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地区計画で容積率が二つに区分されると公共施設の整備状況に応じた制限はなぜ適用されないことがあるのか|建築基準法第68条の4を解説

中高層の集合住宅と公園と広場と広い道路が並ぶ新しい街区の写真

地区計画の区域では、容積率の最高限度が一つの数字ではなく、二つに分けて定められることがあります。
一つは区域の特性に応じた最高限度、もう一つは公共施設の整備の状況に応じた最高限度です。
建築基準法第68条の4は、一定の条件を満たす計画の区域で、公共施設の整備の状況に応じた最高限度を定めた条例の規定を、特定行政庁が認めた建築物には適用しないと定めています。
決め手になるのは、どの計画の区域か、どんな事項が定められているか、そして条例で制限が設けられているかです。
今回は建築基準法第68条の4が定める、公共施設の整備の状況に応じた容積率の制限の適用除外について、条文の中身と、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。

地区計画の区域では、容積率の最高限度が二つに分かれることがあると聞きました。
どういう仕組みなのでしょうか。

区域の特性に応じたものと、公共施設の整備の状況に応じたものの二つです。
まず、対象になる計画から見ていきましょう。

その二つの制限の、片方だけが外れることがあるのですか。
条文はどこにありますか。

建築基準法第68条の4に書かれています。
順に確認していきますね。

この記事の結論
  • 第68条の4は、区域の特性に応じたものと公共施設の整備の状況に応じたものとに区分して容積率の最高限度が定められた地区計画等の区域内で、公共施設の整備の状況に応じた最高限度の条例の規定を適用しない場合を定めています。
  • 対象になる計画は、地区計画、防災街区整備地区計画(地区防災施設の区域が定められているものに限る)、沿道地区計画です。
  • 第一号は、地区整備計画等が定められた区域のうち、容積率の最高限度の区分と、施設の配置及び規模が定められている区域であることを求めています。
  • 第二号は、第68条の2第1項の条例で、区分した最高限度に関する制限が定められている区域であることを求めています。
  • 適用が外れるのは、計画の内容に適合し、特定行政庁が支障がないと認めた建築物で、消防法令の基準を緩めるものではありません。

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公共施設の整備の状況に応じた容積率の制限が条件を満たすと適用されなくなることを示す図解

公共施設の整備の状況に応じた容積率の制限はなぜ地区計画等の区域内で外れることがあるのか

中層の建物群と広場と破線の敷地境界のイラスト
第68条の4は、地区計画等の区域内で、二つに分けて定められた容積率の最高限度のうち、公共施設の整備の状況に応じたほうの扱いを定めています。
まず、条文の書き出しの部分を確認しましょう。
(建築基準法第六十八条の四)次に掲げる条件に該当する地区計画、防災街区整備地区計画又は沿道地区計画(防災街区整備地区計画にあつては、密集市街地整備法第三十二条第二項第一号に規定する地区防災施設(以下単に「地区防災施設」という。)の区域が定められているものに限る。以下この条において同じ。)の区域内にある建築物で、当該地区計画、防災街区整備地区計画又は沿道地区計画の内容(都市計画法第十二条の六第二号、密集市街地整備法第三十二条の二第二号又は沿道整備法第九条の二第二号の規定による公共施設の整備の状況に応じた建築物の容積率の最高限度(以下この条において「公共施設の整備の状況に応じた建築物の容積率の最高限度」という。)を除く。)に適合し、かつ、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるものについては、公共施設の整備の状況に応じた建築物の容積率の最高限度に関する第二号の条例の規定は、適用しない。
対象になる計画は、地区計画、防災街区整備地区計画又は沿道地区計画で、防災街区整備地区計画は、地区防災施設の区域が定められているものに限られます
外れるのは、公共施設の整備の状況に応じた建築物の容積率の最高限度に関する、第二号の条例の規定だけです。
計画の内容のうち、この公共施設の整備の状況に応じた最高限度を除いた部分に適合していることが、条件に入っています。
そのうえで、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めることも必要です。

適用が外れるのは、二つのうちの片方だけなのですね。
外れるための条件は、第一号に書いてありますか。

第一号と第二号が、対象の区域の条件です。
まず、第一号から確認します。

地区整備計画等に定められる容積率の区分と施設の配置及び規模はなぜ条件になるのか

計画図の板と中層の建物と小さな道路のイラスト
第一号は、地区整備計画などが定められた区域のうち、二つの事項が定められているものを対象にしています。
条文を、確認しておきましょう。
(建築基準法第六十八条の四)一 地区整備計画、特定建築物地区整備計画、防災街区整備地区整備計画又は沿道地区整備計画が定められている区域のうち、次に掲げる事項が定められている区域であること。
イ 都市計画法第十二条の六、密集市街地整備法第三十二条の二又は沿道整備法第九条の二の規定による区域の特性に応じたものと公共施設の整備の状況に応じたものとに区分した建築物の容積率の最高限度
ロ (1)から(3)までに掲げる区域の区分に従い、当該(1)から(3)までに定める施設の配置及び規模
第一号は、地区整備計画、特定建築物地区整備計画、防災街区整備地区整備計画又は沿道地区整備計画が定められている区域のうち、イとロの事項が定められている区域を対象にしています
イは、区域の特性に応じたものと公共施設の整備の状況に応じたものとに区分した、建築物の容積率の最高限度です。
ロは、区域の区分に従い、それぞれ定められた施設の配置及び規模で、地区施設や沿道地区施設などがこれに当たります。
イとロの両方が定められていることが、条件になります。
区域の区分ロで定める施設(条文の書き方)
地区整備計画の区域都市計画法第12条の5第2項第1号に規定する地区施設又は同条第5項第1号に規定する施設
防災街区整備地区整備計画の区域密集市街地整備法第32条第2項第2号に規定する地区施設
沿道地区整備計画の区域沿道整備法第9条第2項第1号に規定する沿道地区施設又は同条第4項第1号に規定する施設

施設の配置及び規模まで定められている必要があるのですね。
第二号は、どんな条件ですか。

第二号は、条例の話です。
計画だけでなく、条例の定めも関わってきます。

第68条の2第1項の条例で区分した最高限度の制限が定められているとなぜ第二号に当たるのか

書類の束と市役所と確認用の表のイラスト
第二号は、地区計画等の内容を、条例で制限として定めている区域を対象にしています。
条文を、確認しておきましょう。
(建築基準法第六十八条の四)二 第六十八条の二第一項の規定に基づく条例で、前号イに掲げる事項に関する制限が定められている区域であること。
第二号は、第68条の2第1項の規定に基づく条例で、第一号イに掲げる事項に関する制限が定められている区域であることを求めています
第一号イに掲げる事項とは、区域の特性に応じたものと公共施設の整備の状況に応じたものとに区分した、建築物の容積率の最高限度のことです。
第68条の2第1項は、市町村が、地区整備計画等が定められている地区計画等の区域内で、建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する事項で計画の内容として定められたものを、条例で制限として定めることができるとしています。
つまり、計画で定めただけでは足りず、条例でも制限が定められていることが、第二号の条件です。

計画と条例の両方で、制限が定められている区域が対象なのですね。
外れる中身を、もう少し詳しく聞きたいです。

外れるのは、条例の規定のうち、公共施設の整備の状況に応じた最高限度の部分です。
仮の例で読み方を確かめます。

特定行政庁が支障がないと認めた建築物にはなぜ公共施設の整備の状況に応じた最高限度の規定が適用されないのか

二つの中層の建物と広場と小さな道路のイラスト
書き出しの部分から、外れる中身を整理します。
数値は、あくまで読み方の仮の例です。 適用されなくなるのは、公共施設の整備の状況に応じた建築物の容積率の最高限度に関する、第二号の条例の規定です
区域の特性に応じた最高限度の規定は、この条文では適用を外す対象になっていません。
適用を外す条件は、計画の内容に適合すること、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めることの二つが重なっていることです。
計画の内容には、公共施設の整備の状況に応じた最高限度は含まれません。 仮の例で、読み方を確かめます。
敷地面積が500平方メートルで、区域の特性に応じた最高限度が10分の40、公共施設の整備の状況に応じた最高限度が10分の30と定められているとします。
条件に当たる建築物なら、10分の30の規定は適用されず、区域の特性に応じた10分の40のほうで見ることになります。
10分の40で見た場合の延べ面積の上限は、500平方メートルの4倍で2,000平方メートルです。
ただし、実際の数値や計算の方法は、都市計画と条例ごとに定まりますので、条文と特定行政庁の判断を確かめる必要があります。

片方の制限だけが外れるのですね。
全体の関係を、整理したいです。

一覧の表で、比べてみましょう。
あわせて防火管理者の確認事項も見ておきます。

第68条の4の読み方はなぜ区域の条件と適用除外の条件に分けて整理するのか

書類の束と市役所と確認用の表のイラスト
第68条の4を、条件ごとに整理します。
分けて読むと、混乱しにくくなります。
項目条文の書き方押さえる点
対象の計画地区計画、防災街区整備地区計画又は沿道地区計画防災街区整備地区計画は地区防災施設の区域が定められているものに限る
第一号整備計画が定められ、イとロの事項が定められている区域容積率の最高限度の区分と、施設の配置及び規模
第二号第68条の2第1項の条例で、第一号イの事項の制限が定められている区域計画だけでなく条例でも制限がある
適用除外の条件計画の内容に適合し、特定行政庁が支障がないと認めるもの外れるのは公共施設の整備の状況に応じた最高限度の規定
第68条の4は、区域の条件を第一号と第二号で定め、そのうえで公共施設の整備の状況に応じた最高限度の規定だけを適用しないとする条文で、区域の特性に応じた最高限度まで外すものではありません
共通するのは、計画と条例の両方に、二つの区分の最高限度が定められていることです。
特定行政庁の認定は、交通上、安全上、防火上及び衛生上の四つの観点で行われると、条文に書かれています。 これらは建築基準法の容積率の話で、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
ただし、該当する区域で建物を借りたり、増築の話が出たりするときには、関係する場面があります。
判断に迷うときは、市区町村の窓口への相談も欠かせません。
明日から次の点を確認してください。
  • 建物のある区域が、地区計画等で容積率の最高限度を二つに区分して定めている区域に当たるかを、市区町村の窓口で確認して記録する。
  • 増築や用途変更の話が出たら、その計画が容積率の制限にどう関わるかを、建築の窓口に照会しておく。
  • 特定行政庁の認定を受けた建物では、認定の内容を、認定書の写しなどで確かめておく。
  • 増築などで規模や用途が変わることで、消防用設備等の基準が変わる場合があるため、所轄消防署へ事前に相談する。
  • 建築の話と消防の話は別の制度なので、両方の窓口へ確かめる。
建築基準法の容積率の特例は、消防法令の基準を緩めるものではありません。
建築の話と消防の話を混同しないように、それぞれの窓口へ確かめておきましょう。

区域の種類と、認定の内容を、まず確認します。
増築の話が出たら、両方の窓口に相談します。

状況が分かれば、あとの相談も早くなります。
相談は、建築の窓口と消防の両方の窓口にしておくと安心です。

よくある質問

Q第68条の4で適用されなくなるのは、容積率の制限のすべてですか?
A適用が外れるのは、公共施設の整備の状況に応じた建築物の容積率の最高限度に関する、第二号の条例の規定です。区域の特性に応じた最高限度の規定は、この条文では外れません。
Qどの計画の区域が対象になりますか?
A地区計画、防災街区整備地区計画又は沿道地区計画です。防災街区整備地区計画は、地区防災施設の区域が定められているものに限られます。
Q計画に定められていれば、条例がなくても対象になりますか?
A第二号は、第68条の2第1項の条例で、区分した最高限度に関する制限が定められている区域であることを求めています。計画だけでは条件を満たしません。
Q適用除外を受けるために、特定行政庁は何を認める必要がありますか?
A計画の内容に適合し、かつ、交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めることが必要です。

まとめ

✔第68条の4は、容積率の最高限度を二つに区分して定める地区計画等の区域内で、公共施設の整備の状況に応じた最高限度の条例の規定を適用しない場合を定めています。
✔対象の計画は、地区計画、防災街区整備地区計画(地区防災施設の区域が定められているものに限る)、沿道地区計画です。
✔第一号は、整備計画が定められた区域のうち、容積率の最高限度の区分と施設の配置及び規模が定められている区域を求めています。
✔第二号は、第68条の2第1項の条例で、区分した最高限度に関する制限が定められている区域を求めています。
✔適用が外れるのは、計画の内容に適合し、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認める建築物です。
✔外れるのは公共施設の整備の状況に応じた最高限度の規定で、区域の特性に応じた最高限度の規定は外れません。
✔これらは建築基準法の容積率の話であって、消防法令の基準を緩めるものではありません。防火管理者は、区域の種類と認定の内容を確認して記録します。

区域の種類と、認定の内容を、確認しておく必要があるんですね。
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区域の種類と認定の内容が分かれば、増築や入居の相談も進めやすくなります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第六十八条の四・第六十八条の二(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。区域の種類と認定の内容は特定行政庁と地区計画ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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