ガス系消火設備の制御盤の点検で、配線をわざと短絡させたり、地絡させたりする試験があるのをご存じでしょうか。
消火剤が出てしまうのではと心配になりますが、点検要領はこれを機器点検の項目として定めています。
なぜ異常をつくるのか、その間に何を確かめているのかも決まっています。
この記事では、点検要領と制御盤の基準をもとに、放出制御機能の点検の中身と安全の段取りを整理します。
制御盤の点検で、わざと配線を短絡させるのは危なくないのですか。
だからこそ、点検要領は容器弁開放装置を取り外して行うことを添えています。
順番に見ていきましょう。
短絡させて、いったい何を確かめているのでしょうか。
放出用の起動回路が作動しないことと、異常が表示灯で知らされることです。
まず全体像から確認します。
- 制御盤の放出制御機能は、機器点検で「短絡」と「地絡」の二つの試験により確かめます。
- 短絡試験は、電源線と放出信号回路を短絡させて確認します。
- 地絡試験は、各用途の信号線と電源線をそれぞれ地絡させて確認します。
- 判定は、放出用起動回路が作動しないこと、異常の旨が表示灯に表示されることです。
- 装置を作動させるときは、必ず容器弁開放装置を取り外して行うと点検要領が求めています。
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目次
制御盤の放出制御機能の点検とは何を確かめるのか

点検の方法は消防庁が通知で示していて、不活性ガス消火設備は第6、ハロゲン化物消火設備は第7に並んでいます。
そのうち機器点検の「制御盤」の欄に、放出制御機能の項目があります。
目視及び次の操作により確認する。
(1) 手動式起動装置又は制御盤に設けられる入出力端子を用いて、電源線と放出信号回路を短絡させる。
(2) 手動式起動装置又は制御盤の各用途の信号線(音響用・放出起動用・非常停止用等)及び電源線をそれぞれ地絡させる。
(判定方法)
ア 放出用起動回路が作動しないこと。
※ 装置を作動させるときは、必ず容器弁開放装置を取り外して行うこと。
点検方法は、目視と短絡と地絡の二つの操作で構成されています。
ハロゲン化物消火設備の第7にも、同じ内容の項目があります。
制御盤そのものの構造や絶縁抵抗の基準は制御盤の基準の記事で整理しています。
制御盤の点検は、表示や外観を見るだけではないのですか。
外形や表示は目視で確認する別の項目です。
放出制御機能は、動作を実際に確かめる項目になります。
短絡試験では何をして、何を確かめるのか

点検要領は、電源線と放出信号回路を短絡させる方法を示しています。
手動式起動装置か制御盤の入出力端子を使う方法です。 短絡試験は、手動式起動装置又は制御盤の入出力端子を使い、電源線と放出信号回路を短絡させて行います。
その結果として確かめるのは、次の二点です。
ア 放出用起動回路が作動しないこと。
イ 短絡試験にあっては、…の異常の旨が表示灯により表示されること。
次に、異常の旨が表示灯に出ることを確かめます。
配線が壊れたときに、消火剤が放出されず、しかも異常に気づける状態かを見ているのです。
短絡させて、本当に消火剤が出ない設計になっているのですか。
制御盤の基準は、短絡を生じたら放出に関する表示や発信を行わない措置を求めています。
点検はその性能を確かめる作業です。
地絡試験では何をして、何を確かめるのか

点検要領は、制御盤の各用途の信号線と電源線を、それぞれ地絡させる方法を示しています。 地絡試験は、音響用・放出起動用・非常停止用などの信号線と電源線を、それぞれ地絡させて行います。
判定は短絡試験と同じく、放出用起動回路が作動しないことと、異常の旨が表示灯に出ることです。
第7のハロゲン化物消火設備の欄では、地絡試験の判定に「起動回路地絡等」の異常と書かれています。
表示灯の文言は製品によって異なるので、制御盤の取扱説明書で確かめておきましょう。
短絡と地絡は、何が違うのでしょうか。
短絡は線どうしがつながる異常で、地絡は線が大地や外箱とつながる異常です。
どちらも制御盤が異常を検知するかを確かめます。
試験の前に容器弁開放装置を取り外すのはなぜか

装置を作動させるときは、必ず容器弁開放装置を取り外して行う、という内容です。
さらに、点検要領の一般的留意事項にも、誤放出を防ぐための定めがあります。
(2) 閉止弁が取り付けられているものにあっては、点検作業の実施前に「閉」とし、点検作業がすべて終了した後に「開」とすること。
(6) 二酸化炭素を放射する不活性ガス消火設備にあっては、点検作業実施前に制御回路の電源を「断」にし、起動ガス導入部の操作導管(貯蔵容器側)を取り外した後、電気式容器弁開放装置を取り外すこと。
点検要領は理由を書いていませんが、誤放出を防ぐための措置と読み取れます。
二酸化炭素を放射する設備は、取り外しの順序まで定められているので、点検の前に手順を確認してください。
切替装置の扱いは切替装置を手動にする理由の記事、閉止弁の考え方は閉止弁の記事で解説しています。
取り外した容器弁開放装置は、点検のあとどうするのですか。
点検要領は、取り外した機器について接続部の緩み、脱落及び封印等の再確認を求めています。
復旧の確認は容器弁開放装置の復旧確認の記事も参考になります。
判定を満たさないときと点検が終わったあとは何をするのか

点検の運用を示した通知は、不良があったときの記録と、点検後の復旧についても定めています。
点検終了後は、電源電圧、スイッチ類の位置及び収納状態等を再度確認することにより必ず元の状態に復旧しておくこと。
点検に際して、消防用設備等に不良個所があった場合は、不良個所が何階のどの個所であるのか、更には、不良内容がどのようなものであるのかを明確になるようにしておき、適切な処置ができるようにしておくこと。
作業の終わりには、電源やスイッチの位置、取り外した機器の状態を確かめて元へ戻すことが欠かせません。
ガス系消火設備では、閉止弁を「開」に戻し忘れないことも大切です。
点検票の作り方と報告の期間は点検票と報告の記事にまとめています。
異常が出なかったときは、どこへ相談すればよいでしょうか。
消防設備士や点検資格者、設置した施工業者に相談します。
その際は、試験の方法と表示の状況を伝えてください。
よくある質問
まとめ
まず制御盤の点検手順と取り外す機器を、事前に確認しておきます!
その一手間が、点検中の誤放出を防ぐことにつながります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第31条の6(消防用設備等の点検及び報告)、第19条第5項第19号の3、第20条第4項第14号の2
- 消防用設備等の点検要領(消防庁通知) 第6 不活性ガス消火設備、第7 ハロゲン化物消火設備
- 不活性ガス消火設備等の制御盤の基準(平成13年消防庁告示第38号)
- 消防用設備等の点検に係る運用について(平成14年6月11日消防予第173号)
※本記事は公表されている法令、告示および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。





