外れる(5)は、地盤面下に格納する部分を持つ機械式駐車装置の項です。大阪市は、地下の扱いをこう書いています。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第8節 不活性ガス消火設備(二酸化炭素を放射するもの) 第4 6(4) 床面下に格納する部分を有する機械式駐車装置(床面下に格納する段数が1段のものに限る。)の場合は、次に適合すること
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第8節 不活性ガス消火設備(二酸化炭素を放射するもの) 第4 6(5) 地盤面下に格納する部分を有する機械式駐車装置で、その段数が2段以内のもの(機械式駐車装置が屋外に存するものに限る。)の場合は、次に適合すること
次に堺市です。堺市は粉末消火設備の項で、屋外の機械式駐車場の移動式を定めています。
堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第9 粉末消火設備 Ⅱ細目 4(1)イ 屋外に設置する機械式駐車場(昇降機等の昇降装置により車両を収容させるものをいい、工作物に限る。以下同じ。)で、外周のうち2面以上が外気に開放されており、かつ、外気に開放されている面が幅員1m以上の通路その他の空地に面したものについては、移動式粉末消火設備を次により設置することができる。
堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第9 粉末消火設備 Ⅱ細目 4(1)イ(ア) 移動式粉末消火設備は、設置されているホース長さの歩行距離で有効に放射できるよう、2段毎に設置すること。なお、地上3段以上の部分には、全ての車両に直接有効に放射できるよう、2段毎に消火足場を設けること。
堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第9 粉末消火設備 Ⅱ細目 4(1)イ(イ) 消火足場の有効幅員は60㎝以上とし、柵を設ける等転落防止処置を講じること。
堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第9 粉末消火設備 Ⅱ細目 4(1)イ(エ) 地下部分(地下2段までのものに限る。)を有する開放式の機械式駐車場は、地上に設置した移動式粉末消火設備により有効に放射できるよう、次の措置を施すこと。
堺市の2段毎の項には、国の通知を参考に定めたことを示す◆が付き、根拠に平成5年11月29日消防予第320号が挙げられています。国の質疑の内容は、
駐車場や工場の消火設備は移動式で済ませられるのかの記事で解説しています。八尾市の指針には、この種の記号は読んだ範囲では見当たりませんでした。
3市を表にします。
| 項目 | 八尾市 | 大阪市 | 堺市 |
| 移動式の対象 | 水噴霧消火設備等(泡・二酸化炭素・ハロゲン化物・粉末) | 二酸化炭素(粉末・ハロゲン化物は準用) | 粉末(屋外の機械式駐車場) |
| 移動式を選べる条件 | 別表-1(車路等・消火足場等・地下の段数) | 排煙上有効な開口部の確保(泡の基準を準用)と消火足場等 | 外周2面以上が外気に開放され、幅員1m以上の通路等に面する |
| ホース接続口 | 形態5から8は車両9台以下ごとに1以上 | 車両9台以下ごとに1以上 | ホース長さの歩行距離で放射できるよう2段毎 |
| 消火足場の幅 | おおむね60cm以上 | 60cm以上 | 有効幅員60cm以上 |
| 消火足場の段 | 形態2は各段、形態5から8は3段目以上で2段以下ごと | 各段。2つの段を1の段で消火できれば2段ごと | 地上3段以上で2段毎 |
| 地下の段 | 地盤面下に2段以上は固定式 | 床面下1段、地盤面下2段以内(屋外)は消火口等と区画の措置で移動式の道がある | 地下2段までの開放式は、地上から消火口等で放射する措置 |
消火足場の幅60cmと、足場へ2以上の経路で行くことは、八尾市と大阪市で
同じ数字です。違いが大きいのは、地下です。
八尾市の別表-1は、地盤面下に
2段以上格納するものを固定式としています。大阪市と堺市は、屋外の機械式駐車装置などで地下2段までなら、消火口等を設けて地上から放射する移動式の道を条件付きで書いています。八尾市の指針には、同じ項は見当たりませんでした。
はい、どの市の基準かを先に確かめます。
適用は消防署の判断になります。
よくある質問
Q八尾市の機械式駐車場は、移動式の泡消火設備にできますか?
A別表-1で「固定式又は移動式」の欄に当たれば選べます。ただし、移動式の泡消火設備は、形態1を除き、地盤面上から放射して全部の車両を防護できるものに限られます。
Q地下に2段ある機械式駐車装置は、移動式にできますか?
A八尾市の別表-1は、地盤面下に2段以上格納するものを固定式としています。大阪市と堺市は地下2段までの扱いを書いていますが、八尾市の指針には同じ項は見当たりません。
Q消火足場は、必ず設けなければなりませんか?
A固定式のとき、駐車施設そのものが同等以上の構造のとき、移動式の泡消火設備で地盤面上から全部の車両を防護できるときは、ただし書きで除かれます。
Q国の条文と八尾市の指針の数字が違うときは、どちらに従えばよいですか?
A令と規則は法令です。指針は市のページで行政指導指針として載っており、法令の基準は別に守る必要があります。両方を満たす設計にできるかは、消防署に確認します。
まとめ
✔国の令第13条は、機械装置で車両を駐車させる構造で収容台数が十以上の部分に、水噴霧・泡・不活性ガス・ハロゲン化物・粉末のいずれかの設備を求めます
✔八尾市の指針は、別表-1で方式を区分し、地盤面下に2段以上格納するものは固定式です
✔形態2から4は消火足場等がないと固定式で、形態5から8は車路等に面するなどの条件を満たすと移動式を選べます
✔固定式は泡消火設備で、ヘッドは各段ごと、一の放射区域は水平投影面積30㎡以上で、10分間放射できる量を用意します
✔移動式は、形態5から8で車両9台以下ごとにホース接続口を置き、消火足場は幅おおむね60cm以上です
✔大阪市と堺市は、地下2段までの機械式駐車装置に消火口等を使う道を書いていますが、八尾市は固定式です
✔指針は改正されることがあるので、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認しましょう
まず別表-1のどの欄かを確かめます。
そのうえで消防署に相談します!
固定式か移動式かは別表で決まります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
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この記事を書いた人
㈱防災屋Web編集部
元消防士、行政書士、高専卒など
防火管理者には「セルフ選任」と「プロ代行」の2択があることをもっと多くの方々に知ってもらい、世の中の防火管理レベルをもっと上げていきたい。
0にはできない火災リスクとの向き合い方を伝え、救える命を増やし、悲しみの総量を減らしたい。
後悔してからでは遅すぎる火災予防に、Webの力で取り組む㈱防災屋の編集部です。
監修・編集者
青木 俊輔
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
主な活動
参考・出典
※本記事は公表されている法令および八尾市・大阪市・堺市・東大阪市の公開資料に基づく一般的な解説です。運用基準や指導指針は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認してください。各資料は2026年10月時点の公開版で確認しています。