店舗や倉庫の1階にシャッターを付けると、その窓や出入口が無窓階の判定で「有効な開口部」に数えられるかが気になります。
国の消防法施行規則は、開口部が「外部から開放し、又は容易に破壊することにより進入できる」ことを求めていますが、シャッターの厚さや開け方までは書いていません。
この記事では、吹田市消防本部の「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第18節 普通階判定の問1・問13・問22(シャッターの扱い)を読み、豊中市・堺市の基準とも比べます。
吹田市で店舗を建てる計画です。
1階の出入口に防犯用のシャッターを付けたいのですが、無窓階の計算に入りますか?
吹田市の質疑応答集は、スラットの厚さとシャッターの種類で答えを分けています。
まず種類を確かめましょう。
シャッターなら、どれでも同じ扱いではないのですね。
はい、スラット厚1.5mm未満は有効とし、パイプシャッターは有効としません。
水圧で開ける装置にも決まりがあります。
- 消防法施行規則第5条の5第2項第3号は、開口部が外部から開放し、又は容易に破壊することにより進入できることを求めていて、シャッターの厚さの数字は国の規則にはありません
- 吹田市の質疑応答集は、スラット厚1.5mm未満のシャッターを有効とし、パイプシャッターは有効としないと答えています
- 普通ガラス6mm以下の開口部の前にある簡易シャッターは、容易に破壊できる場合に奥の開口部を有効とします
- 水圧で開けるシャッターは水圧開放(水圧解錠は不可)とし、開放方法は町野式のホース接続(65A)と答えています
- 豊中市は板厚0.8mm以下の軽量シャッターに開け方の条件を付け、堺市はスラット0.3mm以下に足場を求めるなど、厚さの物差しは市ごとに違います
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目次
吹田市の質疑応答集はシャッターをどう答えているのか

答1 スラット厚1.5mm未満のもの → 有効とする。
パイプシャッター → 有効としない。
答13 簡易シャッターを容易に破壊できる場合は、当該開口部(普通ガラス6mm以下)を有効とする。
答22 水圧開放すること。(水圧解錠は不可。)
シャッターの開放方法は、町野式ホースの接続(65A)とすること。
| 問 | シャッターの種類 | 吹田市の答 |
|---|---|---|
| 問1 | スラット厚1.5mm未満のシャッター | 有効とする |
| 問1 | パイプシャッター | 有効としない |
| 問13 | 普通ガラス6mm以下の開口部の前にある簡易シャッター | 容易に破壊できる場合は、その開口部を有効とする |
| 問22 | 水圧開放又は水圧解錠のシャッター | 水圧開放とする(水圧解錠は不可)・町野式ホースの接続(65A) |
1.5mmより薄いスラットなら、吹田市では有効なのですね。
質疑応答集の答はそうです。
ただ、細かな条件は部内通知に委ねられているので、相談の時に確かめましょう。
国の規則はシャッターの付いた開口部をどう決めているのか

一 床面から開口部の下端までの高さは、一・二メートル以内であること。
二 開口部は、道又は道に通ずる幅員一メートル以上の通路その他の空地に面したものであること。
三 開口部は、格子その他の内部から容易に避難することを妨げる構造を有しないものであり、かつ、外部から開放し、又は容易に破壊することにより進入できるものであること。
四 開口部は、開口のため常時良好な状態に維持されているものであること。
国の規則は「容易に破壊」までで、厚さは決めていないのですね。
はい、だから市ごとに違う物差しが出てきます。
次は、吹田市の答をどう当てはめるかです。
吹田市の答を自分の建物に当てはめるにはどうするのか

- シャッターの奥にある開口部が、問17の表で有効になるガラスや戸かを確かめる(普通ガラス6mm以下など)
- シャッターの種類を確かめる。パイプシャッターなら、その開口部は有効としない(問1)
- 巻き上げ式などのシャッターなら、メーカーの仕様書でスラットの厚さを見る。1.5mm未満なら有効とする(問1)
- 窓の前の簡易シャッターなら、容易に破壊できるかを確かめる。できれば奥の普通ガラス6mm以下の開口部を有効とする(問13)
- 水圧で開ける装置を付けるなら、水圧開放の方式にし、町野式のホース接続(65A)にする(問22)
- 最後に、開口部の大きさ・床からの高さ・前の空地(規則第5条の5第1項・第2項第1号・第2号)を、ほかの問とあわせて確かめる
シャッターの奥のガラスが網入りだったら、どうなりますか?
問13は普通ガラス6mm以下の場合の答なので、網入りガラスなら問17の表で別に確かめます。
どちらか一方だけで判断しないのがポイントです。
水圧で開けるシャッターはどんな方式にするのか

吹田市では、鍵だけ外れる装置ではだめなのですね。
質疑応答集の答はそうです。
同じ「水圧」の装置でも認める方式は、市ごとに違うので注意しましょう。
豊中市や堺市ではシャッターの扱いはどう違うのか

| 項目 | 吹田市 | 豊中市 | 堺市 |
|---|---|---|---|
| 定めている場所 | 質疑応答集 第18節 問1・問13・問22 | 運用基準 第1部 第2章 第1節 第4 3(1)ウ・エ・オ | 審査基準 第5 無窓階の取扱い 3 ウ |
| 厚さの物差し | スラット厚1.5mm未満は有効 | 軽量シャッター=JIS A 4704のスラットの板厚0.8mm以下 | スラット0.3mm以下(ステンレス製・CPマーク品を除く)(★) |
| 薄いシャッターの条件 | 答1に条件の記載なし | 煙感知器との連動で解錠後に屋内外から手動で開けられる、又は避難階等で消防隊が特殊な工具なしに開けられ屋内からも手動で開けられる、など | 奥行き80cm以上・シャッター幅以上の足場、手すり1.2m以下で上端から天井まで1.0m以上 |
| パイプシャッター | 有効としない | 記載は見当たらない | 記載は見当たらない |
| 水圧の装置 | 水圧開放とし水圧解錠は不可・町野式(65A) | 軽量は水圧解錠装置付きが望ましい/防火設備は水圧で開放でき送水口が1階 | 水圧開放装置で解錠後に手動(避難階)・注水口0.5m以上1m以下、電動は送水口が避難階で差し込み式(★) |
(ア) 煙感知器と連動により解錠した後、屋内外から手動で開放できるもの
市が変わると、同じシャッターでも扱いが変わるかもしれないのですね。
はい、建てる市の基準でスラットの厚さと開け方を確かめるのが近道です。
出店先が複数の市にまたがるときは特に注意です。
よくある質問
まとめ
シャッターのメーカーにスラットの厚さと水圧の方式を聞いて、吹田市の消防本部に事前に相談します!
設計の段階で確かめておけば、完成後に無窓階になる手戻りを避けられます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 吹田市消防本部「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第18節 普通階判定 問1・問13・問17・問22 https://www.city.suita.osaka.jp/anzen/1017917/1017954/1044807.html
- 豊中市消防局「消防用設備等の設置に関する運用基準」第1部 第2章 第1節 第4 無窓階の取扱い 3(1)ウ・エ・オ https://www.city.toyonaka.osaka.jp/kurashi/bosai/toyonakafiredept/todokede/setubiunnyoukijun.html
- 堺市消防局「消防同意・消防用設備等審査基準」第5 無窓階の取扱い 3 ウ https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 東大阪市消防局 消防用設備等の運用基準 https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000041303.html
- 大阪市消防局 消防用設備等の設置に係る運用基準 https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
- 消防法施行令 第10条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/336CO0000000037
- 消防法施行規則 第5条の5(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/336M50000008006
※本記事は公表されている法令および吹田市・豊中市・堺市・東大阪市・大阪市の公開資料に基づく一般的な解説です。表は要旨を自分の言葉でまとめたものです。問13と問17の組み合わせ方、水圧開放に限った理由の読み方、3市の対比は、資料を読んだうえでの整理であり、各市が明記しているものではありません。「見当たらない」とした項目は、各市の公開資料を確認した範囲でのものです。運用基準は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防局で確認してください。個別の建物の扱いは、所轄の消防署にご確認ください。






